お久しぶり。
前回書いたのが8月3日。ようやく梅雨が明け、本格的な暑さがやってきた日だった。
今日15日。猛烈な暑さが続いている。7月、あんなに降っていた雨はほとんど降らない。曇天はもういいと思ったのに、朝から照りつける日差しに苦虫をかみつぶす。
焦熱地獄のような暑さだ。というのは大げさだ。焦熱地獄なんて見たことも入ったこともないし。でもそう云ってみたくなるほどの暑さ。
8月6日、9日は広島、長崎に原爆が投下された75回目の記念日、と新聞は書く。
原爆「投下」?
日本各地で行われた空襲、空爆。焼夷弾投下とはあまり言わない。何千何万発もの無差別焼夷弾空爆。
無差別核爆弾攻撃・・・原爆投下と比べて語感はどう変わるだろう。
一瞬にして数えきれない人々を焼き殺した事実には違いない。
しかしなぜ攻撃された側の国の人々が「投下」と、単に物を投げおろしたような言い方をするようになったのだろう。
理由があるのではないか。
戦後のアメリカ一国による占領、アメリカの属国のようなかたちで西側諸国の一角を占め、無差別核爆弾攻撃から10年余りで平和のための核利用をスクラム組んで進め、その結果大量の原発を国内につくり、75年経ってもアメリカの基地を税金でしっかり支え、沖縄では云われるままに強化すらしようとする、日本の空をオスプレイが自由に飛びまわる、とても独立国とは思えないくらいアメリカの傘の下で生きてきたこの日本が、アメリカに忖度して自ら受けたアメリカによる壮絶な辛苦をいくらかでも脱色しようした跡がこのことば「投下」なのではないか、私はそう思っている。
今年も安倍首相は、広島長崎両市でコピペと揶揄される似たり寄ったりのメッセージを読んだ。まるで油紙に火が付いたようにぺらぺらと、これ以上ないほど言葉は空虚で重さというものが感じられなかった。官僚の書いた文章、チェックすらしなかったのだろう。彼には広島、長崎に対する思い入れが全くないということだ。
「本日ここに、被爆75周年の…」ではじまる約1200文字の挨拶文は、11段落あるが、3段落目までは「広島」と「長崎」の表記以外は同文。4段落目だけが別文。 (広島)75年前、一発の原子爆弾により廃墟(はいきょ)と化しながらも、先人たちの努力によって見事に復興を遂げたこの美しい街を前にした時、現在の試練を乗り越える決意を新たにするとともに、改めて平和の尊さに思いを致しています。(長崎)75年前の今日、一木一草もない焦土と化したこの街が、市民の皆様の御努力によりこのように美しく復興を遂げたことに、私たちは改めて、乗り越えられない試練はないこと、そして、平和の尊さを強く感じる次第です。 5段落目以降は、再び同文となっている。(yahooニュースから)
今年、安倍首相が広島で言わねばならなかったのは、黒い雨訴訟では大変なご迷惑をかけた。これ以上国は争わない。「控訴はしない」ということばではなかったか。
それなのに記者会見は簡単に打ち切り、黒い雨訴訟には一切触れず、数日後「控訴する」ことを発表したのだ。
新聞やテレビは、今回の判決が以前の最高裁判決に比して論理が矛盾するところがあるなどと、まことしやかに論評するが、そんなたいそうな問題ではない。
実際の降雨を経験したことを証言する人たちがいて、広島県や広島市も認定すべきだと言っているのに国が控訴するのは、国がやってきた被爆者援護の方針を変えたくない、という安っぽいただの意地に過ぎない。認めたくないだけなのだ。
これからどうやって地裁判決に反証できるのか。そんな材料があるなら今まで出していたはずだ。地裁段階で立証できたはずだ。それをしないで控訴するのは「負けたくない」だけに過ぎない。つまり理由もクソもない意地ということだ。
コピペは政権末期だけでない、政権の質の悪さをあらわす一つの象徴だ。
NHK長崎支局制作の『”焼き場に立つ少年”をさがして』は、まれにみる優れたドキュメンタリー。
現在の科学の力と写真家オダネル氏の日本や原爆への思いを重ね合わせて、そこに新しい発見と『変わらないもの』を現出させた。
ひたすらに75年前の「事実」を執拗に見極めようとする姿勢に頭が下がる思いがした。
今日も広島では炎天の下、旧広島陸軍被服支廠(出汐倉庫)では、保存を求めるイベントが行われている。
苦しい思い、辛い思いをしている人たちがいま何を考えているのか、という想像力こそが政治家の必携アイテムだと思うが、そんなことを感じさせないのがこの国の政治家。
野党の合従連衡がまた始まっている。
ヒマなのか?
コロナ禍の影響を最も受けていないのが政治家でないのか。
なにしろ国会が開かれない。開かれても、与野党の別なく、内職にいそしむ人たち。ミステリーに読みふける法務副大臣のような輩もいる。え?だれ?ってヤンキーを僭称する(笑)義家だよ。
政権末期というより政治そのものが不能化しているということだ。
高い歳費のせめて半分くらいの仕事をしろ!