2月17日、昭和大学藤が丘病院の診察。
8時半の予約だが、内科の前に着いたのは8時15分ごろか。
診察が始まるのは、電光掲示板(古いか)にドクターの名前と予約番号、それに「中待合室にお入りください」との表示が出るのでわかる。
8時20分、最初の表示。主治医のY先生、早めに始めたようだ。
若い女性の先生、入院中も病棟へ顔を見せるのは21時ごろ。診察に手術に検査にととにかく忙しそうである。
先日撮った内視鏡の写真を見せてくれる。
外目はくたびれた老爺だが、内臓は驚くほど色鮮やかできれいだ。
いまのところ、食道から、胃、十二指腸まで特に問題はないとのこと。
5月にまた内視鏡の検査をする。これで1年に6回ということになる。
存外に早く済み、病院をあとにしたのが9時半ごろ。
久しぶりに若葉町のジャック&ベティへ。気合の3本。
とはいえ、観客はまばら。どれもそれなりに話題になっている映画なのに。
”つばなれ”するかしないか。新型コロナウイルスの影響だろうか。
『母との約束 250通の手紙』(2017年/131分/R15+/フランス・ベルギー合作
原題:La promessa dell'alba(直訳・夜明けの約束)・監督:エリック・バルビエ/主演:ピエール・ニネ・シャルロット・ゲンズブール/1月31日公開)
外交官や映画監督、そして「勝手にしやがれ」の女優ジーン・セバーグの夫としての顔も持ち、1980年に拳銃自殺で最期を遂げたフランスの伝説的文豪ロマン・ギャリーの自伝小説「夜明けの約束」を、シャルロット・ゲンズブールと「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネの共演で映画化。シングルマザーとして息子ロマンを育てるユダヤ系ポーランド人移民のニーナ。息子が将来、軍人として活躍した後、作家として成功すると信じる彼女は、息子の才能を引き出すために躍起になる。ロマンは、そんな母からの過剰な愛と重圧にあえぎながらも、母の夢をかなえようと決意。成長したロマンは自由フランス軍に身を投じ、病で生死の境をさまよった時も、ニーナからの激励の手紙が届き続けた。やがてロマンはパイロットとして活躍し、執筆した小説が出版され作家デビューも果たすことになるが……。(映画ドットコムから)
自伝的小説と言われるが、自伝そのもの。だから、どこかつなぎ目が荒っぽかったりする。
ひたすら息子のために生きる母親、大使になる、立派な軍人になる、ユーゴーやトルストイのような文豪になると信じてやまない母親、ユダヤ系ポーランド人として屈折しながらもそれに応えようと奮闘する息子ロマン・カツェフ。息子のためにひたすら励ましの手紙を書き続ける母親。
ネタバレなるので書かないが、母親の死を知らされる最後のシーンがせつない。
ロマンガリの一代記。幼児の名前そのままのカツェフは、ユダヤ人であることを理由に任官を拒否されるが、航空兵として軍人としても最高の栄誉を受ける。戦後はフランスに帰化し、ロサンゼルス駐在領事など外交官としても活躍、小説家としてゴンクール賞を2度とり(2度目はエミール・アジャールの名前で)、映画監督も務める。
物語として波乱万丈ではあるけれど、それほど面白味はない。しかし映画的にはかなり愉しませてくれる。
20世紀初頭のポーランド移民の生活、第2次世界大戦のヨーロッパ、アフリカ戦線、よくもまあと思うほどリアルな画面に驚かされた。
ロマン・ガリは、1980年に拳銃自殺、60歳だった。出版社の担当者にあてた遺書に、エミール・アジャールは自分だと告白し、「大いに楽しんだ、ありがとう、さようなら」と記したという。
2本目。『私の知らない私の素顔』(2019年/101分/R15+/フランス/原題:Celle que vous croyez/監督サフイー・ネブ/主演:ジュリエット・ビノシュ・1月17日公開)
公開)
タイトルをグーグルで直訳すると「あなたが思うもの」となる。よくわからない。かといって邦題は七七調でいまいち。
しかし映画としては傑作、だと思う。
50代の大学教授がSNSの世界でバーチャル恋愛にはまっていく顛末を描いたジュリエット・ビノシュ主演の心理サスペンス。パリの高層マンションに暮らす50代の美しき大学教授クレール。ある日、年下の恋人にフラれてしまったクレールは、ほんの出来心でSNSの世界に足を踏み入れる。Facebookで「24歳のクララ」に成りすましたクレールは、アレックスという男性とつながるが、アレックスは別れた恋人の友人だった。アレックスとSNSの世界にのみ存在するクララが恋に落ちてしまったことから、事態は思わぬ方向に展開していく。主人公のクレール役をビノシュが演じるほか、ニコール・ガルシア、フランソワ・シビル、スーパーモデルとして活躍するマリー=アンジュ・カスタらが顔をそろえる。(映画ドットコムから)
ブログでフォローしているsmokyさんという方が、24歳のクララより50代のクレールの方がはるかに魅力的と書いていたが、まさにその通り。この映画、ジュリエット・ビノシュの演技に尽きる。
是枝裕和の『真実』のリュミエール役も良かったが、本編はは何とも言えない不安定さが醸し出す色香(古いか)が良い。
若い女性になりすまして若い男とのテレフォンセックスにのめり込んでいくクレールだが、ありがちなのにとってもリアル。目が離せない。
大学教授、離婚、二人の息子、葛藤?という言葉で表しきれないから、ビノシュの演技がある。
心理カウンセラーとのやり取りがもうひとつのキーになっているが、カウンセラーも引きずり込まれたと見ていい。クレールが書いた小説をカウンセラーは読んでしまう。カウンセラーが追体験してどうする?
現実と妄想とが入り混じり、その中でうごめき散らかり、それでも統合をめざすこころ。ラストシーンもいい。
どうしてこういう雰囲気の映画がつくれるんだろう。SNSのなりすましなんて、もう20年前からあるのに。
リメイクするなら筒井真理子という口コミがあったが、どうだろうか。
ドロドロにならなければいいが。
雑な紹介の3本目。
『静かな雨』(2019年/99分/日本/監督:中川龍太郎/主演:仲野大賀・衛藤美彩/
2月7日公開)
恋愛映画?
「記憶」をめぐる物語。
中川監督の『四月の永い夢』がとってもいい映画だったので少し期待しすぎたのか、それとも3本目で疲れてしまったのか、途中意識を失った時間が少し。随所にいいなと思うシーンはあるのに、間延びと思ってしまうシーンも多かった。
仲野大賀という役者は、独特の雰囲気。宮藤官九郎脚本の『ゆとりですが何か』というとっても面白いドラマがあったが、いい味を出していて印象に残った役者。
私には全体にテンポが遅すぎたし、遅さの中から出てくるものが少し淡すぎたという感じ。