「国会議員が逮捕されることは誠に遺憾だ」のコメント以上に、カジノを含むIRを成長戦略の柱としてきたことの一端が崩れたこと、それ以上に東京地検特捜部が、政権に忖度することなく逮捕に踏み切ったことによるショックは小さくない。

秋元司衆議院が逮捕された。25日のことだ。容疑は外為法違反、東京地検特捜部が家宅捜索、そして身柄拘束、収賄の容疑だという。

 

逮捕後、いろいろな情報がマスコミに流れている。日産のゴーン逮捕のときと同じだ。検察からのマスコミへのリークは、いつしか私たちにぼんやりとした事件の全体像を見せていくことになる。

リーク情報が正しいのかどうかは、私たちには判断はできない。賄賂を贈った側が「贈った」と証言していると言われても、ほんとうにそんな証言をしているのかどうかは確かめようがないし、実際に証拠に基づく裁判が開かれてみないと分からない。

 

こうした問題の流れ方を見ていると、いったん堰を切ったように一つの方向に「水」が流れ始めると、もうそれを押しとどめることはむずかしい。

鈴木宗男議員の時もゴーン事件でも、はたまたいじめ事件でも痴漢事件のような身近な事件でも同じである。

出てくる情報が違ったベクトルをもっていたとしても、また当事者が「それは違う」といくら言ったとしても、いったん流れ始めた「水」はいつしか「大河」になっていて、些末な情報や「申し開き」などかんたんにはじき返されていく。

 

テレビのワイドショーなどを見ていると、いつのまにか「やってるな」という心証をもたされていく感じがする。

 

そうは言っても、国会議員の逮捕は大きな事件だ。一般人の逮捕とは重みが違う。

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秋元議員逮捕で、私が最初に考えたのは、多くの人がそうだったように、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)には、裏で利権に群がる人たちが動いていたのだなというある種のほの暗さだ。それはそのまま賭け事、カジノに対するイメージの暗さだ。

 

もうひとつは、林市長が進めようとしている横浜へのIR誘致問題が、これでかなりのダメージを受け、反対派にとっては大きなアドバンテージになるだろうということだ。

 

IR問題自体が、どこか薄汚れたイメージを被らざるを得ず、今後どの自治体が権益を確保しようと、この暗いイメージから逃れられないだろう。

 

この時季に反対運動が盛り上がっている横浜は撤退せざるをえないのではないか。

統合型リゾートはともかく、「カジノ」と「賄賂」が結びつけば、IRそのものがイメージダウンとなる。多国籍企業による利権争い・・・中国でだけでなく、アメリカ、ロシア、中東・・・みんなで日本を食い物する・・・。

かと言ってIRは、カジノ抜きではほとんど意味がない。

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安倍政権は、秋元議員が離党届を出したことで「しらんぷり」を決め込んでいるが、政権にとって、これは大きな痛手だろう。首相の「国会議員が逮捕されることは誠に遺憾だ」のコメント以上に、カジノを含むIRを成長戦略の柱としてきたことの一端が崩れたこと、それ以上に東京地検特捜部が、政権に忖度することなく逮捕に踏み切ったことによるショックは小さくない。

 

来月にもカジノ管理委員会の設立が準備され、安倍政権にとってはいよいよIRに本腰を入れてというときだっただけに、秋元議員逮捕は、政権自体を揺るがす激震であったことは間違いない。

 

以前ならば、こうしたことが起これば自民党内外で政局となったのだろうが、小選挙区制の縛りは厳しい。政権は「桜」でも動かないし、「さいころ」でも動かないとなれば、この政権をひっくり返せるのはなんだろう。

立民と国民の合同が、その起爆剤とはならないだろうことは、素人目にもわかるのだが。