『子どもはわかってあげない』(8月20日公開)ストーリーはどこもここもフワフワしていて、ひっかかりがない。それならつまらなくて途中で席を立ちそうなものだが、最後まで見せられてしまう。138分はかなり長尺なのにフワフワに付き合わされてしまった。

映画備忘録。

『子どもはわかってあげない』(2021年製作/138分/PG12/日本/原作:田島列島/監督:沖田修一/出演:上白石萌歌 細田佳央太/公開20201年8月20日

沖田修一監督の映画は、南極料理人』(2009年)『モヒカン故郷に帰る』(2016年)を見ている。最近の話題作は『おらおらでひとりいぐも』(2020年)

いずれも独特のユーモアを醸し出す空気がある。その意味で本作もその延長上にある。

上白石萌歌羊と鋼の森』(2018年)で、細田佳央太は『町田君の世界』(2019年)『花束みたいな恋をした』(2021年)で、それぞれいい印象がある。

それにしても不思議な映画だ。タイトルもよくわからない。だいたい劇中用のアニメから映画が始まる。これがけっこう面白い。このアニメが物語のベースにある。しかしストーリーはどこもここもフワフワしていて、ひっかかりがない。それならつまらなくて途中で席を立ちそうなものだが、最後まで見せられてしまう。138分はかなり長尺なのにフワフワに付き合わされてしまった。

鍵は上白石萌歌の演技、あるいは存在感かな。

『おらおらでひとりいぐも』は、この映画をみたあと、Amazonプライムのレンタルでみた。つくりがひどくぶっ飛んだ映画なのに、物語としては特にキレがあるわけではない。これも長尺、137分。こっちは紛れもない田中裕子の存在感。

 

共通するのは独特のユーモアを感じさせる空気。二人の女性の感情の動きや流れのようなものが自分には見えていると思うのだが、しっかり凝視しようとするとするっと逃げていくような感覚。そうなるとどちらもタイトルに味があるような気もしてくる。殊に『おらおらでひとりいぐも』は宮沢賢治や若竹千佐子など吹っ飛ばして独特の沖田修一の世界を表g偏しているようにも見えるし、原作は読んだことはないが『子どもは…』も田島列島の原作など突き抜けてしまっているのではないかと思う。

勝手な想像だが。

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