『戦場0地点』・・・・戦闘意欲0地点ということか。兵士は国のために戦うというが、映像は真逆。

 9月の映画寸評(9)

            面白かった映画を⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から⭐︎まで勝手に評価。              

 

    『戦場0地点』

2025年製作/108分/G/ウクライナ/原題または英題:2000 Meters to Andriivka

(アンドリウカまで2000m)/配給:アンプラグド/脚本・撮影・監督:ミスティスラ

フ・チェリノフ/劇場公開日:2026年9月4日

           9月23日 アルテリオ映像館 星星⭐️⭐️⭐️⭐️

2024年・第96回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した「マリウポリの20日間」のミスティスラフ・チェルノフ監督が、ロシアによるウクライナ侵攻の最前線をとらえたドキュメンタリー。
2023年、チェルノフ監督はウクライナ軍第3強襲旅団の小隊に同行し、ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録する。兵士たちは2000メートル先に位置するアンドリーウカ村を目指し、死と隣り合わせの極限の道のりを、身を潜めながら前進していく。チェルノフ監督は兵士たちと行動を共にしながら戦場に身を置き、兵士のヘルメットカメラやドローンを中心に撮影する。冗談を交わし、家族や未来について語り、その直後に命を落としていく若い兵士たち。銃を手にする以前はそれぞれの日常を生きていたひとりの人間としての彼らの姿を見つめるとともに、激しい銃撃戦やドローンによる襲撃、絶え間なく降り注ぐ砲弾や荒廃した大地に横たわる戦死体など、ニュース映像や数字だけでは決して伝わらない戦場の現実を生々しく映し出す。
2025年・第41回サンダンス映画祭のワールドシネマ・ドキュメンタリー部門にて監督賞を受賞。(映画ドットコムから)

            

兵士のヘルメットに装着されたカメラの映像と、ドローンを使って上空から撮影した映像、そして監督が持つカメラの映像、ほぼ3つの視点から映画ができている。いわゆるリアルな戦争映画のストーリー性は全くない。ただひたすらアンドリウカに徐々に侵攻していく姿を追っている。しかし近づくにつれ、ロシア軍は村を破壊し撤退、ウクライナの旗を掲げても虚しいばかりだ。

ウクライナはこの4年、領土を取ったりとられたりを繰り返しながら、国土の20%を失っているという。

ロシアが占拠する2000m先のアンドリウカを攻略する意味はなんなのか、あるのかないのかも含めて戦いの根拠の薄さ?すぐそこにある命の危機を前に戦闘意欲を維持することの難しさがこの映画のテーマか。しかし戦いの無意味さは十分に伝わってくるが、それにしてもウクライナの兵士たちの厭戦ムードは微塵も感じられない。ロシアに対する西側諸国の向き合い方を背負いながらの映画の制作ということか。

そんなふうに受け取られたとしても、監督は映像そのものが持つ「力」を信じているのではないか。この映画を見て「国を守るために戦いにいく」という人間はそうはいないだろう。その意味でこの映画、戦闘意欲0地点、でもある。

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『私はあなたを知らない、』・・・夕平の中の28歳としての葛藤がもっと描かれてもいいのではないか。

 9月の映画寸評(8)

            面白かった映画を⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から⭐︎まで勝手に評価。              

 

    『私はあなたを知らない、』

2026年製作/126分/G/日本・フランス合作/配給:クロックワークス/原案・脚

本・監督:中野量太/出演:坂口健太郎 早瀬憩 堀田真由 倉田瑛茉 原田美枝子 渡

辺真起子 ほか/劇場公開日:2026年8月28日

            9月19日 kiki  ⭐️⭐️⭐️⭐️

「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督が坂口健太郎を主演に迎えて撮りあげた、日仏共同製作によるヒューマンサスペンス。中野監督が10年ぶりにオリジナル脚本を手がけ、「人を愛すること」「罪と贖罪、赦し」をテーマに、「家族」という幸せの形を追い求めた末に愛する人を殺めてしまった孤独な青年の姿を描き出す。
天涯孤独の身である28歳の西山夕平は、自分の中で決められたルーティンをこなすだけの日々を過ごし、その環境を寂しいとも思わないまま生きてきた。そんな彼の日常は、職場にやって来た新しいパート職員・東浜紗月の存在により一変する。彼女と出会い、生きる喜びを得た夕平の毎日は輝いていく。ある日、夕平は紗月から5歳の娘・朝子を紹介され、彼女がシングルマザーであることを知る。紗月と朝子との生活で、「家族」という幸せの形を初めて知った夕平の心は開放されていくが……。
坂口健太郎が夕平の孤独な青年期から葛藤を抱える40代までを演じ、紗月の娘で夕平の運命を大きく動かす朝子役で早瀬憩、紗月役で堀田真由、幼少期の朝子役で倉田瑛茉、罪を犯した夕平の弁護を担当する弁護士・町村善一役で滝藤賢一、娘の交際相手としての夕平に不信感を抱く紗月の母・道代役で原田美枝子が共演。(映画.comから)

隅々まで工夫が凝らされ、時間軸がかなり広いのに、随所できっちり伏線が回収されていく丁寧さは見ていて安心。特にサボテンに表象される部分は秀逸だと思う。

ただやや自閉的な傾向をもつ独身の夕平とシングルマザーの紗月の出会いが、今ひとつ腑に落ちてこない。二人の間の生活上の「ずれ」は出会いから内包されているのに、それでも惹かれあうにはもっと別の要素が必要なのでは?幼児の朝子と夕平の関わりは自然でいい。

坂口健太郎がピュアな青年を十全に演じているのだが、性的なものを全く感じさせないのが不満。夕平の中の28歳としての葛藤がもっと描かれてもいいのではないか。その意味で、朝子と二人だけの遊園地のシーン。「ここを動かないで」と言ってソフトクリームを買ってくる夕平が、泣き出している朝子を離れたところから凝視、すぐに近づいていかない。佇みながら両手のソフトクリームが溶けていくシーンが印象的。

もう一つの親子関係をかぶせて、夕平の弁護士である町村親子を登場させているが、親子、とりわけ滝藤賢一の演技が過剰で物語から浮いてしまったのは残念。この部分が脚本としてもやや作り込み過ぎと感じられた。

刑務所での朝子と夕平の面会シーンは、緊張感があってよかった。

映画としては坂口健太郎が全体の雰囲気をつくっていて、成功していると思った。タイトルもいい。

 

 

「復興再生土」とは言い得て卑怯極まりない。 横浜・花博に汚染土を持ちませない!

シルバーウィークという言葉は、2009年に土日と敬老の日、秋分の日が重なり5連休となったことから始まったとのこと。寡聞にして・・・知らなかった。

娘二人が孫たちを連れて、それぞれ2泊3日、1泊2日、我が家に滞在。普段は2人住まいだが、9人に。長女の夫さんだけ仕事で休場。

そのため予定していた下の集会は、自分の部屋からオンラインで参加することにした。

 

sites.google.com

 

 

国際園芸博EXPO2027の会場は、拙宅から歩いて10分ちょっと。1kmのところ。近接する市立小学校もある。知らんふりはできない。

この問題では事実上初めての公けの集会のようだ。

集会の始まりは、朝10時。300人の会場だそうだ。

司会者によると190人(オンライン70名)合わせて260名の参加とのこと。関心の大きさを物語っている。出席した友人によると、スクリーンにオンライン出席者の名前があり、そこに私の名前もあったとか。オンラインだとこういうことがある。

かと言っても名前を変えるのも・・・。


この問題、昨年11月、衆議院の国土交通委員会で神奈川選出の草間剛議員が、2027年国際園芸博覧会での復興再制度の利活用を考えるべしと発言、これが契機となって動き出した模様。

 先の大阪万博では、鉢一つだけ汚染土が持ち込まれたとか。官邸での汚染土使用と同じ体裁だけのカッコつけだが、横浜市には、10トン以上の汚染土が保管されていることもあり

(学校雨水利用施設の沈殿汚泥、一部は指定廃棄物(8000Bq/ kg超として環境省に登録10トン。校庭の表面から除去した土壌3トン、保育園の園庭の土壌200kg)

そのうちの校庭や園庭の濃度の低い汚染土については花博への利用も考えられるかもしれない。

いろいろネットで見てみると、この問題について環境省は「なにも決まっていない」、国の園芸博担当も同様。横浜市は「国からなにも言ってきていない」という対応。

いずれにしろ3・11から15年を経て、汚染土は一箇所で保管、管理すべしという基本方針が守られない状況が始まりそうな雲行き。

それにしても「復興再生土」とは言い得て卑怯極まりない言い方。こういうのを考える狡猾な知恵者が政権の中に棲息している。

『8月の声を運ぶ男』・・・・・被爆を「点」としてだけでなく、戦後の長い生活史として捉えていくことの重要さを伝えている。

  9月の映画寸評(7)

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    『8月の声を運ぶ男』

2026年製作/102分/G/日本/配給:WOWOW /原作:伊藤明彦/脚本:池端俊策/監

督:柴田岳志/出演:本木雅弘 阿部サダヲ 石橋静河ほか/劇場公開日:2026年8月21

日

           9月19日 kiki   ⭐️⭐️⭐️⭐️+

 

長崎に暮らし日本全国を渡り歩いて被爆者の声を集め続けたジャーナリスト・伊藤明彦の実話をもとに、原爆によってもたらされた数奇な出会いの物語を描いたヒューマンドラマ。2025年8月にNHKで放送され、第34回橋田賞をはじめ数々の賞に輝いたテレビドラマを、未公開シーンを追加し登場人物たちの内面をより深く掘り下げた映画版として公開する。

高度経済成長を遂げた1972年の日本。誰もが豊かさを追い求めるなか、その時代の流れに逆らうように、長崎の放送局出身のジャーナリスト・辻原保は被爆者の声を集めはじめる。当時はまだ原爆の記憶はあまりにも生々しく、その悲惨な体験を語ろうとする者は少なかった。そんな時代における被爆者体験の記録は、周囲から理解されない孤独で過酷な作業だった。ある日、辻原は被爆者の九野和平と運命的な出会いを果たす。九野が語る“声”に心を激しく揺さぶられる辻原だったが、その“声”は多くの謎に満ちていた。

本木雅弘が辻原役で主演を務め、石橋静河、伊東蒼、尾野真千子、田中哲司、阿部サダヲが共演。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」や映画「復讐するは我にあり」などで知られる広島県出身の脚本家・池端俊策が脚本を手がけた。

  

 

去年の12月、原作を読んだあとドラマを見た感想を載せている。

 

 

録画しておいたNHK戦後80年ドラマ『八月の声を運ぶ男』を見る。

まずは原作『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』(伊藤明彦)を読んでからと思って取っておいた。1980年に刊行されたこの本、2012年に文庫で再刊。今回ドラマ化で増刷されたようだ。書かれたのは70年代。1000人を超える被爆者の証言を録音するために全国を歩いた伊藤明彦さんの、これはある意味自分を語る「自伝」でもある。

被爆体験と被爆者体験を切り分け、被爆者体験〜被爆後の無数の長い個人史を見つめながら、それを思想化していく伊藤さんの思索は、被爆を「点」でしか見ようとしない、今を生きている私たちに視点の転換を求める。ヒバクシャとは何か、ヒバクシャとは誰かという根底的な問いかけから、我ら皆ヒバクシャという認識に至るところは、今野日出晴さん(岩手大学教授 歴史教育)の解説と相まって重要な提起となっている。ドラマの方はこの本を原案とした池端俊策さんの脚本。主演は本木雅弘、中心人物に阿部サダヲ。やや物足りない感はあったものの、これもまた戦後80年の画期にあって重要な意味を持つ作品であると思った。(2025年12月)

 

 

 

未公開シーンが付加されているというが、全体を通して見る者を思索に導く抑制したリズムが感じられた。照度も全体に暗いが、気にならない。ただ、原作を読んだときに感じられた久野に関わる困惑や疑問が、わかりやすく解かれている点がやや不満といえば不満。原作では久野の逡巡や躊躇、あるいは独特の思い(込み)がもっと深いものとして描かれていたような気がする。おこがましいかもしれないが、この映画は原作と合わせて見ることをお勧めする。70年代に書かれて2020年代に映画化されたという意味も込めて。

 

意図してそうなったのかどうかは別として、被爆という「点」だけでなく、戦後長い生活史線として捉えていくことの重要さを、この映画は伝えている。忘れてはならない映画だ。

 

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君子が増える・・・。

8月4日〜6日のこと、ようやく書き終わった。ちょうど1ヶ月、10回になってしまった。

7月に15回まで書いた給特法、超過勤務、休憩問題、今月中に再開するつもり。

 

学校の問題、少しだけ。

 

 

news.yahoo.co.jp

10日ほど前の記事。

生徒のミスをカバーし、なんとかして試合に間に合わそうと、その時に最善と判断した方法が、懲戒処分に。

「じゃぁ、どうすればよかったのか?」と聞けば、何もしなければよかったと行政は答えるのだろう。

 

news.yahoo.co.jp

これも同じような問題。

条例にない休暇を無断で教職員に付与したというが、校長なりの現場判断が尊重されない。

校長には「適切な配慮」という幅広い専決権がある。これが問題なのだろうか。

 

目の前の厳しい現実に対し、どうするのかと対応を迫られる時、ひたすらに自己保身に走る人はたくさん見てきた。

 

こうした行政の対応が、「何もしない人」を増殖させる。

 

 

『ルックバック』・・・・おもしろかったんだけど・・・。

  9月の映画寸評(6)

            面白かった映画を⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から⭐︎まで勝手に評価。              

 

    『ルックバック』

2026年製作/99分/G/日本/配給:K2 Pictures /原作:藤本たつき/脚本・監督:是

枝裕和/出演:出口夏希 蒔田彩珠 七瀬ふうり 岡田六花 宮藤官九郎 菅田将暉ほ

か/劇場公開日:2026年9月11日

     南町田グランベリーシネマ 9月16日 ⭐️⭐️⭐️+

「チェンソーマン」で知られる漫画家・藤本タツキが2021年に発表し、劇場アニメ版も大きな話題を集めた同名漫画を、「万引き家族」「怪物」の是枝裕和が監督・脚本・編集を手がけて実写映画化。漫画へのひたむきな思いで結ばれた2人の少女の13年間にわたる軌跡を、秋田県にかほ市を中心に撮影された美しい四季とともに丁寧に描き出す。
自信家である小学4年生の藤野は、学年新聞に4コマ漫画を連載し、クラスメイトたちから絶賛されていた。しかしある日、学年新聞に掲載された不登校の同級生・京本の漫画を見て、その圧倒的な画力に打ちのめされる。それ以来、藤野は絵がうまくなりたい一心で漫画を描き続けるが、京本との差は埋まらず、一度は漫画を描くことを諦めてしまう。しかし卒業式の日、京本の家に卒業証書を届けに行った藤野は、京本が自分の漫画のファンだったことを知る。漫画へのひたむきな思いで結ばれた藤野と京本は一緒に漫画を描くようになり、かけがえのない時間を積み重ねていくが、そんなふたりの日常を大きく揺るがす出来事が起こる。
「万事快調 オール・グリーンズ」の出口夏希が藤野役、「ハピネス」の蒔田彩珠が京本役で主演を務め、漫画編集者・前田役で菅田将暉、藤野と京本が通う小学校の先生・玉井役で宮藤官九郎、藤野の母・朱里役で野呂佳代が共演。「竜とそばかすの姫」で第45回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した坂東祐大が音楽を担当。2026年・第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。 (映画ドットコムから)

   

前半、楽しかった。学校のゆるい雰囲気、ちょっとありえないけどよかった。クドカン、犯罪者も秋田の小学校教員もなんでもできる。セリフのやりとりが、いい。

後半、今一つ・・・。少し退屈だった。原作の空気はしっかり踏まえられているが。

出口、藤田ともにハツラツ。出口は『オールグリーン万事快調』もキレがあってよかった。

子ども時代の二人、すごくいい。やりとり、もっと見ていたかった。是枝監督の子どもの演出はいつもいい。呉美保監督の演出に通じるような気がする。脚本もともに。

個性のかなり違う二人の間に流れる独特の空気がいい。リアリティそれに存在感がある。

 

ただルックバックと言われると、後半は面白くなかった。京アニ事件を連想させるのはなんだかなぁ。

どう着地するか、私には迷っているように思えた。勝手な見方だけど。

秋田・にかほ市・・・いいところだな。でも、雪国の子どもたちは、あんなふうに雪の中を歩いたりしないと思う。映画的。実際、歩くと危ない。

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手のひらを合わせて10回こすって耳に当てると波の音が聞こえる

 

『開戦前夜』・・・・若き官僚、軍人、民間人の開戦否定論はかっこいいいのだが、戦後的な視点からの展開がかえってリアリティを欠いている。

 

 9月の映画寸評(5)

            面白かった映画を⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から⭐︎まで勝手に評価。              

 

    『開戦前夜』

2026年製作/138分/G/日本/配給:東京テアトル/原案:猪瀬直樹/脚本・監督:石

井裕也/出演:池松壮亮 仲野太賀 二階堂ふみ 三浦貴大 松田龍平 国村隼 佐藤浩

一ほか/劇場公開日:2026年7月31日

                   9月12日 kiki  ⭐️⭐️⭐️

 

猪瀬直樹によるノンフィクション書籍「昭和16年夏の敗戦」を原案に、かつて日本に実在した機関「総力戦研究所」と日米開戦への流れを描いた人間ドラマ。2025年8月に放送されたNHKスペシャル「シミュレーション 昭和16年夏の敗戦」のドラマパートに約40分の追加シーンを加えた完全版。
1941(昭和16)年4月、真珠湾攻撃の8カ月前。官僚・軍・民間から選りすぐられた若きエリートたちが、内閣総理大臣の直轄機関「総力戦研究所」に招集された。彼らに与えられた任務は、“模擬内閣”を結成して日米が開戦した場合の戦局をシミュレーションし、その結果を内閣に報告すること。宇治田を始めとするメンバーたちは、国家機密レベルのデータを駆使した激烈な議論の末、「日本必敗」という衝撃的な結論にたどり着く。しかしエリートたちが導き出した敗北の予測は、時代が放つ得体の知れない空気にのみこまれていく。
キャストには主人公・宇治田役の池松壮亮をはじめ、仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大、國村隼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市ら豪華俳優陣が集結。「舟を編む」などの石井裕也が監督・脚本・編集を手がけた。(映画ドットコムから)

 

NHKのものを見た時は、「ふーん」だったが、今回はかなり不満。

「総力戦研究所」の存在意義がよくわからない。

たとえどんなに秘密裡であっても、「総力戦研究所」を設置する以前にもその是非について議論があっただろうし、設置されてからもさまざまな勢力からの妨害などがあったのではないか。政府の審議会など、いまでも政治家や官僚の容喙が当たり前だし、それ自体が政治的存在であるのだから、総力戦研究所が優れた官僚や軍人、民間人が集められていたとしても、確固とした会議体であったとは思われず、中での議論に対し牽制や揺り戻しなどの工作があったはず。その辺りが全く描かれず、純粋に開戦を否定するメンバーへの嫌がらせばかりが目立つ。開戦否定の方向性がわずかでも見えてきたら、開戦を企図する側からの研究所解体の動きも当然考えられるが、なぜか静観する東條英機の天皇への忠誠ばかりが強調される。

民間人はともかく軍人、それも佐藤隆太扮する瀬古など、相応の位置にいるにもかかわらず、「開戦反対」を表明するのは??。それに対し、国村隼扮する上官が「覚悟があるのだな(飛ばされる?)」などと言うのも、あまりに低レベル。石井裕也の脚本が、戦後の視点が強すぎるように思えた。

謎なのは、江口洋介扮する軍人の存在。よくわからなかった。

毅然と開戦に反対した人々がいたという史実があるとすれば、それは重要だが、開戦に理ありとする側の論理も、単に精神論だけでないものがあったのではないか。それらの凌ぎ合いのようなものを見てみたかった。

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