映画『劇場』未熟な自己愛の話を延々と見せられるのはつらい。どうしてこういう映画が受けるのか、私にはわからない。

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たまに


布団から出た時には雨は降っていなかった。朝食を終えて、さてと外をみたら庭の敷石が濡れ始めた。また、傘をさしての散歩である。湿気があっても風がなければ、雨中の散歩はそれほど嫌なわけではない。自転車が少ないし、ひともまばらだ。川面に降る雨もいいものだ。

雨中に出てきたご褒美なのか、今朝は5度までもカワセミを目撃。場所が違うから少なくとも3つ以上の個体をみたいと思う。久しぶりに、飛び込んで餌を口にする姿もしっかりと眼に収めた。

雨は降っていても、曇天の空は明るく、いつもより高さを感じる。鳥の啼き声もあちこちから聴こえてくる。うっすら靄がかかったような川面から靄が消え、折り返すころには薄日が出始めた。

 

森さんちで、ナス、オクラ、インゲン、カボチャを買う。

 

7月17日に公開された映画『劇場』(2020年/136分/日本/原作:又吉直樹/監督:行定勲/出演:山崎賢人松岡茉優を、Amazonプライムで見た。無料である。世界で初めての試みだとか。

それと映画名の中身は別。

映画サイトでは3.6~3.8の高い評価。残念、退屈である。読んでいないからわからないが、原作に面白味がないのだろうし、映画としてもいい大人を2時間以上も惹きつける映画とは思えなかった。キスシーンすらない、もちろん暴力シーンもない。走るシーンはあった(笑)。アンダーグラウンドの演劇の話なのに、みんなずい分行儀がいい。未熟な自己愛の話を延々と見せられるのはつらい。どうしてこういう映画が受けるのか、私にはわからない。

 

『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017年/114分/日本/原作:北川恵海・監督:成島出/出演:福士蒼汰工藤阿須加黒木華

 

「働き方」をテーマにした映画は少ない。仕事に価値を求め、打ち込む映画は多いが。

 ブラック会社を舞台した映画は、ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』(2009年)というのがあったが、これはある意味ブラック容認、論外だった。

  

本作はタイトルに惹かれた。

前半は面白かった。ややギャグ的ではあるが、こういう会社、あるだろうな、と。そして働く者が痛めつけられても、こういうふうにしか対応できないだろうな、と。労働者同士が簡単に手を組まないのもよくわかる。

さて、ではここからどう解決していくのか。

助け舟が表れる。面白い。しかし、最後はやっぱりファンタジー

働き方の何が問題かというふうに物語は展開せずに、個人の生き方とか夢といったところに漂着。そうすると、システムとしてのブラックはどこかに行ってしまい、構造は隠蔽される。

『サンドラの週末』(ダルデンヌ兄弟)や『家族を想うとき』(ケン・ローチ)のような社会システム、それもグローバルに広がった労働形態の変化のようなものは全く霧消してしまう。

 

韓国映画『明日へ』(2014年)は面白い。

 

2007年韓国で実際に起きた、不当解雇への抗議のためにスーパーの非正規従業員が交渉を要求しスーパーを長期間占拠した事件をもとに、スーパーの従業員たちと大手スーパーとの闘いを描く。

大手スーパー「ザ・マート」のレジ係のソニ(ヨム・ジョンア)は二人の子どもを育てながら残業やクレーム処理に奔走し、正社員登用の契約を勝ち取る。しかし、パート業務を外部委託するというスーパー本部の意向により、ソニを含む女性従業員たちは一方的に解雇通告を言い渡される。これを受け、女性従業員たちは清掃員スルレ(キム・ヨンエ)やシングルマザーのヘミ(ムン・ジョンヒ)を中心に労働組合を結成するが本部は交渉に一向に応じないために、ソニらはストライキを決行しスーパーを占拠する。だが、警官隊の突入により占拠は失敗し、彼女たちは不法占拠の罪で訴えられてしまう。(Wikipediaから)

 
韓国映画らしいストレートさ、つべこべ言わなずに「そんなのおかしいだろう」がそのまま出てくる。文化や歴史の土壌の違いを感じる映画。
 
出羽の守のつもりはないのだが。