モーツァルト・ドヴォルジャークの弦楽四重奏曲、ブラームスのクラリネット五重奏曲、3曲堪能。元気が出た。

7月7日、愉音のソワレのコンサート第15回。青葉台フィリアホール

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久しぶりの外出。二人で出かける。田園都市線青葉台は近場の都会。しかし、

終演後、お店に寄ることはできても、お酒は飲めない。7時を過ぎてしまうからだ。不自由なことである。酒など飲んでも飲まなくてもどちらでもいいのだが、上から飲んではならぬといわれるのが嫌なのだ。

 

今夜は、豪華な出演者に意欲的なプログラム。

自由席。一席空きになっているから端に坐らなくてもよい。真ん中の通路の中央、たぶんホールで一番の席。

 

開園15分前に音楽評論家の奥田佳道さんのプレトーク

3つの演目について丁寧かつ洒脱な話しぶり。私のような半可通には新鮮なお話だった。

クラシックのコンサートはいきなり始まり、アンコールまでトークは一切なしというのが相場だが、聴きに来る人皆が知識をもって聞きに来るわけではない。こんなプレトークならどんどんやってほしいものだ。

 

モーツァルト。第一ヴァイオリンは原田幸一郎。こういう人のことをレジェンドというのだろう。1969年東京カルテットを結成。俗っぽい言い方をすれば、世界を股にかけて活躍された方。第二ヴァイオリンの松本紘佳の先生でもある。

 

ハイドンにささげられたいわゆるハイドンセットの中の1曲。

私はあまりなじみのない弦楽四重奏曲。全体にいわゆるモーツァルトらしい明るさはない。精緻だがどこか暗さをにじませる。引き込まれる。空席が多いせいかいつもより残響が多いように感じられ、弱音がよく聞こえる。4人のアンサンブル絶妙。松本は原田との演奏は初めてというが、気負いなく自然。ヴィオラの長谷川の音もよく響いている。チェロのドミトリー・フェイギン、この人もレジェンドの一人だが、なんとも小気味のいい低音を響かせている。

 

ドヴォルジャーク。今度は松本が第一ヴァイオリン。原田は引き立て役に回る。

アメリカ」。交響曲9番「新世界より」の直後に書かれたという作品。「新世界より」のわくわくするような感情がそのままこの曲ににじみ出ている。郷愁をそそるおおらかで明るい曲。ここでは松本が思い切りリードする。このくらいに第一ヴァイオリンが出てくると、この曲は楽しい。支える他の3人は嬉しそうに松本を支えている。弦楽四重奏曲ではあるが、聴きようによってはヴァイオリン協奏曲のようだ。そのくらいあでやかでスケール感のある演奏。

ブラームス

クラリネットのコハーン・イシュトヴァーンが入る。モーツァルトのものと並んで最もよく耳にするクラリネット五重奏曲。

私はこの曲、1996年録音のブランディスカルテットのCDでよく聴いた。

このCD 、カップリングはブラームス弦楽四重奏曲2番で演奏は東京カルテット(原田はすでに離れていて別のメンバーによる)。五重奏曲はイギリスで、弦楽四重奏アメリカでの録音。いつ買ったものか、覚えがない。

コハーンのソロでのクラリネットの超絶的な演奏は今まで何度も聴いてきた。アンサンブルを聴きたいと思っていたところに、今夜のトリで登場である。

スリリングな緊張の感のある素晴らしい演奏。ただ一つだけ、もっとクラリネットの音が浮き出てきてもいいのになと思った。4つの楽器にまぎれてしまうと感じることが何度かあった。聴いている場所のせいだろうか。

 

3つの楽曲。堪能した。私のような者でもいろいろと我慢を強いられることのある日常だが、こういう演奏を聴くと元気が出る。ただただ満足。

できることならば、このメンバーでクラリネット五重奏曲、ベートーヴェンシューベルト、欲を言えばバルトーク弦楽四重奏など聴いてみたいものだ。

フィリアホール弦楽四重奏の夕べ」シリーズなんていいな。