2024年5月の映画寸評② 『あまろっく』『鬼平犯科帳 血闘』映画愉しめた2本。

2024年5月の映画寸評②

<自分なりのめやす>

お勧めしたい   ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

みる価値あり   ⭐️⭐️⭐️⭐️

時間があれば    ⭐️⭐️⭐️

無理しなくても  ⭐️⭐️

後悔するかも   ⭐️

 

『あまろっく』(2024年製作/119分/G/日本/原案・監督:中村和宏/脚本:西井史子/出演:江口のりこ 中条あやみ 松尾愉 中村ゆり 笑福亭鶴瓶他/劇場公開日:2024年4月19日)   5月13日 109シネマズ港北   ⭐️⭐️⭐️

 

通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られ兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇。

理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってきた39歳の近松優子は、定職に就くことなくニートのような毎日を送っていた。ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が信条の能天気な父が再婚相手として20歳の早希を連れてくる。ごく平凡な家族だんらんを夢見る早希と、自分より年下の母の登場に戸惑いを見せる優子。ちぐはぐな2人の共同生活はまったく噛み合うことがなかったが、ある悲劇が近松家を襲ったことをきっかけに、優子は家族の本当の姿に気づいていく。

優子役を江口のりこ、早希役を中条あやみがそれぞれ務め、「尼ロック」のごとく家族を守る存在であり自由でロックな生き方をしている父を、笑福亭鶴瓶が演じた。監督は「よしもと新喜劇映画 女子高生探偵 あいちゃん」の中村和宏 。(映画.com)

 

久しぶりに出かけた地下鉄センター南の109港北シネマズ。朝一番の回、座席数80名の7番スクリーンに、私たち2人ともう2人。4人で見た。

テンポがよく、役者が達者なので、最後まで面白くみた。

ただ、落としどころもよく見えて、わかりやすいところにちゃんと落ちていた。予定調和画像21

ただ主演の近松優子役の江口のりこが生かされきれていないと思った。

周りとうまくやれず、独断専行の性格が、能天気な父親、20歳の後妻、突然現れた京大の同窓生の男性などによって、少しずつ変化していくのだが、今ひとつひねりがないというか。

仕事ができるのに会社をリストラになる、やめても引くてあまたなはずなのに声がかからず、気がつけば8年引きこもりの生活。

あまりに後ろ向きで否定的な性格のまま30代後半に。

その時間は描かれないから、優子の変化がどうもしっくりこない。演技がうまい分、違和感はないのだけれど・・・。要するにリアリティのなさが脚本、演出のテンポの良さ、役者の巧さでうまく隠されて、笑って泣いて(隣の人が涙を拭いていた)、終わってみればあまり残るものはないなあという感じがした。

まあ、吉本新喜劇と思えば納得なのだが。

中条あやみという女優、江口ほか達者な人たちと堂々と渡り合っている。うまい人はどんどん出てくるのだなと思った。

鶴瓶浜村淳佐川満男高畑淳子などバイプレーヤーも大活躍。

佐川は4月12日に亡くなっている。「今は幸せかい」の声が耳に残っている。

news.yahoo.co.jp からのあまろっくの佐川満男の写真

 

鬼平犯科帳 血闘』(2024年製作/111分/G/日本/原作:池波正太郎/脚本:大森寿美男/監督:山下智彦/出演:松本幸四郎 市川染五郎 仙道敦子 中村ゆり 柄本時生

中井貴一 松本ヒロ 松本穂香他 北村有起也/劇場公開日:2024年5月10日)

                 5月13日  109シネマズ港北   ⭐️⭐️⭐️これまで

 幾度も映像化されてきた池波正太郎のベストセラー小説「鬼平犯科帳」シリーズを、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化する時代劇シリーズの劇場版。2024年1月放送のテレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」に続く本作では、主人公の鬼平こと長谷川平蔵の過去と現在を交錯させながら、それぞれの時代で愛する者を救うため立ち上がる平蔵の熱き姿を描き出す。

長谷川平蔵のもとに、彼が若い頃に世話になった居酒屋の娘・おまさが現れ、密偵になりたいと申し出る。平蔵にその願いを断られたおまさは、平蔵が芋酒屋主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平を探していることを知り、独断で調査に乗り出すが……。

テレビスペシャルに続いて、若き日の鬼平・長谷川銕三郎を幸四郎の実子である八代目・市川染五郎が演じた。そのほか平蔵の妻・久栄を仙道敦子密偵・おまさを中村ゆりが演じ、劇場版ゲストとして志田未来北村有起哉松本穂香中井貴一柄本明が出演。(映画.com)

 

画像13

最後まで楽しめた。

でも、吉右衛門の平蔵があまりにも印象が深くて、入ってこない。おまさも久栄も彦十も忠吾もセットで頭の中に居座っている。困ったものだ。シリーズというからそのうち慣れるだろう。

一つだけ。同義反復?かもしれないが、吉右衛門の平蔵はどこかにどこかに人生の諦念のようなものがあり、それが味になっていたと思う。それと奥の方に燠火のように残る残忍さもあった。単に懲悪の人ではなかった。その辺が吉右衛門池波正太郎の原作に惹かれるところ。

次回作を楽しみに待つ。