『メイド イン バングラデッシュ』グローバル企業の抑圧の下、長時間労働と低賃金で苦しむ若い女工たちの闘い。

映画備忘録。

前回の2本の前にあと2本見たのを失念。

9月2日、kikiで

『メイド イン バングラディッシュ(2019年製作/95分/フランス・バングラデシュデンマークポルトガル合作/原題:Made in Bangladesh/監督:ルバイヤット・ホセイン/出演:リキタ・ナンデム・シムほか/日本公開:2022年4月16日)

 

 

 

世界の繊維産業を支えるバングラデシュを舞台に、衣料品工場の過酷な労働環境と低賃金に立ち向かう女性たちの姿を描いたヒューマンドラマ。大手アパレルブランドの工場が集まるバングラデシュの首都ダッカ。衣料品の工場で働く女性シムは、厳しい労働環境に苦しむ同僚たちと労働組合を結成するべく立ち上がる。工場幹部による脅しや周囲の人々からの反対に遭いながらも、自ら労働法を学び奮闘するシムだったが……。10代半ばからバングラデシュの労働闘争に関わってきたダリヤ・アクター・ドリの実話をもとに、気鋭の監督ルバイヤット・ホセインがメガホンをとった。「アンジェリカの微笑み」などで知られる撮影監督サビーヌ・ランスランによる美しい映像にも注目。世界の繊維産業を支えるバングラデシュを舞台に、衣料品工場の過酷な労働環境と低賃金に立ち向かう女性たちの姿を描いたヒューマンドラマ。大手アパレルブランドの工場が集まるバングラデシュの首都ダッカ。衣料品の工場で働く女性シムは、厳しい労働環境に苦しむ同僚たちと労働組合を結成するべく立ち上がる。工場幹部による脅しや周囲の人々からの反対に遭いながらも、自ら労働法を学び奮闘するシムだったが……。10代半ばからバングラデシュの労働闘争に関わってきたダリヤ・アクター・ドリの実話をもとに、気鋭の監督ルバイヤット・ホセインがメガホンをとった。「アンジェリカの微笑み」などで知られる撮影監督サビーヌ・ランスランによる美しい映像にも注目。

 

バングラディッシュの映画は初めて見る。この国の映画事情をネットで見てみた。

古い資料だが、2016年にバングラディッシュで上映された映画は130本。地場の映画と輸入映画と半々の割合。輸入映画はほとんどがハリウッドのもので、吹き替え、字幕なし。地場の映画は60〜70本ほど作られるようだが、1時間に満たないものも多いようだ。

映画館は国内に250館ほど。ほとんどがプロジェクタでの上映で、音響設備やエアコンはないとのこと。入場料は50タカ、65円ほどだが、平均年収が22万円ほどというから安いとは言えない。シネコンのようなものがダッカにはあって複数のスクリーンを持ち、エアコンなどもついているようで、若者のカップルなどには人気なのだとか。こちらの料金は250〜400タカ。かなり高い。

言語はベンガル語。インドの映画、いわゆるボリウッドで作られた映画は、地場映画の収益を脅かすことから禁止されていて(映画の中ではテレビで放送されていたが)、言語が共通するタリウッド(インド・西ベンガル州の州都コルカタでつくられる映画)・ダリウッド(バングラディッシュの首都ダッカでつくられる映画)合作の映画が多いようだ。

 

で、この映画、面白かった。ナイキやユニクロなどのグローバル企業に首根っこを抑えられた零細工場で働く若い女性労働者たちが、労働組合を作ろうと立ち上がる姿を描く映画だ。バングラディッシュにも労働者を守る法律はあるが、機能していない。労働省と企業が内通していて、組合の認可を出さない。経営側は切り崩しの余念なく、それを裏で支えるのが女性差別だ。女が労働組合をつくること、妻がそういう動きをすることを男が許さない空気がある。

厳しい労働と止まない差別の中で、主人公のシムを中心にして女子たちはとにかく率直で明るい。思ったことを口に出し、言いたいことを素直に言い合う。若くして結婚をしている人もいるが独身の人もいて、彼らはまだまだ遊びたい年頃。映画に行くか労働組合に集会に行くかで迷う。

そんな彼女たちが労働組合結成を目指して動くが、一方男たちはといえば、働かずに妻の収入で生活する夫、女子労働者と関係を結びながら経営者に見つかると、「誘われた」と逃げ口上をうつ中間管理職。労働省の役人に至っては自己保身と出世にしか目がいかない。

一番の抑圧装置は男。その男たちを軽々と超えていこうとする姿と、ダッカの街の活気が心地よい。

現実は、それほど簡単に労働者の権利が手に入る状況ではないのだろうが、バングラディッシュの労働者、とりわけ女性労働者にとっては勇気づけられる映画だ。そして振り返れば、抑圧装置としてのグローバル企業を支えているのが、わたしたち先進諸国と言われる国の市民たち。

安いTシャツが買えれば確かに嬉しいが、そのために貧困の中で長時間労働と低賃金でうめいている人たちがいること、アンフェアトレードに手を貸していることに思い至らざるを得ない。

「今日はこれで残業は終わり。ここで寝て明るくなったら帰りなさい」という経営者。

仕事が終わったからと扇風機を止める経営者に対し、「扇風機をつけろ」と要求する彼女たち。

これ一つとってもどれほどの長時間労働かわかる。彼女らの要求は「残業手当を払え」だ。

 

 

この文章、MacBookで書いた。まだ慣れない。