小池百合子が記者会見。
文藝春秋やyoutube、テレビでのいくつかの学歴詐称についての報道にコメントをしている。
カイロ大学から卒業証書をもらっている、なんの問題もない、選挙になるとこの話題が出る、残念だ、といったところ。
堂々としたものである。
政治家が嘘をつく時は、逡巡や狼狽は御法度。悠揚迫らぬ態度で、が原則。
安倍元首相のように、だ。
先日の裏金問題での政治家諸氏はやや狼狽の色が見えた。
小池百合子には敵わない。嘘は彼女のようにつくべし。
凡人にはできないこと。
政治的判断というのは、事実を捻じ曲げてクロをひたすらシロと言い続けることだが、
中には、一度ついた嘘が事実だと勘違いし、そのまま思い込んでしまう人もいる。
こういう人は、証拠を突きつけられても、証拠が間違っていると言う。
石井妙子氏の『女帝 小池百合子』(2020年・文藝春秋・1650円)は、読み応えのある小池の一代記。カイロで都合3年間同居していたという女性は、文庫版では北原百代さんという実名で登場している。
今回はyoutubeで石井氏の質問に答えている。
また、都民ファーストの会の元事務総長小泉敏郎氏のyoutubeも見た。カイロ大学の声明は自分が小池氏に相談して画策したという。
しかし、状況証拠は山ほどあるが、いずれも確たる証拠はない。そこが小池の強みである。
政治家の学歴詐称は、公職選挙法235条で、当選をする目的で候補者の身分、職業、経歴などに関して虚偽の事項を公にした者は2年以下の禁錮または30万円以下の罰金に処する、としている。
しかし、規定は故意犯だけが対象で、仮に公表した経歴が虚偽でも、本人が認識していたと立証できなければ罪には問われない。
本人が認識していたどころか、小泉氏が自分で画策したことを暴露しているのだが、小池は「記憶にない」としらばくれている。
相談の時の録音があれば。証拠になるが。
同居していた北原百代さんは、小池が2年に編入したことと3年の試験に落ちたことをを記憶している。お話の信憑性は十分だが、これも伝聞証拠。
捜査当局が動かなければ、嘘は嘘にならない。
ここが政治。「大丈夫、誰も私を刺すことは出来ないわ」という自信が小池にはあるのだろう。
権力者の間を渡り歩いてきた彼女なりの処世術が、今度もものを言うのだろうか。