今日、こどもの日。
午前中から買い物に出かけた。夏物のスラックスとシャツを買った。初夏である。外の気温は26℃。湿気の少ない風が窓から入ってくる。
運転はもちろんMさん、車中、ニッポン放送の「久間田琳加のよみきかせのせかい」という番組が流れていた。今日発表になった産経児童出版文化賞の受賞作品の一つが朗読されていた。
この賞は、今回70回となる古いもの。その年1年間に出版された児童書を対象に優れた作品9点を選んでいる。
今年の大賞は、あまんきみこさんの「車のいろは空のいろ ゆめでもいい」が受賞したのだが、刮目すべきことに、このブログにもたびたびお名前が登場する中澤晶子さんの「ひろしまの満月」が産経新聞社賞に選ばれている。
昨年この作品について、以下のように書いた。
「これもまた継承をめぐる物語。あえて中身は書かないが、イメージ豊かな優れた作品。引き込まれた。小峰書店は1980年6月以来のベストセラー「ひろしまのピカ」の版元。タイトルを並べてみると字数がぴったり合う。名コンビささめやゆきさんの表紙、挿絵も素晴らしく、装丁もよく練られていて、完成度の高い作品。これもロングセラーになるのではないか。」
つい先日、中澤さんから重版になりましたとのメールが。やはりじわじわと作品の魅力が伝わっているのだなと思っていたら、受賞とのこと。
産経のネット版で、審査員の土居安子さんが次のように寸評を寄せている。
空き家の庭に住んでいたかめが、その家に引っ越してきた小学2年生のかえでちゃんに出会い、むかしのことを語る。それは、この家に住んでいたまつこちゃんの兄のみのるくんが、原爆の日、作業に行ったまま帰宅せず、お母さんは17日間捜しに行き、お弁当箱とみのるくんが身に着けていた制服の陶器のボタンだけを持って帰ってきたという出来事だった。
かめがなぜ、言葉を話せるようになったのかという謎を追って読みすすめることができ、最後まで読むと、かえでちゃんとともに、まつこちゃんの悲しみを共感する仕掛けになっている。昔話のような語りの手法を使って、現代の小学校低・中学年の子どもに広島の原爆を伝えようとした画期的な作品である。(大阪国際児童文学振興財団理事総括専門員・土居安子)
審査員には落合恵子さんも名前を連ねている。落合さんは中澤さんの「ワタシゴト 14歳のひろしま」のオビは落合さんだ。産経だからといってなんらかの傾向があるわけではないことがわかる。
6月に表彰式が東京であるという。
いずれ先の番組でも取り上げられるはず。事前にわかればこのブログで放送日時をお知らせしたい。