新作浪曲『中村哲』九州・筑豊に始まる生い立ちから、アフガニスタンに1000以上の井戸を掘るところまでを語る。途中、ギター伴奏の歌も入る。堂々の30分。創作浪曲を浪曲界の至宝と言われる豊子師匠の三味線で堂々と語り切った。これは大変なレアもの。いやいやレアであるだけでなく、中村哲さんの貴重な「語る評伝」である。

7月24日土曜日。朝からいい天気である。気温はどんどん上がり35度に近い。

6月19日に予定されていた『浪花の歌う巨人パギやん独演会』が、この日に延期。

時間も17時開演が13時開演に。どうしてこんなことに。

 

土休日はマークから南町田グランベリーパーク駅までのバスがかなり間引かれる。

特に昼間は、11時の次はが12時ちょうどだ。11時では早すぎる。12時では少し遅れてしまう。

「歩く!」と決めたのは、いつものようにMさん。

この激しい日盛りの中を20分歩くのか? 合掌。

11時半過ぎ。日傘を並べて出発。

 

f:id:keisuke42001:20210726153637j:plain

6月19日(土)⇒ 7月24日(土)

芸人三昧十五周年記念特別公演
浪花の歌う巨人・パギやん 独演会 Vol. 3in 大倉山記念館
■開演/17時00分(開場/16時30分)⇒ 13時00分(開場12時30分)
■入場料/前売り券:3,000 円 当日券:3,500 円
■出演者/パギやん(歌劇派芸人)、沢村 豊子(曲師)
■内容/芸人三昧十五周年記念特別公演として、日本一の曲師
沢村豊子」を迎えて、浪花の巨人・パギやんが、
新曲浪曲「医師・中村哲」のネタおろしを行います。
一席目が「紺屋高尾」、二席目が新作浪曲
「医師・中村哲」です。ライブ録音予定。

 

東横線大倉山駅を降りると、大倉山記念館は急坂を上って6~7分。

息が上がる。

 

開演10分前に到着。

楽屋ではなく客席工法で出番を待つ趙さんに声をかける。

始まる前によけいな話で集中力を鈍らせてるのは本意ではない。1~2分で。

 

きょうは5つやります!と趙さん。

最初に戦時歌謡を数曲。

この日は短縮版だったが、系統的に時系列で戦時体制を支える庶民の「うた」を取り上げてほしい。

 

続いて浪曲「紺屋高尾」。ここで曲師沢村豊子師匠登場。

趙さんの歌はもちろんのことだが、私はこの人に会いたくて、この人の三味線が聴きたくて、来る。今年84歳。

浪曲、落語の定番「紺屋高尾」は、染め物職人久蔵と花魁高尾が身分違いの所帯を持つところで終わる。趙さんの浪曲。もう板についたもの。何度聞いても久蔵の「喜び」が伝わってくる。豊子師匠の三味線はいつものように間も音程も完璧。

 

休憩後、最初に「悔心曲」。朝鮮に伝わる仏家の説話。生まれた時からこれまでの人生を振り返り、気がつけばいまわのきわに。「もう燃え尽きる命、逝く身を誰が止められるでしょう。友が多いと言えども誰が同行してくれましょうか。親戚一族が多いと言って、どの親戚が代わりに行ってくれるでしょうか。ご同朋諸氏よ。私のこの後悔の謡を、ゆめゆめお忘れなきよう。せいぜい親孝行な去って、なすべきこと話すべきうちに、ちゃんとなされよ。一足お先に失礼申します。南無・・・。」

 

初めて聴いた。この間ソン・ガンホの『王の願い』という映画について書いたが、朝鮮では仏家は少数派。中国の影響から儒教が強かったが、こういう歌って伝える仏法説話も残っている。

 

続いてあほだら経。江戸時代に始まった坊主が門付けをして歩いた話芸。漫才に取り込まれるなどして昭和まで生きのびたという。趙さんは自分なりの歌詞をつけて政治批判を含めた独自のあほだら経を小さな木魚が二つ付いたものを叩きながらうたう。

 

最後に浪曲中村哲」。今日がネタおろし。前編。中村医師の九州・筑豊に始まる生い立ちから、アフガニスタンに1000以上の井戸を掘るところまでを語る。途中、ギター伴奏の歌も入る。堂々の30分。創作浪曲浪曲界の至宝と言われる豊子師匠の三味線で堂々と語り切った。これは大変なレアもの。いやいやレアであるだけでなく、中村哲さんの貴重な「語る評伝」である。

 

後編は9月25日、同じここ大倉山記念館で。チケットは5月に手に入れてある。楽しみなことである。

 

f:id:keisuke42001:20210726163106j:plain

 

 Mさん、『グーチョキパーのうた』とCDを購入。超さんにサインをしてもらう。

趙さん、ひとこと。

NHKみんなのうたでも取り上げてくれたらうれしいんやけど」

同感である。