読書

「大丈夫、誰も私を刺すことは出来ないわ」という自信が小池にはあるのだろう。 権力者の間を渡り歩いてきた彼女なりの処世術が、今度もものを言うのだろうか。

小池百合子が記者会見。 文藝春秋やyoutube、テレビでのいくつかの学歴詐称についての報道にコメントをしている。 カイロ大学から卒業証書をもらっている、なんの問題もない、選挙になるとこの話題が出る、残念だ、といったところ。 堂々としたものである。 …

『人間は老いを克服できない』(池田清彦・2023年12月・角川新書・900円税別)死んで自我が消えれば全てチャラ

『人間は老いを克服できない』 (池田清彦・2023年12月・角川新書・900円税別) 動物は、苦痛から逃れたいとは思うだろうが、死ぬのは怖くないに違いない。そう断言すると、動物になったことがないのに、どうしてそんなことが分かるんだ、と絡んでくる人がい…

『未明の砦』(太田愛)を読む。・・ この国の人間には社会という概念がないのだ。あるのは帰属先だけ。自分のいる会社、自分のいる学校、自分のいる家族。顔の見える相手がいて息苦しい人間関係に縛られた帰属先しかない。そもそも社会という概念がないのだから、社会にどれほど醜悪な不正義や不公正が蔓延しようと、自分に実害がないかぎり無関係な事象でしかないのだ。

9日、朝。気温3℃。 満開のミモザと降霜、奥に咲いているのは緋寒桜だろうか。 冬と春が同居する。今朝も快晴。丹沢の雪も富士山も輝いている。気温2℃。 太田愛『未明の砦』(KADOKAWA・2023年7月・2860円)、600ページある大部の小説。三日かかったが読み…

「映画・ドラマとマイノリティ存在」を書いた。(飢餓陣営58号2024年2月刊)

佐藤幹夫さん編集の思想誌『飢餓陣営』58号に「映画・ドラマとマイノリティ存在」という文章を書いた。日記形式の映画評の2回目で、10頁ほどの原稿である。1回目は前号57号にやはり日記形式で『「社会は何も変わんねえんだよ」はほんとうか』を書いた。 表題…

村岡栄一『去年の雪』ありがとう さようなら 漫画と人生

言い古された言い方だが、二月は「逃げる」。気がつけばもう月末。いつもより1日多いが、日々の時間が飛ぶように過ぎていく。 ミモザ、枝は折れたが今が盛り。それに境川河畔の河津桜も満開。 土曜日にとんとご無沙汰だった蕎澤へ。 1月は全休で、2月も初め…

沢村貞子『老いの道づれ』(1995年 岩波書店)で、山田太一に出会った。

雪の重みで折れた近所のミモザの木、裂かれた枝が無惨だったが、今朝は片付けられていた。樹影は3分の2ほどに。 ひとり散歩。Mさん、昨日から不調。風邪のようだ。 出かける予定を変更。先日、本を整理中の友人K氏からもらった『老いの道づれ』(沢村貞子 1…

『夢の家』(魚住洋子)

魚住陽子『夢の家』を読んだ。短編集。作者は昨年亡くなっていて、遺作集のようだ。 芥川賞の候補に2度上がっているが、生前、それほど注目はされなかった作家。もちろ ん私も知らなかった。 どの作品も、濃密な死の気配が漂うが、言葉の紡ぎ方が素晴らしく…

「ひろしまの満月」(中澤晶子・著・ささめやゆき・絵 小峰書店)が、産経児童出版文化賞産経新聞社賞を受賞。

今日、こどもの日。 午前中から買い物に出かけた。夏物のスラックスとシャツを買った。初夏である。外の気温は26℃。湿気の少ない風が窓から入ってくる。 運転はもちろんMさん、車中、ニッポン放送の「久間田琳加のよみきかせのせかい」という番組が流れてい…

「没後50年 川端康成展 虹を紡ぐ人」

6日、コンサートのために上京したHさんと県立美術館へ。 朝から雨、気温は12℃。桜木町駅から「あかいくつ」号に初めて乗った。雨に煙るヨコハマ、ロープウエイ(YOKOHAMA AIR CABINというのだそうだ)もハンマーヘッドも初めて。ここにこんな建物があったの…

井上荒野のエッセイ『夢の中の魚屋の地図』

井上荒野の文庫本『夢の中の魚屋の地図』を読み終わった。 彼女が28歳から52歳の24年間に発表したエッセイをまとめたもの。全73編。 発表順ではない。 中身はもちろんだが、たぶん、この73編の並べ方がいいのだろう。 その時の情景、言葉の選び方、つなげ方…

甲子園の中継を見る。

もう10日近く散歩をしていない。 早朝に70分、夕方に30分。歩数計は12000歩ほど。 降る日も照る日も・・・は大げさだが、休むことはあまりない。 体力というか筋力が落ちるのは必至。かと言って、出歩くわけにもいかない。 8月14日、8時から甲子園の中継を見…

『彼はなぜ担任になれないのですか 「車いすの先生」、奮闘の記録』(佐藤幹夫)障害があっても正規採用される道は開けている。しかし現実の仕事の場面ではやさしく拒否される。 トラブルとならないことだけを理由に、障害をもつ教員は我慢を強いられる。 障害が理由ではなく、受けいれる工夫を惜しむがためにである。

佐藤幹夫さんから『彼はなぜ担任になれないのですか 「車いすの先生」、奮闘の記録』という本をいただいた。 秋田の中学の数学の教員、三戸さんは何度希望しても学級担任になれない。 教員になって22年。「合理的配慮」という名で学級担任就任を拒否されてい…

『テスカトリポカ』と胃カメラ

『テスカトリポカ』(佐藤究・2021年)読了。面白かった。究極のクライムノベルという触れ込みはそうはずれていないと思った。南米からインドネシア、日本を舞台に臓器売買を縦糸に幾人もの人間模様を横糸にして繰り広げられる壮大な小説だ。人物描写が際立…

『もう、沈黙はしない―性虐待トラウマを超えて』(矢川 冬)    「私は加害親やその協力者とは絶縁すべきだと思っています。中途半端な和解や関係修復は、中途半端な回復しかもたらしません。しかも被害者の潜在力をそぎ混乱の中に引きずり込みます。加害親とはきっぱり縁を切るべきです。」(本文から)

どういう縁なのかわからないのだが、筆者が私のブログにときどき来てくださる。それをたどって筆者のブログに行き着いた。そこでこの本に出会った。 頁を開いてから一度も閉じることなく一気に読んだ。引き込まれた。 筆者は、10歳から12歳までの2年間、実…

『やさしい猫』(中島京子・2021年8月刊・中央公論新社)「品川で捕まったんだ。出頭申告の前に」 「ちぇ、ひでえな、品川の職質は、オダアツのネズミ捕りみたいなもんだからな」

Mさんが図書館から借りた『やさしい猫』(中島京子・2021年8月刊・中央公論新社)をまた借りした。 話題になった本なのに図書館の順番が意外に早く回ってきたらしい。読まれているようで読まれてないのか。 自分が住むこの国が、外国人にとってどんな国なの…

季節の変わり目、帽子のかわり目。

今朝から帽子を変えた。 春バージョンに。今、マスターズに出ている松山選手にあやかるわけではないが、使い古しの白のSRIXONのキャップ。何年かぶっているだろうか。 寒い間は、無印の皮のキャップ。帽子ひとつで気分は変わる。これも10 年以上かぶっている…

田中元理事長、執行猶予と罰金で放免。明らかな政治案件。 守られたのは「妻」だけではない。いったい何人の政治家が守られたのか。

境川河畔のソメイヨシノ、28日には咲き始めていた。 昨夜の雨で低温となった気温が持ち越され、今朝4℃。絵にかいたような寒の戻りの中少し震えながら歩いたのだが、遅咲きのオオシマザクラも満開となっていて、桜はみな冷凍保存されたように咲いていた。 29…

『子どもに語る前に大人のための性教育』言葉・法・損得に支配された「社会」と、言外、、法外、損得買いのシンクロが優位する「性愛」は、別の時空です。その証拠に、古今東西の別なく、「社会」に「性愛」が露出すれば、猥褻だと感じられ、「性愛」に「社会」が露出すれば、ハラスメントだと感じられる。(宮台真司)

今朝の玄関の外の最低気温は-0.3℃。ぐっと冷え込んだ。 昨日、おとといは、境川の川べりを歩いていて、風がまったくなく陽射しが温かくて、 「少し春めいてきたねえ」と話していたのだが。 寒くても、あちこちで梅が咲き始めている。 『こどもに語る前に大…

子ども図書館、広島市、見直し案を提示。一見いい話のように見えて、こすからいまやかし。これでは子ども図書館の機能の分散化だ。縮小するときの常とう手段。

今朝の中国新聞の記事。突然出てきた折衷案。 現地の情勢はよくわからないが、子ども図書館の閲覧室、学校の教室でいえば12教室分を4教室分に縮小して残すということだ。そうして移転先のエールエールA館では現在の2倍の広さを用意するという。一見いい話の…

貴重な存在の広島市子ども図書館の移転に反対する市民の会に賛同します。

app.box.com 1月初めから子ども図書館移転問題を考える市民の会は、広島市議会に対し、広島市子ども図書館の移転に反対する請願署名活動を展開してきました。 私も広島の友人、子どもの本作家の中澤晶子さんからの依頼を受け、大いに賛同し、全国の友人たち…

『軍旗はためく下に』(結城昌治・1970年)を読んだ。

観た覚えがあるのに中身が思い出せない映画、いい映画だったという記憶はあるのに。 新藤兼人脚本、深作欣二監督の『軍旗はためく下に』もそんな一編。 公開は1972年だから、オンタイムで観たとは思えない。テレビの再放送で見たのだろうか。 原作は読んだか…

朝刊連載小説『かたばみ』(木内昇・作)が面白くなってきた。

新聞連載小説『かたばみ』(木内昇)が面白くなってきた。主人公は山岡悌子。やり投げの選手だが、今は国民学校の教員だ。 連載133回は、今まで何度もさまざまな資料で「知っていた」と思っていたことが、全く違ったシーンとして展開されたのが新鮮だった。 …

『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』徹底した調査と取材と。自分の視点を保持したうえで展開する饒舌極まりないコロナ講談?この作家のもつ批評性とユーモアに脱帽。

大晦日である。 天気予報は快晴。 なのに、散歩の間はほとんど日が差さなかった。 東の空に黒い雲の塊があって、太陽の軌道をそっくり覆っているようだった。 ここ数日、二人とも双眼鏡をもって歩いている。 『泥人魚』で結構な時間覗いていたせいか、億劫な…

石毛拓郎さん個人誌『飛脚』

定期的に送っていただく通信がいくつかある。 いずれも私には難解で読み解く力などないのだが、たとえ数行でも自分の思考の刺激になるかもしれないというささやかな期待があって、ありがたく頂戴している。 詩人の石毛拓郎さんが発行している個人誌だ。 第30…

『武満徹・音楽創造への旅』読了。

今年の6月に、このブログに次のように書いた。 『武満徹・音楽創造への旅』(文芸春秋/779頁・二段組/2016年/定価4400円を中古で2601円で購入)。 刊行当時の朝日新聞の紹介の一部 ・・・約800ページ、2段組みの大著を前に、武満徹という音楽家の人生を…

『鳩の撃退法』読むには読んだが…。映画より連続テレビドラマのほうが。

9月に見た『鳩の撃退法』に次のように書いた。 「この男が書いた小説(ウソ)を見破れるか?」という惹句は本編にはあまりかかわりがない。この作家は、若い編集者とともにどろなわで小説を書いているに過ぎない。はじめこそ、なんだ?何だ?と思わせるが、…

「ヒロシマ文学を世界遺産に」(「文学界」2015年9月号 堀川惠子)『ヒロシマの「河」劇作家・土屋清の青春群像劇』(2019年藤原書店3200円)『被爆者の人生を支えたもの―臨床心理士によるインタビューからー』(被爆者の心の調査プロジェクト編 渓水社 2018年 2500円+税)

テレビをぼうっと眺めているように、暇に飽かせて小説を読む。 気がつくと横になっている。あるいは寝床で読む。 はて、どこまで読んだのか、前の頁を何ページも繰ることも多い。 よく忘れる。読んでも読んでも忘れる。でも読まないよりいい。読んでいるとき…

『ドライブ・マイ・カー』既視感なく惹きつけられた。ただ少し過剰すぎる。もっとシンプルのほうが伝わるものがあるのでは。

らい。今日、ようやく定時定量のえさをすべてたいらげた。 この4,5日復調傾向にあったが、薬を仕込んだ鶏肉やサツマイモは食べても、通常の餌(ドッグフード)には口をつけなかった。 夏の終わりの不調は例年のことだが、ずいぶん心配をした。夏バテなのだ…

『暁の宇品-陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(堀川恵子・講談社・2021年7月)がめっぽう面白い。

昨日、八王子で39℃。 八王子はここから西に30㌔も離れていない。 午前中、グランベリーパークに所要と買い物に1時間ほど外出したが、くらくらするほどの暑さだ。 この暑さにコロナの感染拡大もあり、暇つぶしの映画に出かけられない。調べてみるとみなとみら…

『「ヒロシマ」を原点に生きた人生』(関千枝子さん追悼集)

昨日の菅の原稿読み飛ばし、原因は原稿がノリでくっついていたからとのこと。 そういうのを原因とは言わない。 原稿を誠実にしっかりと読もうという気持ちがないことが原因。それがないからノリでくっついているのに気がつかないし、確かめようともしない。 …