埼玉の」田中まさおさん(仮名)の教員超勤訴訟の判決が出た。
請求棄却。
教員の残業は労基法上の時間外労働ではなく、したがって36協定の締結もできないという判断のようだ。
ただ、原告のツイッターを見ると、「まとめ」の部分で教員の長時間労働の現状を認め、法改正など改善が図られるべきと述べていて、これを「画期的」と評価している。
しかし報道を見れば、明らかに裁判としては「負け」である。
どこから見ても教員の超過勤務がすべて「自発的」であるはずもなく、現場をちょっとのぞけばすぐにわかることが裁判所にはわかってもらえない。
30年ほど前に最高裁まで争った横浜超勤訴訟、原告として最高裁まで争ったが、三度、負けた。
あのときは「荒れる中学」のど真ん中で、深夜に至るまで生徒指導が常態化する中での提訴だった。しかし裁判所はあっけないほどにそんな教員の超過勤務を時間外勤務とは認めなかった。
横浜地裁で最初の「負け」の判決文をもらった時の悔しさは、今でも忘れられない。田中さんもさぞ悔しいことだろう。
判決文を読んでいないから印象でしかないが、結局のところ被告埼玉県教委や校長の主張する「時間外の勤務はすべて自発的労働」という主張と給特法の枠組みを容認したということだ。
給与の4%の教職職調整額をあらかじめ支払っているのだから、どれだけ時間外の勤務をしたところで、それは労基法上の時間外勤務とは言えないという、いわばこれまで幾多の超勤訴訟が受けてきた門前払いとどこが違うのか、判決が現場で生かせるものとなっているのかどうか、判決文を待ちたい。
田中まさおさん(仮名)