横浜市長選問題。
東京新聞県版、連日のトップ見出し。
「自民市連 IR誘致 溝深く 小此木さん自主投票決まらず」
8月8日告示、22日投開票の横浜市長選。昨日の報道では、市連執行部は1日の執行部会議で「自主投票」を決めたとあったが、昨日2日、今度は総務会を開き再度議論となったそうな。その結果、執行部案の「自主投票」最終決定には至らなかったという。
水面下でいろいろな動きがあるのだろうが、このゴタゴタは格好悪すぎる。
執行部の「自主投票」という方針、はたからみると政治的にはどうかなという代物。
これはカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を推進しない旨を表明して市長選に立候補する小此木八郎を守ろうとするためのいわば折衷案。
自主張票という形にすれば、IR誘致を推進する市議との間の溝は決定的なものにはなりにくく、そもそも市議や県議の多くは小此木支持にまわるという予想もあってのこと。
新聞によると、これに対し市議から「IRの旗を降ろすべきではない」と同調する意見が出たという。わかりにくいが、これは自主投票を指示する意見。
これに対し、「小此木さんは自民党に対して、大変な功績のあるかた。推薦して戦うべきだ」との反対意見が出たという。こちらはIRを下ろして小此木推薦で積極的に市長選を戦うという主張だ。
自民党というのは鵺のようなもので、その場その場でさまざまなレベルの主張を大枠まとめて全体としては一つの方向に向かうという、良し悪しは別として派閥も含めた組織的な柔軟さが持ち味の党。褒めるわけではないが。
小選挙区制と官邸主導の政治構造が、そうした懐の深い自民党政治の劣化につながっていると言われるが、ここでも同じことがいえる。争いがあからさまに表ざたになってしまう。ためがないというか。
1日のの執行部会議で、坂井官房副長官(横浜市連会長)は、はじめ「小此木推薦」を主張したという。ところが最後に「自主投票しかない」に転換。さらに、現職の林文子氏が仮に出馬したとしても、これを支援しないことを決めていたにもかかわらず、この執行部会議で、林氏を支援したとしても「処分はしない」ということで合意をしたとも。
自民党らしくない所作ではある。
情勢に流されている、その場その場の判断、どろなわ的とそしられても仕方ない有様。
自民党市議のコメント。
「一回決めたことなのに、方針がブレブレ。市連は分裂寸前だ」。
そもそもの原因は小此木八郎のIR誘致を下ろして市長選に出るという方針。これがねじれ現象の一番の原因。
本来なら林現職を支援せずとも、IR 推進で強力な候補を立てればそれでよかったはず。そのために、ガースーお気に入りの三原じゅん子や横浜出身のタレント渡辺真理の名前が取りざたされた。
しかし、IRに手を挙げていた外資は引き上げ、推進の中心だった秋元衆議院議員は刑事裁判の被告に。
横浜市連がもたもたしているうちに、私大医学部教授山中竹春氏が立候補を表明。立民がこれを支持、市民運動も政策協定を結ぼうとする動きに。
さらに、IR反対の先鋒、ハマのドンと呼ばれる藤木幸夫氏は、山中陣営支持をほのめかす。
この藤木と八郎の父、彦三郎はそれこそハマの政界、経済界の盟友同士。
このあたりにねじれの原因がある。
ネットで小此木の記者会見を見た。
八郎は、小学3年のころからうちに出入りするガースーを見ている。「兄貴のような」存在だったという。
「そんなかんたんなことじゃないですよ」と八郎。
その兄貴が、あれよあれよという間に総理になってしまった。
自分は、ガースーの導きもあって衆議院議員として大臣の地位にも就いたが、はて、なんか面白くない、という気持ちはなかったか?
そんな時にこのIR。反対の旗頭は、父親の盟友藤木だ。これも小さい時からかわいがってくれ、自分の後ろ盾となってきたおじさんだ。
この大事なおじさんが、IR反対の候補者を担ぐかもしれない。
神奈川三郎(小泉進次郎、河野太郎、小此木八郎)の一角にありながら、他の二人と比してとても総理に手が届くほどの力量はない。これ以上ガースーの下支えをしても先は見えている。
それならば、横浜市長はどうだ?
しかし、市長選を闘うのに恩義のある藤木を敵に回すことは何としても避けたい。なんといっても横浜の村人同士だ。ガースーは秋田出身の旅人だし、山中は千葉出身のやはり旅人。
はまっ子として市長選に出るいは、ここは評判が今一つのIRは降ろして、村人連合で勝ちに徹するべき。たとえ市連が文句を言ったとしても、だ。
結局、小此木家の都合や当主の考えが、自民党市連にねじれを産み出したということではないか。
八郎氏は記者会見で、「一人で考えて決めた」といっている。
どうあれ、最後は自民党は自分を支持するはずだという自信があるのだろう。それくらい横浜村人連合には底時からがあるということか。
林文子氏はまだ出馬表明をしていない。夜な夜な、反小此木の市議、県議との談合が行われているのだろう。
あしたの県版の見出しは、はてどうなっているだろうか。