薬の話

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庭のハクチョウゲ


心臓カテーテル治療(手術)を受けた後の服薬について知りたいという方がいらっしゃった。読んでいただけで感謝。

医者が飲めというものを黙って飲んでいる。たまには服用している薬をひもといてみることもいいかもしれない。元気で息災な方々には無用な話、飛ばしてください。

 

 

毎朝、服用する薬の確認をする。種類の違うものを8種類も服用する。あらかじめ自分で小分けしてあるのだが、これだけ多いと仕分けの段階で間違えていないか心配になる。

 

年よりくさい?そういえば亡くなった父親が老眼鏡をかけて薬を調べていたような。私もそんな年。くさいだけでなく年寄りそのものなのだから仕方がない。

 

3月半ばに入院、検査を受けるまでは、高血圧の薬2種と高脂血症の薬1種。あとは花粉症の年に5か月ほど飲む薬1種。合計4錠を朝食後に飲んでいた。このぐらいだと一目瞭然。それに花粉症の薬ザイザルは包みが大きいのでわかりやすい。

 

3月半ば、カテーテル検査のあとにまず3種増えた。いわゆる「血液サラサラ」である。

一つはバイアスピリン100㎎(バイエル薬品 1錠5.7円)。COX阻害薬(抗血小板薬)。薬効としてはCOX=という体内の酵素の働きを阻害することで血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑えて血管をつまらせないようにするもの。私の受けた経皮冠動脈形成術(PCI)のあとによく使われるようだ。炎症を鎮め、熱や痛みを抑えるアスピリンと近いもののようだ。

 

サラサラのもう一つはエフィエント3.75㎎(第一三共 1錠275円)。バイアスピリンの50倍の価格。ADP阻害薬。ADP(アデノシン2リン酸)という物質の働きを阻害し、血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑え血管をつまらせないようにする薬。これもPCIのあとには必ず使われる薬のようだ。

この2種、価格が50倍以上違う。エフィエントは特別に添え書きが添付されている。強い薬なのか?

 

これらの服用に対する胃薬としてタケキャブ10㎎(武田薬品 1錠125円)。プロトンポンプ阻害薬PPI)。胃内において胃酸分泌を抑え、痛みや胸やけなどを和らげる薬。

 

これらは、CPIによってステントで広げられた血管のなかを、血液が詰まらずよく流れるよう促進する薬剤ということだ。

 

この3錠のほかに2回目のPCIのあとに服用するようになったのが、エゼチミブ10㎎(沢井製薬 1錠50.9円)。小腸コレステロールトランスポーター阻害薬。小腸でコレステロールの吸収をする小腸トランスポーターという物質の働きを阻害し、血液中のコレステロールを低下させる薬。

同じような働きを肝臓でする薬が今まで飲んでいたリバロ。これはスタチン系薬と呼ばれ、肝臓でのコレステロール合成を抑え、主に血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロールとも呼ばれる)を低下させ、動脈硬化などを予防する薬。今まで1㎎だったものが2ミリグラムに増量された(興和 80.2円)

 

この2つは、血管内の石灰化を防ぎ、動脈硬化を予防するのだが、その元凶がLDL。

LDLのいわゆる基準値は65~163㎎/dL。私の直近の数値は110~130㎎、数値内で、HDL(善玉コレステロール)の数値は63~66㎎/dL。こちらの基準値は38~90㎎。つまりどちらもなんとか基準値内に収まっている。しかし、私の動脈は固くなっていて血液の流れが悪くなっている。この時にLH比が大事とされる。悪玉と善玉の比率である。

LDLをHDLで割る数値。これが1.5以下だと「健康な状態」2.0以上だと動脈硬化が疑われる。2.5を超えると心筋梗塞のリスクが高い、ということだ。

私の場合、ついこの間までLH比は1.66~1.79だったのが、直近では2.1に。そこでエゼミチブ投入とリバロ倍増という処方になったのだと思う。

 

最後にフォシーガ10㎎(アストラゼネカ 1錠274.3円)SGLT2阻害薬。尿としての糖排泄を増やすことで結果的として血液中の糖(血糖)を減らす薬、つまり糖尿病の薬である。

初めて処方された薬。4年ほど前に糖尿病という診断をもらいながら、薬を飲み続けるよりも食餌療法で何とかしようとしてきた。HbA1cも5.9~6.3あたりで推移していたのだが。心臓の働きのためには体内の過剰な糖をもっと積極的に出すことが必要なのだとか。

 

ここにアバプロ50㎎(大日本住友製薬1錠44.4円)体内の血圧を上げる物質(アンジオテンシンII)の働きを抑えることで血圧を下げる。アムロジンOD錠10㎎(大日本住友製薬1錠52.3円)。この二つが降圧剤。

 

これで合計8種類。すべて一時に服用してそれぞれの薬が薬効を表すことになっているが、これだけ多いと薬同士のぶつかり合いはないのだろうか。もちろん臨床試験を通ったものであるから理論的にはそんなことはないのだろうが、心臓を守るためとはいえ、それぞれの薬の薬効の下に書かれている副作用の多さが心配になる。

価格合計は907円。保険制度がなければ、手術(胃がんの手術は1週間の入院だったが、一泊のPCIのほうがはるかに高い)も薬も年金生活者にはとても賄いきれない。いずれジェネリックとも考えるが、薬効には議論がある。薬の開発には何十億円もかかるという。いったん製品化すれば、薬は病気によっては莫大な利益を生むことになる。ジェネリックが純正品と同じ薬効があるのなら、その純正品はいらなくなる。そうすれば保険が負担する額も減るのだが、実際はそうもならず、純正品は売られ続ける。

 

それともう一つ。こうした処方は誰がどう決めているのか。もちろん医師が決めて薬剤師が処方しているのだが、薬を選ぶ基準は何なのか。同じ薬効のものでも会社によっても薬効が違うのだろうし、もちろん価格も違う。

医師でそのへんをぶっちゃけて書いたりしている人、いると思うが、私はまだ知らない。 

今日は薬の話。