『愛のように感じた』(エリザ・ヒットマン)10代のセックスに関する言葉は即物的で味気ないものだし、欲望をむきだしのままさらしているようであるのに、エリザ・ヒットマンは、その中の核のような部分に隠されている穏やかでやわらかい異性に対する感情を浮き彫りにする。タイトルはまさにそのままだ。

映画備忘録。

9月29日kikiで。

 

『愛のように感じた』(2013年製作/82分/アメリカ/原題:It Felt Like Love/監督:エリザ・ヒットマン/出演:ジーナ・ピアルサンティ ジオバーナ・サリメニ ローネン・ルービンシュタイン/日本公開2021年8月)

 

エリザ・ヒットマン監督の2013年の作品。デビュー作。7月に公開された『17歳の瞳に映る世界』が評判が高かったため、1か月後に8年前の作品が本邦初公開となったようだ。

ある夏のブルックリン郊外。14歳の少女ライラは、経験豊富な親友キアラとそのボーイフレンドであるパトリックとともにビーチへやって来る。身体を寄せ合うキアラとパトリックの姿を、浮かない顔で見つめるライラ。そんな彼女の前にタトゥーの入った地元の大学生サミーが通りかかり、ライラはひと目で心を奪われる。サミーが「誰とでも寝る男」だと知ったライラは様々な口実を作って彼に近づこうとするが、背伸びして嘘を重ねるうちに思わぬ状況に陥ってしまう。(映画ドットコムから)

 

『17歳~』と同じ血液が流れている映画。カメラワーク、カメラアングルそれ自体が、モノを言っている。

 

説明をしない。かといって画面から受け取れるものは不確実であいまいなもの。物語としてどうつながっているかとは、考えない方がいいようだ。画像1

日常の生活の断片が特に盛り上がりもなく羅列されていく。

ただそれが積み重ねられていくと、主人公の10代らしいけだるさのなかのひりひりするような孤独感が伝わってくる。そして、ああこういう物語なのかと得心させられる。

10代のセックスに関する言葉は即物的で味気ないものだし、欲望をむきだしのままさらしているようであるのに、エリザ・ヒットマンは、その中の核のような部分に隠されている穏やかでやわらかい異性に対する感情を浮き彫りにする。タイトルはまさにそのままだ。

最後のシーン。男子3人を前にした14歳のライラ。詳しくはかけないが、好きになったサミーが返す言葉。

若い人たちはこの映画、どう見るのだろうか。画像3