5日、快晴。抜けるような青空というのはこういうのを云うのだろう。
富士山は、青みが消えて真っ白に。秋、深まれりである。
この日、カワセミの狩りをじっくりと見た。
川の中に流れてきた木の枝などが引っかかって、止まり木のようなものがいくつかできている。
どれも水面から50㎝ほどの高さだが、ここにカワセミがよく留まっている。
きのうも、やや大ぶりのカワセミがエメラルドグリーンの背中を見せて留まっていた。
こちらの期待とは裏腹に、まったく身じろぎもしないであっと思う間に飛び去っていくことしばしなのだが、この日は違った。
思いがけず突然、飛び上がった。飛びだつのかと思った瞬間、水面から6㍍ほどのところでホバリング。
わたしたちが歩く遊歩道は水面から3~4㍍。そこに私の身長を足すとちょうど
ホバリングが目の高さで見える。
声を上げずにじっと見る。羽は細かく高速で動いているが、アタマは全く動かない。
長い。けっこう長い。ものの本にはカワセミのホバリングはせいぜい1秒か2秒とある。
けさは少なくとも10秒以上は続いた。
と思っていると突然、急降下だ。
しかし、水面すれすれでアタマを持ち上げ、また止まり木に。
これで今日は終わりかと思っていると、2回目のホバリングが始まる。
今日はついている。
ホバリングが見られるのは、せいぜい1年に1回。
また急降下、そして今度も水中突入は回避。止まり木に。
いくらなんでももうないだろう、でもいいもの見たよね、と話し歩き出そうとしたところに、なんと3度めのホバリング。
今回も長い。青空の下、空中の青が鮮やかに輝いている。
陶然と見とれてしまう。
そして三度目の急降下だ。一瞬、小さなしぶきが上がる。
見ると、躰ごと水の中に入ったかと思うと
スバやく止まり木に戻ったときには、銀色の小魚が口元で激しくはねている。
いつもカワセミの狩りは、水面近くの葦に留まったところから始まった。
ホバリングからの狩りを見たのは初めて。
これほど見る者の心をつかまえて離さない鳥も珍しい。重いカメラを抱えて毎朝足を運ぶ人の気持ちもわからないではない。