唐突。
横浜市は個別接種の医療機関を公表しないのはおかしいと書いてきたが、今朝の新聞で唐突にも
「横浜市850医療機関きょう公表」（東京新聞）の見出し。記事のリードはこうだ。
横浜市は九日、かかりつけ患者以外にも新型コロナウイルスワクチンの個別接種を行う約850の医療機関紙査閲名などを、十日午後2時にホームページで公表し、十六日発行の「広報よこはま特別号」に掲載すると発表した。また、政府が21日にも開始を想定している職域接種を円滑に受けられるよう12～64歳の245万人に今月下旬から7月末にかけて順次、接種券を発送することも明らかにした。
東京新聞の見方はこうだ。
個別接種をめぐっては、どの医療機関がかかりつけ患者以外も接種するかが明らかでなく、かかりつけ医にワクチンを接種してもらえない高齢者から各医療機関に問い合わせが殺到するなどの混乱が生じていた。
それに対する林市長のコメントは
「（かかりつけ患者以外の接種について）周知が不足している。徹底してお知らせし、65歳以上の方にまず打っていただく」
ようやく混乱に気がついたのか、鈍すぎると思う。
しかしよく読むと、接種を行う医療機関施設は全部で1500あるという。今まで公表してきたのは各区2つか3つ。多いところで6つ。私の住む瀬谷区は１つだ。それが今度は一気に850。しかしまだ公表していない期間は650もあるというのだ。これから接種を開始るというのが850ならわかる。そうではない。今まで1か月もやってきた機関も含んでいるのだ。
横浜の多くの高齢者は市のホームページを見ながら、1週間おきに提示される予約申込日には電話とパソコンの前に坐りこんで、つながらない回線にイライラを募らせてきた。
しかし、昨日の私のように「あそこの医院、空いてるんだって」という情報で予約が取れる人もいる。隣の町田市の医院の予約を取ってすでに接種を受けた人もいる。皆それぞれのつながり、子供や孫などの家族、友人、知人からの情報で動いている。
しかしそういう人ばかりではない。一人暮らしの人もいる。家族のつながりも友人もいない人もいる。
そういう人たちは、どこの医院が接種をやっているかわからないのだから、自分のかかりつけ医がやっていなければ市の集団接種か大規模接種の予約を取るしかない。そしてそれすらうまくとれないできた。
しかし実際には1500の機関が接種を続けてきた。850の機関名を見てがっかりする高齢者は多いだろう。
たぶん今回850の機関が公表したのは、予想に反して「だぶつき」が多くなったからではないか。
片方では「予約が取れない」と困惑し、片方では「余ってしまう」と困惑。
そこでようやく機関名公表ということになったというのが事実でないのかというのが私の推測。実際のところはわからない。東京新聞も突っ込みが弱い。
今朝のTBSラジオの「森本毅郎・スタンバイ」で森本は、この記事に関して
「あれ？横浜市は接種の予約がとれなくて困っているということだったんでは。医療機関850を公表して、それに加えて64歳以下もどんどんやるって言っているけど、なんだかおかしいよね」
という印象を語っていた。
その通りだと思う。これは想像力の欠如による不作為のミス。
起きてくる現実に引っ張られて次々と新しい政策を繰り出しているようにみえるが、こういうのを弥縫策というのでは。一見しっかりやっているように見えて、実はどろなわ。泥棒が逃げるかもしれないのに、縄をなっているに過ぎない。
建付けの悪さ、手順の悪さ、を少しでも取り戻そうと出てきたのが12歳～64歳の接種券の発送。今までの横浜市の実態からすれば、これは空手形になる可能性大だと思う。
接種券の発送を今月下旬から始めるというが、245万人分だよ。1か月で発送が終われるのか？65～70歳の人への接種券の発送もしっかり遅れた。
それに接種券が届いた人たちは接種に動く。これはかえって混乱を呼ぶことはないのか。
まずはしっかり高齢者90万人の接種を終えてから次の段階に行かないと「取りこぼし」の増加につながってしまう。90万人の高齢者のうち1回目は20％、2回目が終わった人はまだ1万人もいないのだから。
今後は毎週水曜日に進捗状況を明らかにするという。どんどんやるべき。空手形より、高齢者の不安を取り除くことを最優先すべき。
それと残りの650機関はどうするのか。覆面をしたままにするのか。
今ホームページを見てみた。たどり着くのがけっこう大変。「みつからない！」という声が出そうだ。
850、確かにそのくらいの数がある。
「なぜこれを早く公表してくれなかったのか。こんな近くにやっているところがあるじゃないか。これがあればわざわざハンマーヘッドまで行かなくてもすんだのに」と考えた人が多いと思う。
