12月28日
明け方は曇天。気温は高め。
今朝は、20分ほど歩いたところで、いきなりカワセミのホバリングに遭遇。
予告もなく、つまり啼き声は全く聞こえなかったのだが、水面から2㍍のところ。超高速で羽を動かしながら、獲物を狙っている。
「あ、カワセミ!」
「お、ホバリング!」
二人の声がかさなった。次の瞬間、カワセミは直下の水面に飛び込み、飛び出し岩場の上にとまる。わずか1秒にも満たぬ時間。何事もなかったように青い背中を見せて、口元できらきら光る銀色の小魚を食べている。
いいものを見せてもらいました、と一人ごちてまた歩き始める。
小さな看板が目についた。
去年の9月に道志村のキャンプ場で行方不明となった小倉美咲ちゃんと情報を呼びかけるもの。大月警察署によるもの。
道志村からここまで直線でも70㎞以上ある。こんなところまで。
昨日、ニュースでも報じられていたが、両親はどんな思いで待っているのか。
子どもの事件は、見るのも聞くのもつらい。
35年使っているレコードプレーヤーが動かなくなっているのに気が付いたのは、久しぶりにジャズを聴こうとした時だった。
いつこんなことになっていたのか。ずいぶん長い間触っていなかった。
近くのケーズデンキに持ち込む。電気製品のほとんどはここで購入。
修理もしてもらったことがある。
1万円までなら修理、それ以上かかるなら修理はしない。
意外な対応。
顔を見たことのある女性の店員さん、申し訳なさそうに
「DENONさんは、かなり古いものだと見積もりだけでもお金がかかります。これ、何年製のものですか?」
すぐには答えられない。
店員さん、すぐにスマホで調べる。
「85年製ですね。見積もりに6800円かかります」と申し訳なさそうに。
しばし思案。
あきらめることに。
「ここで引き取ってもらうわけには・・・」
「新しいものを購入していただければ・・・」
これもあきらめる。店内に展示されているレコードプレーヤーは3台。今どきレコードプレーヤーを買い求める客はほとんどいないということだ。選びようがない。
持ち帰ることに。
ネットで調べてみる。DP47F。
DENON。昔はたしか「デンオン」と発音したと思うのだが、いまは「デノン」というらしい。
ヤフーオークションでは、きちんと動くものなら4万円近い価格がついている。
35年前の価格は59800円ということも分かった。
しかし、動かない。動かないものはジャンク品。売られているものはよほど状態がいいのだ。期待はしない。
これはあきらめるとして、そうなると新しいものが欲しくなる。
いまさらレコードプレーヤーじゃないだろうという声も聞こえる。
しかし、レコードケースで眠っているレコードが200枚ほど。
むしょうにレコードが聴きたくなる。試験前に関係のない本が読みたくなるのと同じ。いや、違うか。
ネットで調べると、あるはあるは、まさにピンからキリまで。驚くばかり。レコードが、見直されているという話はここ数年よく聞く。
各メーカーが今でも製品を出している。
6000円ぐらいのものから、ン十万するものまで。
音を出せるわけではないから、感覚で選ぶしかない。いいと思ったもののうち、価格が適当なものを選ぶ。
TEACの TN-3B -CH
に決める。
2日間で届く。新しいというだけでなく、見かけがすっきりして、きれい。デザインもシックだ。
久しぶりにレコードをかけてみる。あれもこれもとかけてみる。いい。
そういえば、ここ数年、レコードを書けなくなったのは、思ったほド音がよくなかったからだ。
全然違う。音につやがある。やわらかい。弦やピアノの音が自然に聴こえるような気がする。オケはともかく室内楽はリアル。
なんだか得したような気分。手元のレコードのほとんどは、学生のころから10年ぐらいの間に買い求めたもの。90年代からはCDを買い続けてきた。
エリック・ドルフィーをかけてみる。CDでもっているものもあるが、探したらレコードは7枚。録音はすべて60年代。バスクラリネットの音が部屋中に響く。タンノイの小さなスピーカーは20年以上使っているが、小気味よいほどよく鳴ってくれる。
巣ごもり生活、に彩りが増えた。
ひとつ偶然、があった。
おととい、『マチネの終わりに』を見ていたら、プロデューサーの板谷由夏とギタリストの福山雅治が打ち合わせをしているシーン、その部屋にこのプレーヤーがあった。2,3度映った。ちょっとうれしかった。
古いプレーヤーは、オーディオ買い取りに連絡して取りに来てもらった。
動かなくなってかなり経つ古いカセットデッキも出した。
若い誠実そうな青年、すまなそうに二つとも値段はつかないと。
引き取ってもらった。
それがおとといの夜のこと。
昨日の朝、マンションのエントランスに、打ち捨てられたといった風情の赤白の接続コードが落ちていた。彼が落としていったのだろうか。