コンサート備忘録。
10月2日、フィリアホール。
「魅惑の秋 ~フランス・イタリア・ハンガリーを巡る~」
(主催 愉音 後援 青葉区役所・駐日ハンガリー大使館 文化庁「ART for the future!補助対象事業)
日時:2021年10月2日(土) 会場:フィリアホール 演奏者:タラス・デムチシン(クラリネット)、赤松林太郎(ピアノ)、 松本紘佳(ヴァイオリン) プレトーク 奥田佳道 (音楽評論家) 演奏曲目 サンサーンス作曲ヴァイオリンソナタ第1番 ストラヴィンスキー作曲 イタリア組曲 バルトーク作曲 コントラスツ ほか 〈0歳からのバリアフリーコンサート〉 【午前の部】10:45~ 【午後の部】15:15~ 全席自由:親子1組2,000円(小学生以下)※追加家族1名500円 〈ソワレコンサート〉 18:00~ 一般3,500円 学生1,000円
前回に続いて音楽評論家の奥田佳道さんのプレトーク。この方の声は時々FMでお聴きする。15分ほどだったが、事前にこういうトークが入るのはいい。特にこの方の話はゆっくりで穏やか。落ち着く。
赤松林太郎さんというピアニストもタラス・デムチシンさんというクラリネット奏者も初めて聴いた。お二人とも音楽家として素晴らしい経歴をお持ちだが、演奏家は経歴では測れない。その日の演奏で測られる。
赤松さんが鍵盤に指を置く。最初の音が出た時に「おや?」と思わせる。絶妙な柔らかいタッチ。
かすかな和音がバランスよく残る中、ペダルが離れる瞬間もいい。なんとも排気量の大きな音楽性。
このコンサートではクラリネットはコハーンさんが何度か登場しているが、デムチシンさんもいい。長く九州交響楽団で首席を奏者を務め、横浜のジャパンユースオーケストラの音楽監督として指揮者も務める。この日のトリオのヴァイオリンとピアノとのアンサンブルはいくら言葉を尽くしても尽くしきれないほどの絶妙さ。
松本紘佳さんもかなり年上のお二人に刺激され、素晴らしいパフォーマンスを発揮。この人もどこまで伸びしろがあるのかと思うほどに新境地を開いていくようだ。
前半の二つのピアノソナタはもちろんだが、最後のバルトークの「コントラスツ」はすさまじくレベルの高い演奏。
この曲の初演は、バルトーク(p)にベニーグッドマン(cl)、ヨーゼフ・シゲティ(vI)だったという。
「コントラスツ」というタイトルにふさわしく3つの楽器が時に渾然一体、時に自由闊達に、自然と心が湧きたつような演奏だった。
ネットでの公開が待たれる。
バルトーク(1881-1945)