2月も半ばを過ぎたのに1月にみた映画のことを書いている。内容はほぼ忘れているが、、思い出そうとするとよみがってくるものもある。
老人の日々の記録など取るに足らないものだが、生活のディテールは一日いっとき同じものはない。1月のあれこれを思い出して書いておこうと思う。
1月1日
次女家族がくる。今年初めての蕎麦打ち。長いこと打ってはいるが上達しない。
ただ、この日は我慢ができた。そばがまとまってくるまで分量の水で打ち切った。しっかりした蕎麦が出来た。もちろん二八だが。
暮れに『シャイロックの子どもたち』を福島市のホテルで酒を飲みながらみたのをきっかけに池井戸潤を読んでみる。『不祥事』『株価暴落』『銀行狐』そして『シャイロックの子どもたち』。
旧作の文庫本だが、銀行の中のことが少しわかった。
『デフヴォイス 法廷の手話通訳士』前後編(NHK)をみる。
いまいちかな。
夕方、能登で大地震。大変なことになっているのがわかったのは次の日になってから。
阪神淡路の時もそうだった。
1月2日 羽田で日航機と海上保安庁の飛行機が衝突。5名死亡、1名大怪我。日航機の乗客は無事。C Aの適切な誘導によるものだという。あとでわかったことだが、このCAさんたちはまだ経験の少ない人たちだったという。379人を18分間で脱出させた。機長と連絡がつかなかったCAは、自分の担当の箇所からの脱出を自分で判断したという。
1月4日 蒲田のKさん宅を友人4人で訪問。98歳になったというKさんの正月料理をいただく。恐縮。
1月5日 愉音「ニューイヤコンサート」アートフォーラムあざみ野。
曲目:A・ヴィヴァルディ「四季」より「春」
J.Sバッハ無伴奏チェロ組曲第1番BWV1007より3曲
C.シューマン「3つのロマンス」OP.22より2番
E .Wコルンコルド ヴァイオリン協奏曲より第1楽章
絵本と音楽
絵本 ”パパ、お月さまとって” エリック.カール
音楽 C. ドビュッシー 「月の光」
他
ドミトリー・フェイギンさんのバッハ、松本親子のシューマン、梯剛之のドビュッシーが印象に残る。とりわけ梯のいつも以上の音色の清澄さが印象に残る。
夜、卒業生と新横浜で食事会。今年40歳になる女性3人、KさんTさんMさん。27年前に1年だけ授業を持った人たち。どこか馬が合う。この年齢の仕事の話は面白い。
1月9日 たまには温泉にでもと、二人で出かける。熱海に1泊。梅が咲き始めている。
来宮神社。熱海を訪れたのは数え切れないが、この神社に来たのは初めて。
国指定天然記念物の大樟(おおくす)。説明板には樹齢2000年以上とある。
境内で猿回しを見る。何年か前、湯島天神で見て以来。
1月11日 ふた月に一度の組合の会議のあと、4人で大船のかんのん食堂。
2022年1月に全焼したあと、くるたびに再建の様子を伺っていたが、新装なって再オープン。それから2度目。相変わらず人気の居酒屋。大船観音のお膝元。
1月13日 卒業生KS君と長津田Sで。
川崎競馬で働く彼と会って旧交を温めたのは5月だったか。
KS君、アルバムを持って参上。「これがなければ話にならない」と。埋もれていた記憶がいくつも蘇る。
ひょんなことからKS君のひと回りしたのOU君との交流が始まる。
暮れにブログに「31年前に担任していただいたものです」という書き込みがあった。
素性を明かしてもらうと、下の名前と顔が思い浮かんだ。中学2年の時担任した。
端正な顔立ちの穏やかな少年だった。
年末年始と、やり取りが続く。住まいが意外に近いのに驚く。
息子の受験が終わったら会いに行きます、とのこと。
いつも困ったなあと思うのは、教員であった自分の言動が、卒業生の記憶の中に残っていること。自分は忘れているのに。
1月16日 大学の授業再開。と言ってもこの日を入れてあと2回。たった13回の付き合いなのに、3週間ぶりでも少し懐かしい。
1月23日 最後の授業。今年度最後というだけでなく、8年間の「おつとめ」の最後。
帰りグランベリーパークでMさんと慰労会。
初めてトラジハイレーンに。
高級焼肉店のアウトレット版。料理や飲み物はレーンに乗って運ばれてくる。しかし
ハラミ以外は取り立てて美味いものなし。価格は立派だが。
もう行かない。
1月22日 やさしいコーラス。今回もMさんと二人。
「Ave verum corpus」(K .618)を90分全パートの譜読み、みっちりと。
レクイエムがK.626。モーツアルトが亡くなる半年前に書いた宗教曲。
1月25日 先般、組合を脱退したAさんと新子安「諸星」。
横浜の「市民酒場」。この店を含めて3店あったが、東神奈川のみのかんは4、5年前に閉店。残るは高島町の常盤木とこの諸星だけ。
来店は2回目。前回は、1982年のことだ。
就職関係の出張で近くのビクターの工場に来た時に、同行したSさんに連れられてきたことを覚えている。42年ぶり。
CDが市場に出始めた頃、先行メーカーだったビクターの工場で聴かせてもらった音は、信じられいほどクリアだった。
レコードのプチプチという埃を拾った音や、カセットのシャーっという音は当時は雑音だった。CDの音のクリアさは驚きだった。
1月31日、信州、高遠の培窯、林秋実さんの奥様から電話。窯出しをしました、と。
9月に五合庵に行った時、Mさんがワンプレート用に皿を2枚注文した。出来上がりが楽しみ。
庭のクリスマスローズ
『正欲』(朝井リョウ・2021年)
映画が先だったが、小説は圧倒的。映画は小説をうまく翻訳しているように思えた。
『自由研究に向かない殺人』(ホリージャクソン・2021年・創元社推理文庫)
久しぶりのミステリ。イギリスの若者文化がよくわかる。
『自分で考えて判断する教育を求めて』(根津公子・2023年・影書房)
「民主的だった教育がどのように壊されていったのか。中学校家庭科教員による不屈の記録」(帯の文章)
教育が民主的であったことがあったろうか。