孫の誕生会は今年もオンライン。プレゼントはあらかじめ要望をきいておいて、宅配で送っておく。
誕生会の時に娘夫婦は、隠しておいたプレゼントをおもむろに引っ張り出し、ほうらと手渡してくれる。喜ぶ姿を私たちはモニターで見る。
たぶん今年もあちこちで繰り返される風景。人に会う実感はないけれど、プレゼントというモノの実感だけはしっかり伝わる。子どもはそっちが大事。
今年うちから送ったプレゼントは、まっすぐ孫の家に届かず、九州・博多を経由して横浜に。
拙宅と孫の家の間は20数㌔の距離。なのにプレゼントは往復2000㌔もの旅をして到着した。壮大な話?である。
ネットで送ろうとすると、送り先はすぐ前に送った住所が表示される。宛先を変えたければ「変更」をクリックし、正しい住所を探せばいいだけなのだが、慌ててそのまま手続きをしてしまった。
10日ほど前、九州の友人に本を送っていた。送り先は博多になっていた。
実は私はちゃんと気づいていた。「変更」をクリックし、孫の家の住所に訂正したのだ。
これですめば「事故」は起きなかった。ところが、
「送っておいたよ」の私の声に、Mさん「受け取り時間だけど、確認した?」
していない。
「知らないよ。いないときに届いても・・・」。
「はいはい、変更しますよ」とややふてくされて、前の注文をキャンセルした。事故はここで起きる。
新たに注文をし直す。その時、私のアタマは配達時間の指定でいっぱい。
「確定」を押して、Mさんに
「変更しておいたよ」
と言い終わらないうちに「あれ?送り先変更したかな?」
した覚えがない。
キャンセルした送り先は残らないのだ。送り先はまだ九州・博多のまま。
ある日、横浜から品物が届く。赤田さん、何を送ってくれたんだろう。博多の友人Tさんの怪訝な顔が浮かぶ。
かわいい包み紙、リボンをほどく。中から出てくるのは、
「はじめてのおままごとサラダセット木箱入り」
品物を見るTさん、送り状を再度確認する。間違いなく自分の住所と名前。送り主は赤田。「なんだ?」当惑、困惑、どう考えても迷惑。ホラーと言えなくもない。赤田さん、どうかしちゃったんじゃ?この場合「どうか」は認知症を疑うのが普通だ。
すぐにTさんに電話をする。
「明日あたり変なものが届きますが、それは間違いで、それはその、じつはTさんに送ったものではなく…」
しどろもどろ。
なんとか事情を分かっていただく。そのうえ図々しくも、孫の家への転送もお願いする。
笑って許してくれるTさん。次の日、「送っておきましたよ」とのメール。「今度大阪のHさんも入れて、オンラインやりましょ!」のお誘い。お会いしたのは2年ほど前。コロナのせいで会う機会もなかったので、「ぜひ」と返信。
瓢箪から駒の呑み会も入り、事なきを得た?いやいやTさんにしては迷惑な話。なぜ自分が赤田さんの孫のプレゼントを宅配便で送らなきゃいけないのか・・・困惑)。
しかし、人間ができているTさん、「なんだか私がプレゼントしたような錯覚・・・」と書いてくれた。そう、おままごとセットはTさんが孫に送ってくれたプレゼント。「サラダセット」でなく、「魚介セット」なら間違いなく明太子が入っていたはずだ。