「クビナガリュウとアンモナイトの化石展―白亜の大地に広がる北海道中川町から―」

11月27日   

 夕方、授業が終わったあと、図書館の隣にある文理学部資料館で「クビナガリュウとアンモナイトの化石展―白亜の大地に広がる北海道中川町から―」を見に行く。

 地理学科の学生が企画にかかわったというので誘われ行ったのだが、地球システム科の男子学生3人もいっしょに行くというので5人で。


 通い始めて3年目になるが、非常勤の講師室と教室以外行ったことがない。学食の場所も知らない。4時限目の授業なので学食はちょうど込む時間。一人で若者たちの間で食事をするのも気詰まりだから、昼食は下高井戸の駅前、日高屋などで済ませてくる。


 資料の印刷など準備に1時間余り、あとは授業を90分。講師室に戻り荷物を取って帰る、この繰り返し。講師に知り合いはいないからおしゃべりもしない。往復に3時間以上かかるからなにしろ早く帰りたい。それでも酒欲?に負けて時々駅前の蕎麦屋で“真澄”を呑む。


 初めての図書館と資料室。資料室はさほど広くはないが、照明が落とされていて少し薄暗くいい雰囲気。入場無料なのに、20頁以上あるカラー写真満載の立派なパンフレット。

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 エントランスに北海道の中川町で発掘された大小のアンモナイト、もちろんほんもの。すべて中川町から運ばれたもの。こんなに大きなアンモナイトは初めて。

 中央にナカガワクビナガリュウ、これは実物大のレプリカ。全長11㍍、日本一のクビナガリュウだそうだ。からだの半分ほどが首。1991年に、7200万年前の地層で発見されたのだそうだ。


 考古学など全くの門外漢、ただただ「すごいねえ」を繰り返す。「これ、私が発見したんですよ。石を割ったらそこに」と言って自分が発見したアンモナイトを嬉しそうに説明してれる学生。

 アンモナイト白亜紀1億2000万年前~1億年前の深海底にあったもの。

 中川町のことも知らなかった。聞けば、下高井戸にアンテナショップがあるという。ソフトクリームがうまいらしい。

 

 30分ほどの見学。最後に吉田類の責任編集という中川町のPR誌『旅人類』という冊子をもらう。吉田類さんが中川町のあちこちを、居酒屋だけでなく紹介している。「たびじんるい」と読むのだそうだが「たびびとるい」をかけているのだろう。
「わたし、ツーショット撮ったんです!」と学生がスマホの画面を見せてくれる。テレビで見るほろ酔い加減の吉田類さんと喜色満面の学生のツーショット。町の居酒屋らしい。ちょっとうらやましい。

 

うしろにクビナガリュウ

 出口近くのパソコンに、氷が割れて流れる画面が映し出されている。すごい迫力だ。「流氷?」。町内を流れる日本最北の大河天塩(てしお)川(全長256㎞、日本で4番目に長い川、北海道では石狩川に次ぐ)の映像。この川、は毎年全面結氷するのだそうだ。

 春になって氷が解けだし、一斉に流れだすその様子が映し出されていたのだ。河口のある天塩町付近では、川幅が300㍍にもなるというからまさに流氷のようなものだろう。


「これ、ぜひ」と言われてチラシを渡される。「天塩川 春 発信 in なかがわ2019」とある。


〈・・・この氷は、2月、3月と少しずつ気温が上がるにつれ、徐々に溶け出し、ある日、一気に流れていきます。この天塩川の氷の溶ける日、つまり、北海道中川町に春が訪れる日を予想するのが「天塩川 春 発信 in なかがわ」。応募者の中から、元も近い日時を予想された方には賞金10000円を進呈!近い順に20位まで入賞できると、中川町の特産品が当たります!〉


 ネットでもはがきで応募ができる。お一人様1回とのこと。長い厳寒の冬の終わり、春の訪れを予想する、北の町ゆえのイベント。1月1日から応募開始。
外に出ると、もう星が出ている。学生はみな「研究室に戻ります」と散っていく。私は駅前の蕎麦屋、坂本屋の“真澄”を目指す。