けさは日は出ていたが雲が多かった。
昨朝は、抜けるような青空、丹沢山塊が朝日を受けて、山肌が明るく青く輝いていた。その向こうに富士山が薄く雪を冠って鎮座している。ようやく不順な天候が終わり、安定した天気が続く晩秋が訪れたようだ。5時には13℃を超えていた気温が、明るくなることには12℃になっている。
今日はいつになく鳥の啼き声が耳についた。何カ所かの浅瀬ではせせらぎ。ランニングする人の吐く息の音。電車の音。
歩き始めて20分ほどで田園都市線が境川をまたいで通過していくのが見えてくる。その向こうに国道16号線。朝はいつも渋滞している。
大和市には厚木基地があり、上空は米軍機の航路となっている。自宅から徒歩で30分ほどのところにある小田急線の小駅鶴間駅では、突然頭上を米軍機が通過して驚かされることがある。
騒音もかなりひどい。1960年以降、厚木基地爆音防止期成同盟がつくられ反対運動を続けていて、航空機の飛行実態調査も行われている。
航路は厳しく規制されているようで、それほど離れていない拙宅では爆音は聴こえない。
離着陸時の爆音のすごさは、生前義母がショートステイで利用したことのある大和市草柳の介護施設で体感した。基地至近にあるその施設は窓は全く開けられていなかった。沖縄・普天間と変わらないと思った。
定期便なのか、平日の8時ごろに厚木基地から飛びだったと思われる輸送機を遠目に見ることがある。距離があるせいか音は気にならない程度だ。以前、オスプレイも目撃したが、音はやはり気にならなかった。
こんなふうに基地問題は少し距離があるだけで、その実感には大きな差異ができる。
せせらぎと鳥の声しか聞こえない境川遊歩道、そのわずか数㌔のところに爆音の元凶があるにもかかわらず、毎朝、のんきな散歩を続けているのである。
【読み飛ばし読書日記】
『シンデレラの時計』(角山榮/2003年/平凡社ライブラリー/1500円)
以前に読んだことがあって再読したくなり、図書館で借りる。不定時法の江戸時代以前の話が面白かった。
『散るアウト』(盛田隆二/2004年/毎日新聞/1500円+税)
初めての作家。もう少し面白かと思ったのだが…。
『新敬語マジヤバイっす』(中村桃子/2020年/白澤社/2200円+税)
「社会言語学の視点から」というサブタイトル。タイトルと表紙は易しそうだが、内容はかなり専門的で難しい。
『闇という名の娘』(ラグナル・ヨナソン 吉田薫訳/2019年/800円+税)
アイスランドの警察小説。北欧のミステリは深く重くそして面白い。アメリカで映画化が決定したとか。
『ヤンキー化する日本』(斉藤環/2014年/KADOKAWA/800円+税)
ちょっと気になって古本購入。対談本。冒頭の斎藤論文は秀逸。対談では与那覇潤との「補助輪付きだった戦後民主主義」が面白かった。
『満州メモリー・マップ』(小宮清/1990年/筑摩書房/951円+税)
友人の紹介。古い本だが図書館で借りられた。精細なスケッチと丁寧な語り口。声高でない分、戦中、戦後の日本国家へのラディカルな批判が重い。
『子ども虐待を考えるために知っておくべきこと』(滝川一廣・内海新祐編/2020年/日本評論社/1800円+税)
ムック本。冒頭の滝川論文、かなり長いが優れたものだと思う。
『嵐を呼ぶ少女とよばれて』(菱山南帆子/2017年/はるか書房・1600円+税)
古本購入。「市民運動という生き方」というサブタイトルに惹かれたが、正直あまり面白くなかった。小学生のときから闘い続けてきた人なのに、どうしてだろう。教条的にところを感じるからか。
『ファシズムの教室』(田野大輔/2020年/大月書店/1600円+税)
話題となった本。250人の学生に同じ格好をさせて「ハイルタノ!」と叫ばせ、学内で仕込みのカップルを糾弾させる。「なぜ集団は暴走するのか」。学内でこの授業を続けていくためのさまざまな工夫の方が面白かった。