マークコーラス、ohana、左座家、コーラスってほら、いろいろあっておもしろいものだから。

    たいてい深夜2時前後に目が覚める。エアコンはつけたままだから、からだが少し冷えている。トイレに立つ。1時間ほど横になったまま本を読む。

 松尾スズキ『私はテレビに出たかった』(2010)読了。面白かった。前作の登場人物を踏襲しながら、つくりがもっと複雑になっている。文章も格段に面白くなっている。

 昨日、Amazonで文学界3月号を注文してしまった。衝動買い。芥川賞2018年上半期の候補作松尾スズキの『もう「はい」としか言えない』が載っているからだ。

 今朝届いていた。今日中に読める。

 選考会はたしか明日。

 芥川賞

 「・・・おもに無名または新進作家の純文学短編作品を対象」

としているのに、無名どころかかなり有名で、かつ新進作家とはいえない松尾が候補に挙がっているのはどういうことなのだろう。門外漢にはよくわからない。

 それはそれとして、北条裕子『美しい顔』と併せて2作も発表前に候補作を読むなんて初めてのことだ。
 

 暑くならないうちに散歩と思っても、食事をしてからだと7時前になってしまう。
 百日紅の花が鮮やかなピンクに染まっている。

 数日前、体を寄せ合って動かなかった三羽のカモの子どもは、今週は親についてえさを摂っていたり並んで水面を進んだりしている。

 アオサギにカワウ、ツバメにムクドリ・・・。

 平日は散歩の人たちの中に通勤の人が混じる。自転車を止めてスマホ片手に太極拳の練習をしている人がいる。姿格好は勤め人、出勤途上のわずかな時間を趣味に費やす。えらいなと思う。

 仕事をしているころ、特に最後の10年ほどは、1時間弱の出勤時間の電車の中で、毎日のように「仕事やめている自分」を思っていたものだ。このまま降りずにずっと乗って行ってしまったらどうなるか、というのも。実際にやったことはなかったし、無断欠勤など38年間一度もしなかった。基本的に小心者なのである。

 やめてみていちばん解放されているなと感じるのは、午前中の外出。スーパーでも本屋でも図書館でも野菜の産直でもいい。ああ、自由だ、と思う。

午後になると解放感は薄れてくる。不思議なものだ。

 

 先週の日曜日、瀬谷区第29回音楽祭を聴きに行った。午後だったけれど。

 土日の二日間、瀬谷区の音楽愛好家が演奏を披露する。出演は小学生から90歳を超えるシルバーまで40団体と個人、幅広い年齢層にわたる。

 つれあいがマンションのコーラスサークル「マークコーラス」の一員で、去年からこの発表会に参加している。9人しか出ないコーラスで、今年は4小節のソロを歌うという。練習で歌うのを何度も聴いたので、行かないわけにはいかない。三ツ境瀬谷区公会堂まで出かけた。

 マークコーラスの発表曲は久保田早紀の『異邦人』を、凝った編曲で長いコーラスに仕立てられたもの、最後のところでソロ。何とか無事に歌い終えた。ほっとする。

 つれあいのコーラスの発表の前5団体ほど聴いたのだが、偶然、昨年と同じ団体の歌にゾクッとさせられた。

 混声合唱ohanaが歌う滝廉太郎の「花」と松下耕の「抱きしめる」。5人。男性2人女性3人。うち一人は小学3年生くらいの女の子。 

 力まず響きを大切にして歌おうとしているのが伝わってくる。こういうコーラスは聴いていて楽しい。2家族かなとも思える。男性の一人が指揮しながらベースを歌っていて、よく響く。2曲目で女の子がソロを歌う。コーラスに溶け込んでしっかり歌う。おまけなどではない。

 そういえば去年も聴いたんだったっけと思い出す。プログラムには「月2回日曜日、午前9時から11時海老名市文化会館で練習」とある。

 演奏を終えて客席に戻ってくる様子を見ていると、女の子は終わってほっとしていて、女性が肩を叩いてやっている。ベースの男性の横にちょこんと坐る。お父さんか。思わず「よかったよ」と声をかけたくなる。もちろんかけないけれど。


 youtubeで、熊本の「左座家(ぞうざけ)」という家族コーラスの演奏を聴くことができる。両親と子ども2人の4人が4パートを受け持って歌う。

f:id:keisuke42001:20180717101316j:plain左座家の4人

 2002年から活動を始めて2年前に「解散」したらしいが、youtubeではいつでも聴ける。かなりうまい。遺伝子が似ている分、声にもそれが表れてハーモニーがきれい。お父さんが県庁合唱団の指揮者で、4人でも、いや4人だからできるかなりレベルの高いコーラス。聴いていて楽しい。

 まだ小学生の二人を間にして歌う両親、数年たつと子どもたちは学生服に。10年以上たつと立派な大人のカルテット。ハーモニーが厚みを増していく。両親は少し太り、お父さんは髪が薄くなる。これは歌う家族の歴史。

 声も音楽性もどんどん進化し、たっぷりした豊かなものに。今これを書きながら聴いている小学生時代の「旅立ちの日に」学生服の「瑠璃色の地球」、かなりいい。鳥肌が立つ。

 お父さんのソロで始まる桑田佳祐TSUNAMI」もいい。「喝采」や「津軽海峡冬景色」に「ダニーボーイ」も。クラシックに拘らず「とりあえず歌ってみよう」がいいなと思う。

 

 Ohanaも続けていってほしいなと思う。5人でつくるコーラスの歴史。これはこれで夢がある。大編成、大音量のコーラスもいいものけれど、コーラスってほら、いろいろあっておもしろいものだから。

 

f:id:keisuke42001:20180717101844j:plain

イワシの梅干煮(画面を横にしたいのですが…)