備忘録なのに8月4日~15日の記録が全くないのもなんだかなあ、である。
暑さと老化で記憶にもかなり歪みが出始めているのだが、それでも何も残さないよりはいいかもしれない。一日一つぐらい、なにかあるだろう。
8月4日(火)
まだ続いている引きこもりのための”薄暮シネマ”。
韓国映画『レッドファミリー』(2013年/100分/韓国/原題:Red Family/監督:イ・ジュヒョン/製作・総指揮/キム・ギドク/出演:キム・ユミ チョン・ウ ソン・ビョンホ パク・ソヨン/日本公開2014年10月)★★★☆
北朝鮮から送り込まれた4人の疑似家族(祖父、母親、兄、妹)が、韓国の典型的な家族(祖母、息子夫婦、その一人息子)の住む家のとなりに引っ越してくる。疑似家族は韓国の家族が資本主義に染まってどれほど堕落しているかを批判するのだが、北朝鮮から送られてくる任務の不合理さと、家族から離れて疑似家族を続けることの矛盾、そして何より韓国人一家の堕落しているように見えてどこか人間的な部分に惹かれていく。
コメディではあるのだが、4人の疑似家族がそれぞれの事情を抱えながら身につまされていく姿は真に迫っている。
ストーリーはおおかたの予測を裏切らないが、最後のシーンに引き付けられた。ネタバレになるので詳しくは書かないが、任務を果たせず「処分」されることになった4人の疑似家族、夜の暗い船の中で繰り広げる演劇的なシーンには思わず涙が出てしまった。
8月5日(水)
朝からかなり暑い。
やめようかなという弱気を振り切って9時50分発のバスに乗る。
目指すはブルク13。みなとみらい地区にある映画館のひとつ。出来てちょうど10年。
ブルクはドイツ語で「お城」。スクリーンの数は13。13の映画のお城、といったところか。
目的の映画は
『悪人伝』(2019年/110分/韓国/原題:The Gangster, the Cop, the Devil/監督・脚本:イ・ウオンテ/主演:マ・ドンソク キム・ムヨル キム・ソンギュ/日本公開2020年7月17日)★★★☆
マ・ドンソク主演の映画なのに、内容が残酷そうに見えるせいか、公開劇場が極端に少ない。神奈川ではブルク13ぐらい。今日段階で関東では東京2館、埼玉1館の3館でしかやっていない。それほどつまらない映画ではないのだが。
ある夜、凶悪なヤクザの組長チャン・ドンス(マ・ドンソク)は何者かに襲撃され、何とか一命を取り留めた彼は部下を使って犯人捜しに乗り出す。一方、警察の問題児チョン刑事は事件が無差別連続殺人鬼によるものと確信し、犯人逮捕のためドンスに協力を持ちかける。当初は反発し合いながらも、やがて二人は手を組み犯人を追い詰めていく。
(yahoo 映画から)
邦題はいまいち。原題の「やくざの親分・刑事・悪魔」もストレートすぎる。あらすじを読めば、韓国映画によくあるサイコパスの殺人犯と刑事の闘いの物語。とはいえどこかコメディタッチなので残酷場面はしつこくはない。それでもけっこうすごいのは、やっぱりキム・ギドク。ストーリーにスピード感があって、2時間飽きずに楽しめた。なにより見かけは大変なマッチョのマ・ドンソクの激しい暴力性とそれを寸止めするやさしさ。これが魅力。『ファイティン』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『殺されたミュンジュ』などキャラクターのつくり方は同工異曲的ではあるが、つい見てみたくなる俳優である。
8月6日(木)
8日の資料を主催者のYさんに送る。A4で10ページになってしまった。図表がうまくスキャンできず難儀する。
安倍の広島でのあいさつについては、昨日書いた。
去年、なにかと相談に乗った3年目?の若い教員から長いメール。クラスの発達障害の生徒との付き合い方について悩んでいる。本人はもちろん保護者との関係や周囲の生徒との付き合い方など自分を責めているが、いちばん気になったのは周囲の教員の関わりの薄さ。管理職はじめ生徒指導専任、養護教諭、学年主任などが、経験の少ない若手教員に二人の対応に時間のかかる生徒を任せっきりにしているようだ。
たとえ経験があっても、関係が難しくなれば精神的に追い詰められるし、孤立もする。荷物を分け合って持つことでいろいろなものが見えてくるのだが。
久しぶりに現場のことを思い出しながら返信する。
薄暮シネマに『グリーンマイル』を見る。2度目だが、面白い。長尺なのに飽きさせない。ファンタジーなのに人間の描き方はリアル。トム・ハンクス。
8月7日(金)
ふたりで瀬谷図書館からグランベリーパーク。買い物と散髪。
毎日電話がかかってくる入院中のRさん。今日は短め。
8月8日(土)
1時前の電車に乗る。小田急線大井松田駅からJR御殿場線の松田駅の乗り換えで組合のAさんと会う。一緒に昼食。旧交を温める。
会場で北村小夜さんにお会いする。今年95歳になるはず。お話はいつも情がこもっていて的確。年をとらない?『ワタシゴト』を横浜の1さんから送ってもらって読んだこと、とってもいい作品だったと。わがことのようにうれしい。
13時30分ごろから私のレポート。
『学校労働者の変形労働時間制に抗して~地公法55条と労基法36条を軸に』
聞きたいと思うようなタイトルでもないし、実際駆け足ではしょりながらの話は面白いものでもないのだが、最後まで聴いてもらえた。
コロナ問題に対する学校の対応なども含めて18時までの議論。
帰りも駅まで車で送ってもらって、18時20分ごろの電車に乗る。
朝からマスクを着け続けている。苦しいなあと思う。
空いている小田急線。目立たぬようにセルフ慰労。
8月9日(日)~8月13日(木)
明日からの「実家」のために、掃除や片付け、食料品その他の買い出しなどに明け暮れる。明日の夕方には、2人と1匹の生活が、10人と1匹に。
すでに決定したらしい大学の後期授業のオンライン。シラバスの書き換えはもちろんZoomの準備もしていない。Zoomは使ったことがあるが、せいぜいテレビ電話。ホストとなって授業をするのとはわけが違う。
小、中、高だけでなく、ディズニーリゾートも「対面式」になっているのに、なぜ大学だけがオンラインなのか。
学生、なかでも新入生は大丈夫なのか。
入学式以降、大学構内にも入れず、友達もできず、バイトもできず。スマホかノートパソコンで一方的に送られてくる教材をみながら一人でレポートを書いているのではないのか。
払った学費に見合うとは思えない。
私が相手するのは教職を取っている4年生。
今年、教育実習がまともにやられたとは思えない。何しろ3月から5月は完全に休み。6月は途中まで分散登校というのが一般的だったはず。そのどこで教育実習ができるのか。後期にやろうにも学校にはそんな余裕はないはず。だからまだ未履修の学生も多いはずだし、めども立っていない学生も多いのではないか。
文科大臣は「今年は教育実習が出来なくてもやむなし」との方針を、8月12日なってようやく発表したが、遅すぎる。そのうえ「座学で代替するように」。その座学がオンライン授業で通常の水準が保てなくなっているのだ。
私が担当している教職実践演習、基本的には何をやってもいいのだが、模擬授業やロールプレイング、グループ討議に個別の発表など対面しているからこそできることがオンラインでどこまで可能なのか。
代替どころか通常の授業すら危うくなっている。高みからはそのへんが全く見えていない。
「実家」が終わったら、学科の教務と連絡を取り、準備を始めるつもりだ。