『波紋』イメージとしての水・・・浄化、汚染、津波、冷却・・・。

7月も半ば。

今朝、鶴瀬橋の袂の岩に小ぶりのカワセミを見かける。カメラマンの宮本さんによると、この近くにカワセミの巣があるのだという。

今、子育ての時期で、餌を取ってはせっせと巣に運んでいるという話。でも、巣がどこなのかわからない。

川の中に何やら長いものがゆらゆらと泳いでいる。

アオダイショウだ。頭だけを水面に出し、体をくねらせながら進んでいく。

この間見つけたのはもっと上流。違う個体。そう言えばやや細めだ。長さは1メートル半ぐらいだろうか。

帰途、同じ場所でまたカワセミを見つける。高さ50cmあたりでホバリング

今朝は3羽。同じものかもしれないが。

 

映画備忘録。

7月、映画に行っていない。

今ひとつ、観たいというものがない。

6月に観た1本、書いていなかった。

『波紋』(2023年/120分/脚本・監督:荻上直子/出演:筒尾井真理子光石研・:筒尾井真理 子光石研 磯村優斗 安藤玉恵 キムラ緑子 /2023年5月26日公開)

 

須藤依子は「緑命会」という新興宗教を信仰し、祈りと勉強会に励みながら心穏やかな日々を過ごしていた。そんなある日、十数年前に失踪した夫・修が突然帰ってくる。自分の父の介護を依子に押しつけたままいなくなった修は、がんになったので治療費を援助してほしいという。さらに息子・拓哉は障害のある恋人を結婚相手として連れ帰り、パート先では理不尽な客に罵倒されるなど、自分ではどうしようもない苦難が次々と依子に降りかかる。湧きあがってくる黒い感情を、宗教にすがることで必死に押さえつけようとする依子だったが……。

 

 

 

自分の心を美しく保つために緑命会等新興宗教にのめり込む依子。その教義の中心が「水」というのが面白い。なんの映画だったか、やはり「水」を崇める新興宗教が登場した。渇きとか浄化というイメージだろうか。

夫が突然失踪したのは、東北大震災で原発が爆発したことがきっかけ。これもまた「水」。襲う「水」=津波と、汚染される「水」冷却水・・・。

もっと水へのこだわりを見せてほしかった。

 

荻上直子の脚本・監督作品は、前作の『川っぺりムコレッタ』を観た。面白かった。イメージ豊か。小説もいいのではないかと思う。

帰ってきた夫を生理的に受け付けない様子を表す具体的な行為一つ一つが、ゾッとしていい。

自分の中の悪意を飼い慣らすことのできない依子を筒井真理子が好演。たくさん出ているが、『淵に立つ』が印象に残っている。

耳の不自由な女優津田絵理奈の演技がよかった。脚本もいいのだが、湿り気を感じさせない明るさが、悪意の筒井真理子を圧倒する。秀逸。

全体に演出が丁寧で、役者がしっかり応えているのが観ていて楽しい。

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ラストシーンは、筒井真理子がフラメンコを踊るが、これはどうだろう、今ひとつに思えたが。違うラストシーンを見たかった。

 

荻上直子脚本、監督の次回作が楽しみ。

 

そういえば、呉美保が監督に名を連ねている新作映画『私たちの声』が9月に公開になるという。イタリア、アメリカ、インド、日本の合作。『君はいい子』以来の監督作品。7つのショートストーリーの一つを受け持つようだ。あまり話題になっていないけど、楽しみだ。