読書

映画「ふがいない僕は空を見た」の同名原作(窪美澄作)を読んでみた。心理描写が重層的で豊か。深さがある。面白かった。

一般社団法人全国旅行業協会(ANTA)というのがある。全国47都道府県に支部を置き、会員数5600社、観光事業の振興と地域の活性化を目指しているのだという。 いわゆる業界団体。 業務内容は、観光庁長官の指定協会としての「法定業務及び指定業務」、「試験事…

『月』(辺見庸)読了。辺見は、全てを敵に回して、「わたしたちのいま」を見せてくれる。

『月』(辺見庸)の朗読を終えた。 5月16日に始めて、7月11日まで2か月弱かかった。 朗読をしなかった日は6~7日、小刻みに、長くても20分程度。それ以上は重すぎて続かなかった。 18時30分~19時の、Mさんがキッチンで夕食をこしらえている時間、時にはま…

新刊『14歳のひろしま ワタシゴト』(中澤晶子) ワタシゴト  渡し事=記憶を手渡すこと  私事=他人のことではない、私のこと

中澤晶子さんの新刊です。7月17日発売。 広島修学旅行をめぐる子どもたちの物語。 中澤さんの『あしたは晴れた空の下で~子どもたちのチェルノブイリ』という本の中の1章「いのちということ」が、中学一年の教科書に載ったことがきっかけで、中澤さんと横浜…

『山中静夫氏の尊厳死』(南木佳士)の原作を読んでみた。その二

「文庫版あとがき」で南木は次のように書いている。 『肺がん治療に関していえば、現在はこの小説が書かれた当時よりいくつもの分野で格段の進歩がみられ、予後は年ごとに改善され、CT検診の成果で早期肺癌のみつかる割合も極めて多くなっている。』(232頁…

『山中静夫氏の尊厳死』(南佳士)の原作を読んでみた。その一

このあいだ、映画『山中静夫氏の尊厳死』について書いた。梅雀と津田寛治という二人の役者を起用したにしては、出来は決して良いものとは思えなかった。どこかひっかかるかるものがあったので、原作を読んでみようと探したら、2004年に出た文庫本が中古で見…

『歴史としての日教組』(上・下)正直じっくり読もうという気になれなかった。こうした論文集、いったい誰が読むのだろうか。少なくとも現場が研究者に求めているものではないと思う。

【読み飛ばしの記録】の続き 『神も仏もありませぬ』(佐野洋子・ちくま文庫/2008年(単行本2003年)/580円+税) 「いつ死ぬかわからぬが、今は生きている。生きているうちは、生きてゆくより外はない。生きるって何だ。そうだ、明日アライさんちに行って…

気になり続けてきた『滝山コミューン1974』片山を中心とする学級づくり、学校づくりに身も心もつぎ込んだ原の当時の級友たちが、30年を経て会ってみればその記憶すらほとんどないという事実からしても、原の執着に私はどこか異質なものを感じてしまう。

【読み飛ばしの記録】・・・備忘録です。 『ある一生』(ローベルト・ゼーターラー・朝井晶子訳/新潮クレストブックス/2019年6月刊/1700円+税) 友人からいただいた本。クレスト文庫は『朗読者』や『パリ左岸のピアノ工房』『停電の夜に』『帰郷者』など…

『加計呂麻旅日記』戦後75年という時間を考えれば、人々の記憶の中に埋もれていく運命にあったものを、津田さんが丁寧に掘り起こして、私たちに見せてくれる。島の人々にとっても、語り継がれるべき歴史であることは言うまでもない。すごい仕事である。

【読み飛ばしの記録】の続き 『シズコさん』(2008年/佐野洋子/新潮社/1400円+税)★★★★ 何かを読んでいて、佐野洋子と母親の確執のことが気にかかって、中古で購入。本を見て感じるところがあり、本棚を探ると同じ本が。Mさんが買って読んだようだ。こう…

辺見庸『月』・・・主人公「わたし」あるいは「あたし」は、「きいちゃん」という「見えない」「動けない」「喋れない」いわゆる重度障がいをもつ女性。そして「あなたひとですか?」「ひとのこころ、ありますか?」と問うのが「さとくん」(きいちゃんが入所している施設の介護職員)。

辺見庸『月』の朗読、続いている。読者はらいとM さん。ともに熱心に?聴いてくれている。Mさんは夕食の準備をしながら、らいはうろうろしながらだが、それでも張り合いがあるものだ(笑)。 現在、17章まで。全部で37章だからようやく中間部に差し掛かると…

【読み飛ばしの記録】『あの本は読まれているか』(2020年/らーら・プレスコット著・吉沢康子訳/東京創元社 1800円+税)★★★★☆』1冊の本をめぐって第二次世界大戦後の米ソが激しくぶつかり合うという信じられない世界が、リアルに描かれているのは驚き以外の何物でもない。

就学援助の子に「昼食代」を支給する自治体が3割あるという。 調査は道府県庁所在市、政令指定都市、東京23区の74自治体。 昼食代のほかに子ども一人当たり1万円支給(福井市)困窮世帯に一食100円の配食事業(世田谷)就学援助家庭に食材送付(神戸)簡易給…

『閉鎖病棟―それぞれの朝ー』鶴瓶の演技はよく抑えられていてよかった。綾野剛もトリッキーな役が多いが、この映画ではシリアスな演技がよかった。母親役の片岡礼子、独特の臭みのある役者。根岸季衣、木の花、小林聡美など素晴らしい役者がそろっているだけに、「あれ?」と思わされるところがいくつもあって残念。

薄暮シネマ【5月26日~28日】 『閉鎖病棟-それぞれの朝―』(2019年/117分/PG12/日本/原作:帚木蓬生/監督・脚本:平山秀幸/出演:笑福亭鶴瓶・綾野剛・小松菜奈/Amazonプライムビデオレンタル407円)★★★ 妻と間男を衝動的に殺してしまった男秀丸(笑…

『海角7号 君想う 国境の南』どうして今までこの映画をみなかったのか。何とも情緒のあるしみじみとしたいい映画だ。タイトルもいい。音楽が楽しませてくれる。台北ではなく、南部の高尾より南の恒春が舞台。中国とは明らかに違う国、台湾。

薄暮シネマ【5月23日~25日】 『ショートターム』(2013年/97分/アメリカ/原題:Short Term 12/監督・脚本:デスティン・ダニエル・クレットン /出演:ブリー・ラッソン ジョン・ギャラガー・JR・2014年日本公開)★★★★☆ 日本でもたぶん大きな話題になっ…

薄暮シネマ5月12日~22日

【薄暮シネマ】5月12日~22日 『みんなの憲法』(2019年/日本/39分/2019憲法を勉強する会)★★★ https://maimaiz.wixsite.com/minnanokempo 「映画「みんなの憲法」は、憲法問題についてみんなで考えたいという素朴な思いから、東京都西多摩地域の市民グル…

現代思想4月号 迷走する教育

http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3408 今年も現代思想4月号(青土社)は、教育、学校特集。 私が知っている限り、18年前の2002年からほとんど毎年4月号は教育、学校がテーマ。 今回の改正(変形労働時間制)と30年前に最高裁まで闘った「横浜超…

『季刊福祉労働』166号。「教員の働き方改革」考 みんなの学校をめざして

『季刊福祉労働』166号。「教員の働き方改革」考 みんなの学校をめざして 私は東須磨小の事件について、考えてきたことを書いた。 紹介 特集 「教員の働き方改革」考――みんなの学校をめざして 教員の多忙化と管理強化によって、およそ人を教育する場ではなく…

 昨年後半(7月~12月)の映画と書籍の備忘録

昨年後半(7月~12月)の備忘録。印象だけ★で 【映画】 『i 新聞記者ドキュメント』★★★(2019年/113分/日本/監督:森達也) 『二人のローマ教皇』★★★(2019年/125分/イギリス・イタリア・アルゼンチン・アメリカ合作/原題:The Two Popes/監督:フェ…