緊急事態宣言下、今まで2つの映画館で3本の映画を見た。
どちらも客数は極端に少なく、座席は一つ置き。そしておしゃべり、食事、飲酒禁止にマスクは義務?
昨日、夕方、野暮用で家に入れない時間があり、グランベリーシネマへ。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020年/116分/韓国/原題:/監督:ヨン・サンホ/出演:カン・ドンウォン イ・ジョンヒン/1月1日日本公開)
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』がとっても面白かったので、この冬、これは見逃せないと思っていた。
いつもは自宅からネット予約をするのだが、今日は上映直前にチケット購入。
面倒なので窓口へ。
「新感染半島…」
といつものように不愛想につぶやくと
窓口の女性、一瞬「え?」という表情を見せたのを私は見逃さなかった。
こんなオヤジが、「新感染半島」、つまりはゾンビの映画を見てはいけないのか。
いまや新型コロナウイルスが変異株も含めて跳梁している時期だぞ、こういう映画、しっかり見るのがオヤジの一途なところ。わけのわからないことを考えたのだが、すぐに勘違いに気付いた。
「この回の上映は、4Dスクリーンですが、よろしいですか?」
よくわからないが、望むところだ。メガネをかけてみるやつだろう、どうせ。
違うらしい。
「シルバーの方ですね。おひとり様で2600円になります」
なんだこの値段は。シルバー料金は1200円。二人分より高い。
女性の手元を見ると「シルバー2200円という数字が見える。
「2200円じゃないの?」
「こちらは4DXの料金です。今回の上映は4DXスクリーンと言って、3方向に画面が映し出されますので」
馬ではないが、足が見えてしまった。
よくよく見てみると、シルバー料金は
単なる字幕 1200円
I MAX 1800円
4DX 2200円
4DXスクリーン2600円
だそうだ。ちなむに「一般」の4DXスクリーンの料金は3300円。
会員カードはもっているかと訊かれ、持っているがいつもネット予約だから今はない、と答えると、そうですか、でおわり。ポイントはつかないらしい。
字幕だけでいいのになあ、と思いながらスクリーン8番へ。
そのまま入ろうとしたら、
「お荷物はロッカーに預けてください」
8番の入り口に小さなロッカーがずらっと並んでいる。たぶん、72個あるのだろう。
手ぶらでDの12番へ。椅子がいかついというかゴツい。シートベルトは・・・・ない。
先客は若い男性一人。
予告が終わったところで若い女性が二人入ってくる。
始まった。
初めは4DXスクリーンのプロモーション用動画。
ちょっとびっくり。迫力?というのだろうか。確かに。
以後116分。
半分とは言わないが三分の一くらいはカーチェイスの映画。
ゾンビの数は恐ろしく多い。
前作の4年後、すでに韓国は国家としての体をなさず、「半島」Peninsula と呼ばれている。半島には遺棄されたお金が眠っており、それを取ってくるのが主人公の任務。「半島」には脱出できず、家族で武装してゾンビと戦っている祖父と親子3人。主人公とこの家族が、お金を奪ってインチョン港まで逃げるまでを描く。
クルマが走るとそれに合わせて座席が激しく振動する。クルマが左に急ハンドルを切ると座席も左にぐわっと傾く。
銃弾が耳の横をかすめると、どこからかプシュッと風が耳にかかる。
ゾンビが水の中を走ってこっちに迫ってくると、顔に水がかかる。
スローモーションになると、椅子はスローに動く。
ヘリコプターが舞い降りてくるとスクリーンのほうから風が吹きつける。
場内を見ると、4人以外の座席もみな同時に同じように動いている。当たり前だけど。
これが満員だったりすれば、歓声があちこちから上がって盛り上がるのだろうが、私を含めて4人は誰一人声を出さない。
ひたすらマスクをしながら息や水を吹きかけられ、椅子ごとひっきりなしに動かされる。
体験型シネマとでもいうのだろうか。
とにかく落ち着かない。
「また来るぞぉーほうら来たぁ!」
という感じ。映画を楽しむというよりも、あんまり怖くない富士急ハイランドのアトラクションという感じ。
そろそろ風が吹くころだな、水くるぞ、なんて考えているうちに映画は終わる。
映画、愉しんだ?
いいえ。