「2018年上半期に封切られた映画」ではなく、2018年の1月~6月の間にみた映画のまとめ。
⑰ モラトリアムたま子(2013年・日本・監督山下敦弘・前田敦子・78分)★★★
前田敦子という人は独特の存在感がある。父親役の康すおんという役者も。地方都 市のスポーツ用品店を営む離婚した父親とモラトリアムのたま子の日常を淡々と丁寧に描く。こういう親子っているというリアリティ。出ていってほしいけどそういえない父親。出ていきたくないけれどそう言ってほしい娘。何も起きない映画だけど、だからいい。
⑱ リピーテッド(2014年・英米仏・ローワン・ジョフイ監督・ニコールキッドマン・
92分)★★★
事故の後遺症で一日しか記憶のもたないクリスティーン。毎朝夫に起こされると、そこから新たに記憶を再生する。クリスティーンは夫のことも覚えていない。はたしてこの夫は…。面白いのだけれど、今一つキレがない感じ。
⑲ あゝ、荒野(前編)(2017年・日本・岸善幸・寺山修司原作・菅田将暉・157分・監 督岸善幸)★★
あゝ、荒野(後編)(2017年・日本・岸善幸・寺山修司原作・菅田将暉・147分・同 上)★★
菅田将暉が日本アカデミー賞新人賞を前編で受賞。後編を入れないのは何か意味があるのだろうか。
さすがに監督賞にも作品賞にも入っていない。合計200分以上で、通俗的で冗長。人物像も類型的。寺山修司原作という触れ込みもあまり生きていない。
㉑ ルアーブルの靴みがき(2011年・フィンランド・ドイツ・フランス・93分・原題:
LE HAVRE・監督カウリスマキ)★★★★
既述
㉒ ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命(2017年・チェコ・イギリス・ アメリカ・127分・原題:The Zookeeper's Wife・ニキ・カーロ)★★★★
別途
㉓ ベロニカとの記憶(2017年・イギリス・108分・原題:The Sense of an Ending(終わりの感覚)・シャーロット・ランプリング・監督リテーシュ・バトラ)★★★★
既述
㉔ 希望のかなた(2017年・フィンランド・98分・原題:Toivon tuolla puolen(フィン
ランド語で「私はそれを超えて願う」・監督カウリスマキ)★★★★
既述
㉕ 永遠のジャンゴ(2017年・フランス・117分・原題:Django・監督エチエンヌ・コマール)★★★★ 別途
㉖ ルージュの手紙(2017年・フランス・117分・原題:The Midwife(助産師)カトリーヌ・ドヌーブ・マルタン・プロボ監督)★★★★
時間調整に見たのだが、カトリーヌ・ドヌーヴ(ベアトリス)のわがままで図々しくかつ繊細で心優しい老女ぶりが秀逸。つい惹きこまれてしまった。カトリーヌ・フロ演じる血のつながらない娘クレールとのやり取りがいい。パリで単身で働く助産師クレールの生活にリアリティがある。
㉗ ゴーギャンタヒチの旅(2017年・フランス・102分・原題:Gauguin - Voyage de Tahiti・監督エドゥアルト・テルック)★★★
ゴーギャンのタヒチへのあこがれと失意、タヒチの娘テフラとの出会いと心離れ。絵にかける気概と生活のリアリティの中で負け続けるゴーギャン。しかし映画としてはピンとこなかった。
㉘ デトロイト(2017年・アメリカ・142分・原題:Detroit・監督キャスリン・ビグロー)★★★
1967年のデトロイト暴動を再現。白人警官による不当な取り調べを克明に描く。死者43名、負傷者1000人以上にのぼる暴動の中で起きたでっち上げ。黒人の若者たちを心理的に追い詰める警官役のウイル・ポールターの演技が凄みがある。監督は、キャスリン・ビグロー、「ハートロッカー」をつくった監督である。トランプ政権下でこそつくられた価値がある一編。ただ、まとまりという点で今一つ。
「デトロイト」から
㉙ はじめてのおもてなし(2016年・ドイツ・116分・原題:Willkommen bei den(ようこそ)・監督サイモン・バーホーベン)★★★★
既述
横浜に戦後まもなくできた「市民酒場」が、現在3軒残っている。これはみのかん。