5年ぶりの広島滞在記⑤ 平和の軸線(中工場)とひろしま美術館、そして浜本。

25日、フェリーから広電を乗り継いで広島駅に戻ったのは18時過ぎ。

お二人は今日の新幹線で大阪へ。ここで言わずもがなやらずもがなの反省会。

私はあと一日。

5月26日(木)

弱雨の中、早朝の散歩1時間。最後に今日の目的地中工場へのバスの乗り場を八丁堀交差点で確認。

4日目で初めての雨。

24番吉島営業所行き。バスは頻繁に出ている。

空いている車内から雨の街並みをぼうっと眺める。方角的には南に、海のほうに向かっている。

何度かアクセスを確認した。降りる停留所は「吉島営業所下車」。

終点吉島営業所で降りたのは私一人。

はて、降りても案内は見えない。東側に大きな建物が見える。

たぶんあれだろうとあたりをつけるが、そこへ向かう道路は、ない。

うろうろしながら、大きな工場へ入り込む。

この工場の中を通り過ぎれば、あの建物に近づく。図々しいにもほどがあるが、結局この工場の裏門から入り表門から出る。

何人か働いている人たちがいたが、なぜか誰一人誰何する人はおらず、不法侵入と脱出を完遂。

中工場の入口に到着。

スマホでもう一度確認。ようやく分かった。

中工場への最寄りのバス停は「吉島営業所」ではなく、「南吉島営業所」。そこからなら1本道で5分。

 

不思議な建物である。入り口といっても受け付けがあるわけではない。

2階に上がる階段とエレベータがあるだけ。

広島市 中工場 見学 画像 40

誰もいない。見学はご自由にとある。

すれ違ったのは散歩の男性お一人。

ここは、ニューヨーク近代美術館や葛西臨海水族館などを設計した谷口吉生さんによるもの。

 

板張りで幅の広い見学通路のあちこちにベンチや映像が見られる装置が置いてある。

この1本の通路の延長線上に平和公園の慰霊碑がありその先の原爆ドームがあるという。広島の平和の軸線と呼ばれる。

海に向かっている。振り返ると平和の軸線。

 

去年の9月に『ドライブ マイ カー』を見た時に、広島にこんな建築物があるのかと驚いた。あとになってその仕様が平和の軸線としてあることにさらに驚き、実際に見てみたいと思った。

 

雨、誰もいない。

100㍍ほども続く通路の両側は、全面が高さ10メートルを超えるガラス張りになっている。巨大で無機質な装置、機械がすべてむき出し,そのまま目に飛び込んでくる。

不思議だが冷たさは感じない。光の当たり方だろうか。

 

外へ出ると人口の砂浜。

西島秀俊三浦透子が話すシーンがここ。

きのう渡った似島が見える。

 

 

傘をさして少しだけ砂浜を歩く。

いつもなら多くの市民の憩いの場所となっているのだろだろう。

人っ子一人いない広大な人口の砂浜をあとにしてバス停に向かう。もちろん南吉島営業所である。

 

まだ時間がある。紙屋町でバスを降りてひろしま美術館へ。

特別展は『風景画の始まり コローから印象派へ』。

チケットを買ってから喫茶室へ。

朝からコーヒーを呑んでいない。暫しの休憩。

特別展、あまり感じるところなし。

ここはやはり常設展が欠かせない。

https://hiroshima-museum.jp/collection/inc/pdf/on_display_20220614-.pdf

 

気が付けばお昼。

新幹線は14時過ぎ。あとはホテルで荷物をとって駅へ向かうだけ。

どこかゆっくりお昼(呑み)ができるところを、と考えると、あそこしかない。

八丁堀の裏路地にある昭和も50年代を彷彿とさせるあの店。

店名「浜本」。

5年前を思い出しながら店を探す。

入る遠くの方で大将が寝ている。私の立てた物音にびくっと顔をあげ、こっちをじっと見る。

「客だよ」

「ああ、びっくりした」。

小一時間、サバの刺身をつまみに雨後の月を呑る。しめサバではない。

 

 

これで今回の広島滞在は打ち上げ。5年ぶりの広島、4日間、結構タフなスケジュールだった。

なによりたくさんの方たちにほんとうにお世話になった。

ありがとうございました。