『街の上で』(2019年/130分/日本/監督:今泉力哉/脚本:今泉力哉 大橋裕之/出演:若葉竜也 穂志もえか 古川琴音 中田青渚 萩原みのり 成田凌/公開2021年4月)映画を見て、久しぶりに「楽しい」という感覚を味わった。

f:id:keisuke42001:20210611091649j:plain

娘の住むマンションのツバメの子


梅雨入りはまだ。今朝も穏やかな晴れ日のようだ。風もない。このところ気温は高めだが、湿度が真夏ほどの高さではないから過ごしやすい。ツバメの子どもも順調に育っているようだ。

 

映画備忘録。6月5日。

ブログ友達(と勝手に呼んでいる)SMOKYさんがよかったという『街の上で』をようやく見ることができた。

映画を見て、久しぶりに「楽しい」という感覚を味わった。この映画はすごい。

 『街の上で』(2019年/130分/日本/監督:今泉力哉/脚本:今泉力哉 大橋裕之/出演:若葉竜也 穂志もえか 古川琴音 中田青渚 萩原みのり 成田凌/公開2021年4月)

 

舞台は下北沢。だからと言って演劇に打ち込む若者たちの話ではない。130分、これといったことは起きない。ラブシーン、ベッドシーンなし。手をつなぐ場面もない。暴力シーンなし。私の嫌いな海のシーンも「走る」シーンもない。

テーマ?何も起きない日常の中で、誰もが(たぶん)ささやかなつながりを求めている。みなすごく繊細、臆病で自信がなく、傷つくのも傷つけるのもなるべく避けたくて、その是非というか可否に微妙に左右されながら生きている。激しく誰かを求めたり、強く拒否したりするエキセントリックさはない。

 

普遍的と言ったらおかしいが、若者ってこんなだなと思わせられた。若いんだからもっと冒険しろよ、ではなく、若者なんだから一歩が踏み出せない。後ろ向きの一歩にぐずぐずとこだわってしまう。

 

この映画の魅力は何と言ってもユーモアだ。人間的という意味ではなく、いじけてせせこましくて、それでも誰かとつながろうとするときについ出てしまう男女にかかわりのないその人の「地」みたいなもの。その集積が映画になった。センシティブな映画だが、もう1回いつか見てみたいと思う映画。

 

それと若葉竜也。いい。『おちょやん』『愛が何だ』でもよかったが、この映画でいいものがみんな出たという感じ。

 

穂志もえかは舞台挨拶のyoutube映像を見て驚いた。演技をしていないときとしているときの落差はただものではないと思った。

中田青渚もいい。若葉と二人の長い会話のシーン、見もの。

古川琴音は独特の雰囲気のある俳優。テレビドラマの『コントが始まる』もすごくいい。

 

下北沢から一歩も出ずに物語が進む。皆どこかでつながっていて、その輪の中に成田凌までが自然に紛れ込んでいる。脚本が何といっても素晴らしい。