今回のことはみんなが優しくなれば解決することじゃないんです。優しい気持ちになれる時も、そうじゃない時もあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです。

    前回,自民党杉田水脈議員の発言に対して触れた。

 7月27日、大規模な抗議行動が行われたという。自民党本部前に5000人の人たちが集まった。個人のtwitterによるよびかけ。マスコミの反応は鈍い。


 二階自民党幹事長は「人生観の問題」として杉田議員をかばったが、それに先んじて「当事者の方が社会、職場、学校でつらい思いや不利益を被ることがないよう、多様性を受け入れる社会の実現を図ることが大事だ」とまっとうなことを言っている。まあ、建前的ではあるが。 

 問題はそれが「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」と断じた杉田発言とどう整合するのかということだ。理屈にどれほどの懸隔があっても「人生観の問題」なら中身は問わないということか。それではかばうことにもなっていないのではないか。これは、もう組織の対応として体をなしていないと思う。個人的趣味、人の好悪を持ち込むなと言われても仕方ない。当然のことだが、自民党内部からも異論が噴出しているようだ。

 組織としての最低限の公正さ、潔癖さのようなものをもっていなければ、党も政府も担うのは難しい。いやいや国民もその程度だから支持率そこそこでやっていられるんですよと、言われれば返す言葉もないが。 

 LGBTに限らず、少数者の側に立ってものを見ることが大事だと思ってきた。アナーキーかもしれないし、けっして生産的ではないが。
 

 抗議集会の中での林夏生さん(LGBT法連合会共同代表)という方のスピーチがネットで起こされていたので、拝借して載せておく。響くものがあった。


 

 絶対今日は来なきゃいけないと思ったんです。今回私たちは傷つきました。悲しみました。 
 私は大学で教えています。その中で性の多様性の話をようやくこの3年間始めることが出来ました。そしたら、大学生が次々に言うんです。

 先生、どうしてこんな大事なことを小学校、中学校の時に教えてくれなかったんですか?もしそれを知っていたら、酷く虐められていた自分の友達を助けてあげることが出来たのに。もしそれを知っていたら、自ら命を絶ったあの友達を助けることが出来たかもしれないのに。

 杉田議員、あなたご存知ですよね。2015年の動画の中で「性的マイノリティの自殺率は6倍だ」って、あなた、嗤いながら言ってました。あれを見た時に背筋が凍りました。一体どれだけたくさんの命を見送れば、世の中は変わってくれるんだろう。ずっとずっと辛かった。

 差別の言葉がなんでダメなのか、それはその時耳に刺さるだけじゃないんです。その言葉はその言葉に触れた人の心の中にずっと残るんです。「あなたは必要とされてない」ってその一言、それが寝ても覚めて繰り返されてしまうんです。

 わたしがそうでした。古い町の長男に生まれながら、親に孫の顔を見せることが出来ない僕なんて生まれてくるべきじゃなかったって…!物心付いた時からずっと思ってたんです。誰ですかこんなこと私に吹き込んだのは…。

 でも、こんなのは30年前のことだ、40年前のことだろうと思ってたら、違うんですよね。地方の町の中では、まだまだ昔の私と同じように自分を呪いながら生きている若い子たちがたくさんいるんです。

 私が懸命に中学校を回り、高校を回り、あなたはあなた、大切なあなたなんだからと言っても、あなたの言葉が(杉田議員の言葉が)それをみんな吹き飛ばしてしまう。こんなことは許せない。

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(ここでその場で聞いていた女性から「全部、話して!」と声がかかる)
(半ば応える形で)私、カミングアウトしてないんですよ。はい。それはどうしてでしょう? だって、カミングアウトなんかしたら私は生きて行けないって、ずっと自分の中で言い聞かせて来たからです!

 でも、この一週間、知りました。黙っているより、もっと怖い事が起きるんだって。だから、私はここで言います。


 私は、ゲイだ!(声援と拍手)それが、どうした!!(声援と拍手)
 私たちはここにいる!THIS IS PRIDE!!(シュプレヒコール)THIS IS PRIDE!!


 今回のことはみんなが優しくなれば解決することじゃないんです。優しい気持ちになれる時も、そうじゃない時もあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです。

 この世界の風向きが変わったって、誰も傷つけることのない世の中にするために、どうか一緒に「制度」を作って下さい!!

 私は大学の教壇でずっと学生たちに「政治を諦めるな」って言ってるんです。「諦めたくなるような政治」はどうか終わりにして下さい。
これからもいい世の中を一緒に作っていきましょう。ありがとうございました。