『エルガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』『悪は存在しない』5月の映画寸評⓵

2024年5月の映画寸評⓵

<自分なりのめやす>

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みる価値あり   ⭐️⭐️⭐️⭐️

時間があれば    ⭐️⭐️⭐️

無理しなくても  ⭐️⭐️

後悔するかも   ⭐️

『エルガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』2023年製作/125分/G/イタリア・フランス・ドイツ合作/原題:Rapito/監督:マルコ・ベロッキオ/出演:エネア・サラ レオナルド・マルテーゼ パオロ・ピエロボン/劇場公開:2024年4月26日)

                        5月7日 kiki   ⭐️⭐️⭐️⭐️

 

19世紀イタリアで、カトリック教会が権力の強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。

1858年、ボローニャユダヤ人街に暮らすモルターラ家に、時の教皇ピウス9世の命を受けた兵士たちが押し入り、何者かにカトリックの洗礼を受けたとされるモルターラ家の7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう。教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできないからだ。息子を取り戻そうとする奮闘する両親は、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得るが、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとはせず……。

監督・脚本は、「甘き人生」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」「シチリアーノ 裏切りの美学」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ教皇ピウス9世役はベロッキオ監督の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」にも出演したパオロ・ピエロボン。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

 

映像の重厚さに圧倒される。二つの宗教の間で翻弄される家族、とりわけ幼少時代のエルガルドを演じるエネア・サラの演技がいい。原題Rapitoは誘拐されたというイタリア語画像1

 

『悪は存在しない』2023年製作/106分/G/日本/脚本・監督:濱口竜介/出演:大美賀均 西川怜 小坂竜二/劇場公開日:2024年4月26日)

                   5月7日 kiki  ⭐️⭐️⭐️

「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞審査員グランプリ)を受賞するなど国際的に高く評価される濱口竜介監督が、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭のひとつであるベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)受賞を果たした長編作品。「ドライブ・マイ・カー」でもタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子と濱口監督による共同企画として誕生した。

自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からも近いため近年移住者が増加傾向にあり、ごく緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧は、娘の花とともに自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送っているが、ある時、家の近くでグランピング場の設営計画が持ち上がる。それは、コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだった。しかし、彼らが町の水源に汚水を流そうとしていることがわかったことから町内に動揺が広がり、巧たちの静かな生活にも思わぬ余波が及ぶことになる。

石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口監督に依頼したことから、プロジェクトがスタート。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、1本の長編映画としての本作も誕生した。2023年・第80回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したほか、映画祭本体とは別機関から授与される国際批評家連盟賞、映画企業特別賞、人・職場・環境賞の3つの独立賞も受賞した。

いろいろな評価があるようだが、私はついていけなかった。タイトルも生煮えのように思えた(『偶然と想像』もそう思ったが、映画としては楽しめた)。評価をしている人たちの論評を読んでも今ひとつしっくりこない。水挽町の住民らはわかりやすいし、グランピング場を設営計画する芸能事務所もわかりやすい。しかし芸能事務所の社員の話も反対する住民の言葉もどこかスカスカ感があり、学童にいる花を迎えに行くのを毎日のように忘れる巧はわからない。とにかく全体につくりものっぽくて・・・私は最後で宙吊りにされて終わり。冒頭のシーンの異様な長さ、巧の台詞回し・・・奇を衒っているというふうにしか感じられなかった。『ドライブマイカー』には沁みてくるものがあったのだが。