『暁の宇品-陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(堀川恵子・講談社・2021年7月)がめっぽう面白い。

昨日、八王子で39℃。

八王子はここから西に30㌔も離れていない。

午前中、グランベリーパークに所要と買い物に1時間ほど外出したが、くらくらするほどの暑さだ。

 

この暑さにコロナの感染拡大もあり、暇つぶしの映画に出かけられない。調べてみるとみなとみらいのキノシネマは、座席が一つ空きにはなっていない。狭いスクリーンでは50席ぐらいの空間、満員になることはなくてもあまり気持ちはよくない。元来、閉所嫌いもあるのでなおさらだ。

 

暇がつぶれないのは、困りものだ。行住坐臥、やることがないわけではないが、なんにでも数時間も気持ちが集中することはない。時間の密度が妙に薄いのだ。心持ちがふわふわしている。それに何をしても、眠い。

 

助け船はあるものだ。

 

後半部分にさしかかった『暁の宇品-陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(堀川恵子・講談社・2021年7月)がめっぽう面白い。

 

日本の軍隊、とりわけ陸軍の兵站軽視はよく知られているが、この本はその中にあって船舶に関する補給と兵站を担った二人の司令官たちのドキュメント。 

船舶需要から「南進」国策に対して、各省庁に対し全面的な意見具申を展開して罷免された田尻昌次、原爆投下直後に舞台を市内に向けて前進させ救護活動を最優先させた佐伯文郎、いずれも軍の中では目だたない運輸ばたの軍人だが、こうした人がいたことを膨大な資料から浮き上がらせる堀川氏の膂力は、圧倒的だ。猛暑による眠気も退散、後半が楽しみである。

 

氏のひろしま関連の著作『戦禍に生きた演劇人たち』『チンチン電車と女学生』『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』に次ぐもの。

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