月曜日の午後。雨の予報が出ているが、まだ降ってこない。
ずっと本を読んでいた。
月曜日の午前中までに、明日の授業の資料を大学のブラックボードとよばれるネット上の掲示板に載せておくことにしている。
これが終わると明日の午後の授業までは少しほっとできる時間。
いちばん気がかりなのは、もしネットがつながらなかったら、だ。授業ができないというのを18人の学生にどうやって連絡するか。
ひとりひとりに携帯から連絡するしかない。
プロバイダが点検をしているとか、外在的な事情で繋がらないならば仕方がないのだが、年に1,2度、そういう理由ではなく、突然つながらなくなる時がある。
最近は、そこで慌てふためいていろいろなところをいじってしまって、隘路にはいるということはなくなった。パソコンとはもう20年もの付き合い、ITオンチなりの理屈抜きの解決策がある。まず電源をいったん落ちしての再起動。いわゆる「困ったときの再起動」である。
もうひとつはルーターの電源を抜いてみる、だ。これがかなり有効だ。
こういう電子機器でも、いろいろなものが詰まってしまうのだろうか。
クールダウンしてみると、直る。理由はわからない。
ところで、学生の書いたものが、去年までとは少し違うような気がしている。
新聞記事などの資料を提示、その場でそれを読んで自分なりの見解をまとめる、というのを授業の始めにやっている。
なるべく学生がふだん考えないようなテーマを選ぶ。今年の5回分は以下のようなもの。
「レジ袋有料化によるカゴパク問題をどう考えるか」
「杉田水脈衆議院議員”女性はいくらでもウソをつける発言”問題をどう考えるか」
「中学生の人生相談 ”死について考えずにいられない” に回答する」
「兵庫県サッカー協会事務局長の”朝鮮、かかってこい発言”問題をどう考えるか」
「「ひとりは賑やか」(茨木のり子)をどう読むか」
例年だとその場で10分ほどで書いてもらい、意見交換をするのだが、今年はオンライン。はじめから沈黙の時間となっては具合が悪い。
事前に先程の掲示板に資料を提示し、それをそれぞれが自分で読んで書いたものを、土曜日までにメールで送ってもらう。
その中身が対面授業のときと比べて、少しだけ濃いのだ。
ひとりでテーマと向き合うせいだろうか。
初めは多少コピぺがでるかなと思っていたが、読んでみると等身大と思える若者の意見がほとんどで、コピペと思われるものは全くない。まじめだなあと思う。
授業では、送ってもらった全員分を読めるように提示するので、自分のものと比較できる。
文理学部という国文科から地球生命学科までが一緒になっている学部だから、発想にも違いが出てくる。同じように教職を取りながら、学科の違う学生のものに触れるのはちょっと新鮮なようだ。
読んでいて、これほど違う発想をするものかと思うときもある。
オンライン(zoom)のしんどさばかり言い募ってきたが、悪いことばかりではないような気もする。
メールのやりとりが頻繁なので(最低週2回は添付で文章を送ってくる)、学生一人ひとりの生活や意識が見えるときもある。
勿論相変わらず隔靴掻痒の感はぬぐえないが、よく考えてみれば対面だからと言って隔靴掻痒感がないかと言えば、そんなことはない。
人は誤解する程度に理解できればいいといった人がいたが、誤解の度合いで言えばそんなに違わないのかもしれない。