授業が始まった。
2年続けてのzoomによる同時双方向の授業。
大阪ではオンライン授業ばかりで気がふさいだ学生が列車に飛び込み自殺をしたという。
私が受け持っている「教職実践演習」という科目は2010年から導入された新しい科目。32歳以上の教員は受けたことのない科目。
めんどうなことにこの科目、4年生の後期に固定されている。
学生は前期までに教職の授業を受け終え、教育実習も介護体験も終え、教員採用試験を受験し、いま結果発表を待つ時期。その9月の終わりに始まる。1月半ばまで続くから卒論のある学生はしんどいようだ。
教員免許を取得するための必修科目。2単位。
2010年ごろに新設されたことを考えると、教員免許更新制や教員評価などいわゆる「教員の資質向上」策の一環として出された科目だろうと思われる。一言でいえば「簡単に教員になれると思うなよ」という文科省や教育再生会議の教員締め付けの意図が隠されているようだ。
そういう政策に反対してきた自分が、こんな授業をやることになるのも皮肉なことだが、授業の中身はだれに管理、指示されることもないので、政策批判などやりたいようにやっている。
卒業を前にして卒論とこの授業だけが残るという学生が多い。彼らにとってはめんどうなことこのうえなしの教科なのだと思う。
私がもつようになって今年で6年目。
学生の数は毎年20人足らずなのだが、今年は22人と多い。必修科目なので文理学部だけで15の授業、10数人の教員が担当している。学生は総数でたぶん300人ほどが履修している。希望する学生は15の授業に無作為に割り当てられているようだ。
毎年思うことだが、この文理学部の特徴は、その名の通り「文理」が一緒になっていること。私がもつ学生も、国文科、中国語中国文化科、数学科、科学科、地球生命学科、物理学科、体育学科、教育学科、物理学科、情報科学科などなど文も理もごちゃごちゃに混ざっているところ。
ふだん交流のない学生が教職ということで共通の中身を勉強する面白さがある。
私はこの授業たった一コマをもつだけだから、そのあたりをなるべく楽しもうと少しだけ工夫をしている。
とはいえ、直接顔を見ずに画面に22人を並べて授業をするのはやはり味気ない。
かといって、無理やり対面授業をやったとしても、マスク越しで顔の3分の2は見えず、感染の可能性も大ということになるから、画面だけでも顔を見て話しができるzoomは便利と言えば便利。
電車に乗らなくていい。往復3時間の通勤時間がカットされる。良し悪しはあるが、からだは疲れない。
半袖に始まってオーバーを着て終わっていた4年間。去年からはシャツ1枚で秋から冬をこなす。