2018-01-01から1年間の記事一覧

『スターリン葬送狂騒曲』映画なのだから、ああ面白かった!でいいのだと思う。それなのに最後まで笑いきれない居心地の悪さ、つい後ろを振り返ってしまうような心もとなさが残る映画でもあった。

『スターリン葬送狂騒曲』(2017年・イギリス・原題:The Death of Stalin・107分・監督アーマンド・イアヌッチ)をみた。ららぽーと横浜のTOHOシネマズ。 TOHOシネマズはJR横浜線鴨居駅から鶴見川にかかる人道橋をわたって北へ1㌖ほど行ったところにある。…

”トロは仕入れが八割、シンコは仕込みが八割”

「夏の間は逼塞して、涼しくなって行動開始だね」と決めていた。 6月中に梅雨が明け、異常な暑さに見舞われた7月。夏には出かけるところとてない私たち老夫婦には「静かな夏」が待ち受けていたはずだ。 7月26日、千葉に住む長女から「足首骨折」との連絡。…

素晴らしいお店だった。ビールの冷え具合いもよい。おつまみは、天ぷらと刺身の盛り合わせを中心に注文したが、内容、量ともいずれも文句をつけがたいほどの料理。名店だと思った。盛り付けのバランスもきれいだし、見掛け倒しでなく食べ応えもある。鮮度もかなり良い。海老天は人数分出ている(笑)。

教員の独立組合と学校事務職員の独立組合が共同で開催する集会が、御殿場で開催されるので出かけた。初めてJR御殿場線に乗った。8月4日のことだ。 南町田から相模大野を経て御殿場に行くには、新松田で小田急からJRに乗り換える。新松田までは急行か快速急行…

『パティ・ケイク$』(2017年・アメリカ・109分・主演ダニエル・マクドナルド)・『女は二度決断する』(2017年・ドイツ・106分・原題“Aus dem Nichts”・監督ファティ・アキン・主演ダイアン・クルーガー)

『パティ・ケイク$』(2017年・アメリカ・109分・主演ダニエル・マクドナルド)をみた。飽きずに最後まで楽しめた。映画はまずこれが一番。「時間を感じさせない」こと。次にいろんなことを考えさせてくれること。 ネットの惹句には「女子ラッパーのシンデ…

「なあに、少しの間だけ殊勝にしていればいいのさ。こんなもの、すぐ収まるから。いいか、発言の撤回とか謝罪はしてはいけないよ。その意味では君の事務所のコメントはなかなかよくできている。あれでいいんだ。いいか、あなたの後ろには味方がたくさんいる。これからもはっきりものを言うことが大事だ。君にはしかるべき働きを期待しているからね」

また猛暑がぶり返した。 以前はエアコンのつけっぱなしはからだに悪いと、タイマーをかけて寝ていたが、タイマーが切れたあとかえって寝苦しくなるので、ここ1,2年は弱めにつけっぱなしにしている。 からだが冷えてしまうようなので、3時過ぎ、テラスを開け…

いい呑み会は酒が次の日まで残らなくていい。心地よく酔ったあとに酒もいっしょに発散してしまうから。

去年の暮れに、辻原登の『鸚鵡の籠』を読んだ。ちょっと気にかかっていたので2013年の『冬の旅』を図書館から借りて読んだ。『冬の旅』というと、立原正秋の同じタイトルの小説を思い浮かべるが、あれは1973年。いい小説だったという記憶がある。40年の懸隔…

この国は、戦争をしないで済むのならどんな邪悪なものでも使わせてもらいましょうと、どれほどの譲歩を続けてきたか。それはいびつな形で常態化し、この国の独自の?「平和論」を支えてきたのではないか。

『ウインストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男~』(2017年・イギリス・原題:Darkest Hour・125分・監督ジョー・ライト・主演ゲイリー・オールドマン) イギリスでの封切りが2018年1月12日。日本の公開が3月30日、私がみたのが7月25日。何かと話…

今回のことはみんなが優しくなれば解決することじゃないんです。優しい気持ちになれる時も、そうじゃない時もあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです。

前回,自民党の杉田水脈議員の発言に対して触れた。 7月27日、大規模な抗議行動が行われたという。自民党本部前に5000人の人たちが集まった。個人のtwitterによるよびかけ。マスコミの反応は鈍い。 二階自民党幹事長は「人生観の問題」として杉田議員をかばっ…

「LGBTは子どもを産まないから生産的でない」問題は、炎上することを分かってこういう発言を繰り返す手法だ。今回はそれに幹事長の放置発言。たちが悪い。

昨日7月25日に書いたものです。午前中に書いておいたのですが、深夜の酩酊帰宅のためチェックできず今になりました。 深夜3時ごろに目が覚めて、テラスを全開にしてエアコンを消す。外の気温は部屋の中と変わらない26,7℃になっている。 これからの1,2時間…

この人たちの政治的感度なんてこの程度のもの。政治、政治といっても最大の関心事は政局と我が事、人事(じんじ)だけで、ほかのことは他人事(ひとごと)だ。

西日本豪雨で亡くなった方は223名、行方不明の方もまだ14名いる。 大変な豪雨になるだろうという予報が出た7月5日夜、“赤坂自民亭”というところで、安倍首相も出席して酒盛りが繰り広げられていたという。 親切にも官房副長官がツイッターでその様子を国民に…

「二人を待ち受けるのは、ハッピーエンドさえ凌ぐ誰も見たことのないマジカルエンド」・・・映画『フロリダ・プロジェクト』タグラインはほとんど詐欺だ(笑)

梁石日「Y氏の妄想録」(2010年)。好きな作家だが、読んでいなかったもの。図書館で借りてきた。面白くなかった。 2018年上半期の芥川賞、直木賞が決まった。芥川賞は高橋弘希さんの「送り火」(文學界5月号)直木賞は島本理生さんの『ファーストラヴ』(文…

マークコーラス、ohana、左座家、コーラスってほら、いろいろあっておもしろいものだから。

たいてい深夜2時前後に目が覚める。エアコンはつけたままだから、からだが少し冷えている。トイレに立つ。1時間ほど横になったまま本を読む。 松尾スズキ『私はテレビに出たかった』(2010)読了。面白かった。前作の登場人物を踏襲しながら、つくりがもっと…

『もしも人生に戦争が起こったら~ヒロシマを知るある夫婦の願い~』一人の被爆者の戦争と原爆、夫妻の戦後の痛苦の人生がここにある

今朝の新聞で、是枝裕和さんがフランスの女優カトリーヌ・ドヌーヴを起用して新作をつくる準備を始めたことを知った。現在脚本執筆中だとか。楽しみである。 カトリーヌ・ドヌーヴについては、2018年上半期映画寸評で『ルージュの手紙』(2017)に触れたが、…

韓国映画『わたしたち 우리들』は、静より動、淡より濃、穏より激という韓国映画への印象は偏見なのかもしれないなあと思わされる

「わたしたち」(2015年・韓国・原題:「우리들」(わたしたち)「The World of Us」・94分)は、忘れられない映画である。ディテールは忘れかけているが、みて半年も経つのにまだなんとなくみたときの肌感覚が残っている。 11歳の女の子たちの話である。 映…

『万引き家族』この社会に存在する普段は目にすることのないさまざまな「境界」あなたはそのどっちにいる? という問い

<今回長文です> 6月の末に、鴨居のららぽーとで『万引き家族』と『焼き肉ドラゴン』をみた。比べても仕方がないけれど、映画としての出来は、明らかに『万引き家族』。み終わったあとの充溢感というかいろいろなものの残り方が違う。 脚本とか演出とか編集と…

松尾スズキの8年前の芥川賞候補作『老人賭博』が面白い。今年『もう「はい」としか言えない』で3回目の候補に。

夜更けというより朝方、松尾スズキの『老人賭博』(2010年)読了。夜中に目が覚めて本を読むことが多い。 眠っている間に雷鳴を聞く。4時30分起床。雨。外の空気を入れる。エアコンをつけている部屋の中と気温は変わらない。 雨の中、傘をさしてふたりで散歩…

なぜ「入籍」が根付いてしまったのか。Aさんからのメールと王貞治さんの再婚、NHKだけが「婚姻届けの提出」と報道。

西日本豪雨の被害が広がっている。今朝の報道では死者162人、安否不明が57人。 家が流され避難所生活に入らざるをえない人たち。ライフラインが止まっている地域や断水が続いているところも。 豪雨のあとに梅雨明けとなった愛媛の映像では、猛暑の中、片づけ…

死刑容認8割というこの国、犯罪抑制効果はほんとうにあるのか。

大雨が続いている。正午段階で12人の方が亡くなっているとの報道。54人が安否不明だ。自衛隊の災害出動があちこちで始まっている。避難所生活を余儀なくされている人たちも多い。 横浜は風が強いが、雨はほとんど降っていない。曇天で気温も高くない。 今朝…

私がみた2018年上半期の映画、極私的絶対評価と寸評。じっくりと触れたいものは別にしてその④

朝から激しい雨。高知、京都では自衛隊に災害派遣要請が出ている。高知・馬路村魚梁瀬では900ミリを超える雨量。京都では桂川が増水。渡月橋の水位も上がっている。 長良川の鵜飼いの船が避難している様子がテレビに映ったが、そこが川なのか道路なのかわか…

私がみた2018年上半期の映画、極私的絶対評価と寸評。じっくりと触れたいものは別にしてその③

今朝も明け方から風が強い。締め切ったテラスの外からかすかに風の音が聞こえて目が覚めた。カーテンを開けると庭木がひどく揺れている。 梅雨明け宣言以降、毎日のように強風が吹いて雨が降る。台風の影響とはいうけれど、この不安定さに梅雨明け宣言はなじ…

私がみた2018年上半期の映画、極私的絶対評価と寸評。じっくりと触れたいものは別にしてその②

「2018年上半期に封切られた映画」ではなく、2018年の1月~6月の間にみた映画のまとめ。 ⑰ モラトリアムたま子(2013年・日本・監督山下敦弘・前田敦子・78分)★★★ 前田敦子という人は独特の存在感がある。父親役の康すおんという役者も。地方都 市のスポー…

『美しい顔』HP上で無料公開。これはまっとうな反撃かそれとも強気の逆切れか。私は作品のもつ力を信じている。

6月21日に、群像新人賞を受賞した北条裕子氏の「美しい顔」について、私なりの視点から触れた。 6月29日に講談社は、当該作品は複数のノンフィクション作品を参考にしていたにも関わらず、参考文献として掲載していなかったとして著者らに謝罪したとの報道が…

私がみた2018年上半期の映画、極私的絶対評価と寸評。じっくりと触れたいものは別にしてその① 

7月になった。暑い。もう梅雨明けだって。 このブログ、始めて1か月。使い方もよくわかっていないが、文章を書いてアップすることだけはなんとか出来ている(と思う)。写真の使い方やカテゴリーなどよくわからないのだけれど。 ブログの目的の一つは映画を…

教員は50年近くもたった4%の「定額」で「働かせ放題」状態だ。高プロの末路は、給特法の「今」を見ればわかる。

政治の話なんかしたくはないのだが。 高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)を含む働き方改革法案が、30日参院本会議で可決され成立した。 私は正規の労働者として38年間働いた。その労働現場を離れてもう4年以上になる私にとっても(現在は一年のう…

『苦い銭』ひたすらディテールを積み重ねることでにじみ出てくる何か。『収容病棟』にもそれは共通している。

『苦い銭』(2016年・フランス・香港合作、163分)をみた。163分もつかなと思ったが、途中わずかにZZZZが入ったが、見終わったときの気持ちとしてはかなり充溢した感覚が残った。 タイトルがいい。いい映画の匂いがする。原題も中国語・英語・フランス語《苦…

『万引き家族』に「作品の寸評はさておくけれど」の市議の仕儀、「公」を後生大事に勘違いし続ける人たち

『万引き家族』は、まだみていない。好きな食べ物はあとに取っといてというわけではない。単に映画館が込むのが嫌なだけだ。 人込みが苦手になったのは50歳を過ぎたころからだ。つれあいと映画館に出掛け、込んでいたので仕方なく別々に坐ることにした。空い…

小説「美しい顔」(北条裕子『群像』6月号)にみる伝えることの「当事者性」について③   体験することだけが当事者性をもつわけではない

作品の中では,津波にのみ込まれていく人々の様子,避難所の様子,死体安置所の様子など「私」の目を通してすさまじいディテールが語られる。しかし彼女が言うように「私」の眼を通して語られるほとばしるような言葉は,北条が見たものではなく,「思考」し…

小説「美しい顔」(北条裕子『群像』6月号)に見る伝えることの「当事者性」について②     3・11の中で奪われ続けた当事者性とは

「小説を書くことは罪深いことだと思っています。(略)それは被災者ではない私が震災を題材にし,それも一人称で書いたからです。/実際,私は被災地に行ったことは一度もありません。(略)あまりに大勢の被災者たちの喪失を想像することが恐ろしかったので…

小説「美しい顔」(北条裕子『群像』6月号)にみる伝えることの「当事者性」について① 大和市文化創造拠点「シリウス」で群像6月号を見つけた

夕刊に月に一度掲載される文芸時評で,「美しい顔」という作品が群像新人賞を受賞したことを知った。書き手の北条裕子は全く知らない人だが,評者佐々木敦の絶賛に近い批評に刺激され,雑誌『群像』を探してみた。 評判となっているのか6月号は店頭ではすで…

消費社会ではクラシック音楽家も「ビジュアル」で勝負する。石坂団十郎と小菅優、そしてヘルベルト・ブロムシュテット

6月16日,雨もよいだが,久しぶりにコンサートへ。大和駅至近の大和芸術文化ホール。2年前に大和市文化創造拠点シリウスの一部としてできたもの。1007席の音楽用ホール(だと思う)だが,演劇やそのほか多目的なイベントに使用されているようだ。前の座席と…