『息子の面影』『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』『教育と愛国』

今、35℃。

マンションのエントランスを出たところにミモザの木がある畑がある。

カボチャとスイカが植わっている。蔓の伸びた途中に黄色い花が花が咲いている。カボチャだ。

一昨日、その蔓がミモザの10㌢手前にあった。きのう、ミモザに届いた。今朝、ミモザを越えて伸びていた。毎日10㌢以上伸びる。たいした生命力。ごろんとカボチャが転がっているのが見える。

 

映画備忘録。

今日、夕方、近所の109シネマで『ベイビーブローカー』を見る予定。そのまえに備忘録の整理。簡単に。

 

6月21日

『息子の面影』(2020年製作/99分/G/メキシコ・スペイン合作/原題:Sin senas particulares/総制作指揮・監督:フェルナンダ・バラデス/出演:メルセデスエルナンデス ダビ・イジェスカス/日本公開:2022年5月27日)

 

メキシコ国境付近を舞台に、出稼ぎに行ったまま行方が分からなくなった息子を捜す母親の旅路を描いた人間ドラマ。荒涼としたメキシコの大地を美しく切り取りながらも、貧困をはじめとした社会問題を鋭く描き、2020年サンダンス映画祭で観客賞と審査委員賞を受賞するなど高い評価を得た。メキシコの貧しい村に暮らすマグダレーナの家から、仕事と夢を求めて友人とともにアメリカに旅立った息子が消息を絶ってしまう。多くの若者が国境を越えようとして命を失うことも珍しくないなか、マグダレーナは息子を捜すため、たったひとりで村を出発する。やっとの思いで得た情報を頼りに、ある村へと向かうマグダレーナは、道中で息子と同じような年齢の青年ミゲルに出会い、彼が母親を捜していることを知る。母と息子、それぞれが大切な存在を捜す2人は旅路を共にするが……。(映画ドットコムから)

 

原題は、翻訳アプリによると「特に兆候なし」。息子を探しても何の手掛かりもないということをっているのだろうか。

殺伐としたメキシコの風景が続く。単調だが、息子を探す母親の一途さに観る方も引っ張られる。

台詞が少なく、役者の表情から読み取るしかないのだが、多くは無表情の中にかすかな感情が読み取れる。とりわけ母親役のメルセデスエルナンデスの演技が秀逸。

救いはない。全く想像すらできない厳しい状況に生きている人々。ドキュメンタリーのようにさえ見える。こういう描き方しかできないんだよということか。

 

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(2020年製作/101分/G/アイルランド・カナダ合作/原題:My Salinger Year/監督:フィリップ・ファラルドー/出演:マーガレット・クアリー シガ二-・ウィーバ―/日本公開:2022年5月6日)

ライ麦畑でつかまえて」などで知られるアメリカの小説家J・D・サリンジャーを担当する女性エージェントと新人アシスタントを描いたジョアンナ・ラコフの自叙伝を、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のマーガレット・クアリー、「エイリアン」シリーズの名優シガニー・ウィーバーの共演で映画化。90年代のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは、老舗出版エージェンシーでJ・D・サリンジャー担当の女性上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始める。ジョアンナの業務は世界中から大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターの対応処理。心揺さぶられる手紙を連日読む彼女は、簡素な定型文を返信することに気が進まなくなり、ふとした思いつきで個人的に手紙を返し始める。そんなある日、ジョアンナは、サリンジャー本人から一本の電話を受けるが……。監督は「グッド・ライ いちばん優しい嘘」のフィリップ・ファラルドー。

やや焦点のぼけた映画。

サリンジャーは最後まで顔を見せない。

出版エージェンシーの女性担当者マーガレットを演じたシガ二ー・ウイーバ―の演技が秀逸。こういうのを存在というのだろう。エイリアンのシリーズに出ていた人。

マーガレット・クアリーは、カラッとした詩人を目指す若い女性を好演。

ただ、最後まで、なんだかなあの思いは消えず。

 

『教育と愛国』(2022年製作/107分/G/日本/監督:斉加尚代/公開:2022年5月13日)

教育と政治の関係を見つめながら最新の教育事情を記録したドキュメンタリー。2017年に大阪・毎日放送で放送されギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した「映像’17 教育と愛国 教科書でいま何が起きているのか」に追加取材と再構成を施し、映画版として公開。戦前の軍国主義への反省から、戦後の教育は常に政治と切り離されてきた。しかし2006年に教育基本法が改正され、戦後初めて「愛国心」が盛り込まれる。それ以降「教育改革」「教育再生」の名のもとに、教科書検定制度が目に見えない力を増していく。毎日放送で20年以上にわたり教育現場を取材してきた斉加尚代監督が、教科書の編集者や執筆者へのインタビュー、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師や研究者へのバッシングなどを通し、教育現場に迫る危機を描き出す。俳優の井浦新が語りを担当。

 

全体に題材がやや古い。

悪いとは思わないけれど、こうした右派の流れを快く思わない人たちが留飲を下げるような。やや情緒的に過ぎると思う。そうだよね、おかしいよね、と云い合っている納得するような。

政治的にどこがぶつかっているのか、というより、ほらやっぱり変だよねといった感じ。一言でいえば突っ込みが弱い。

その意味で2019年の『主戦場』は、それぞれの主張のぶつかりあうところをしっかり描いた緊張感のあるドキュメンタリーだったように思う。

いったん出来上がったものの再構成というのもよくないのかもしれない。

期待していただけに残念。

若い友人、関誠さんが出演していた。彼らしい表情と発言。よかった。

 

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