『テスカトリポカ』と胃カメラ

『テスカトリポカ』(佐藤究・2021年)読了。面白かった。究極のクライムノベルという触れ込みはそうはずれていないと思った。南米からインドネシア、日本を舞台に臓器売買を縦糸に幾人もの人間模様を横糸にして繰り広げられる壮大な小説だ。人物描写が際立っている。こういうのを「手練れ」というのだろう。ただ、ここまで周辺を精細に固めたのだから、最後の盛り上がりはもっとあってもいいと思った。勝手な言い草。


きのう、1年ぶりの胃の検査。

前夜8時過ぎから、薬は別にして水しか口にしていない。

リズムが狂う。救いは検査が9時からということ。散歩代わりに二人で駅まで歩く。

陽射しが強い。

9時前に昭和大学藤が丘病院着。込んでいる(最近、これを”混んでいる”という表記が多いなと思う。混は音読みだから”混んでいる”は坐りが悪い。字義からすれば合わないわけではないが、込むのほうが字義的にもいいと思うのだが)。

 

胃の内視鏡検査はこれでもう7~8回目。

最初は2019年の今頃。いかにも苦しそうなイメージのある胃カメラ

実際にやってみたら、寝ているうちに終わってしまった。

鼻から入れる方法もあるらしいが、すべて口から。

 

検査室に入るとすぐに名前と生年月日の確認。今日これで3回目。

すぐにベッドの横になり、足を交差。ベッドが高くなる。

血圧計をつけ、指に酸素飽和度計。

鎮静剤を血管に入れる箇所を確保するための注射。

胃のなかを洗浄する薬とのどの麻酔のためのシロップ剤2種類を呑む。

看護師の女性の手際が素晴らしい。ここまで流れるように進む。

 

背中を見せていた若い男性のドクター、ここで顔を見せる。

「それでは、始めます。よろしくお願いします。眠くなる薬を入れます。すぐに眠くなりますよ」

その後の記憶はない。

目が覚めた時には検査は終了。ふらつくからだを看護師に支えてもらって待機室へ。

「特に悪いものはなかったようです」と後ろからドクターの声が追いかける。

「ありがとうございます」といったかどうか。20分ほどの検査。

待機室で再び眠ること30分。これで検査終了。

 

さまざまな検査が、患者の負担を軽減するということでさまざまな工夫がなされている。

胃カメラは10年前、20年前はもっとつらく、検査する側の技術の差が顕著なものだった。そういう話を耳にするにつけ、胃カメラを呑まずに一生を終えたいと願っていたものだ。

現在では技術の差はかなり平準化され、患者の負担も減ったという。

そういえば2年前の大腸ポリープ切除の時の内視鏡もほとんど痛みを感じなかった。

器具の小型化精密化だけでなく、鎮静剤の効果も大きい。

 

検査終了から1時間で飲食OK。院内のコンビニを物色。野菜ジュースを購入。

会計を待ちながら吞む。14時間ぶりの経口物。

うまい。