広島本大賞というものがあることを初めて知った。
2011年から続いている賞。
ということで、広島の本読みの手練れがさまざまなジャンルから厳選した本がノミネートされ、毎年1~3冊が大賞に選ばれるのだという。
11年分のノミネート作品を見ると、なかなかの品ぞろえ、著者ぞろえ、である。
主催は、広島の書店員とタウン誌編集者の有志。ノミネートと審査もこの人たちが行う。
ざっと見ても、『聖の青春』(大崎善生)『ズッコケ中年三人組』(2011年)(那須正幹)『空白の天気図』(柳田邦夫)『ヒロシマ壁に残された伝言』(井上恭介)(2012年)『夕凪の街桜の国』(こうの史代)(2013年)『村上海賊の娘』(和田竜)『望郷』(湊かなえ)(2014年)『カウンターの向こうの8月6日――広島バー スワロウテイル「語り部の会」の4000日』(冨恵洋二郎)『星の子』(今村夏子)『ましろ日』(香川まさひと原作・若狭星作画)(2018年)『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(梯久美子)(2019年)など、興味を持って読んだ本が並んでいる。
そして2021年のノミネート一覧。
この中で私が読んだのは2冊。
『広島平和記念資料館は問いかける』(志賀賢治)と『ワタシゴト 14歳のひろしま』(中澤晶子)。
前者は食い足りないところがあったが、広島本としては王道だから当然のノミネートか。岩波新書だし。
それに対し後者は児童書。エンターテイメントとも言えない。一般の読者からすればかなりの「変化球」。よくぞノミネートされたものだと思う。「手練れ」の方々の見識に高さに敬意を表したい。
大賞に選ばれるに越したことはないが、それより広島にゆかりのある本の1冊として11冊のラインナップの中に入ったことがうれしい。
今、広島の本屋の店頭には11冊が一緒に並べられているらしい。『「育てて勝つ」はカープの流儀』の隣りなんかに『ワタシゴト』が並んでいたら、楽しい。
発表は8月とのこと。