23日
午前中から青葉台へ。近所の友人Nさん、クルマを拙宅の駐車スペースにおいて同乗。3人で出かける。Nさんはヴァイオリン弾き。音楽に造詣が深い。ヨーロッパにも頻繁に出かける。元は高校の英語の教員、堪能な英語でホテルからコンサートの予約まで一人でやってしまう。人に出会う?のが上手な人。
フィリアホール。”István Kohán & 松本紘佳ジョイントコンサート”
子どもや障がい者を積極的に受け入れてともに楽しめるコンサートづくりを目ざすグループ「愉音」が主催。
時間設定はママたちや介助者の人たちが集まりやすい11時開始。チケットも1000円とリーズナブル。というのも、会場がフィリアホールの「ホール」ではなく「ホワイエ」だからだ。
席数109。車いすスペースもゆったり取ってある。子どもたちが寝転ぶスペースも。
ここでこんなコンサートが可能なのかと驚く。実際の音は響き過ぎず、そこそこ自然に聴こえる。
演奏は、ピアノに松本有理江さんを迎えての デュオとトリオ。ピアノは、PA付きのキーボード。
プログラム
ヴィエニャフスキ : 華麗なるポロネーズ1番(V×Pのデュオ)
マスネ : タイスの瞑想曲(V×Pのデュオ)
バルトーク : 3つのチーク地方の民謡(Cl×Pのデュオ)
モンティ : チャールダーシュ(V×Cl×Pのトリオ)
ドヴォルザーク : 家路 ~ 交響曲第9番「新世界より」から ~
子どもたちの声が時折聞こえる。
驚くのは、演奏の質の高さ。松本紘佳は相変わらずの外連味のない明確な意図をもった演奏。キレがよく音程の精確さはいつも通り。弾くごとに音量も上がってくる。もう10年聴いているが、すでにして安定したプロの演奏家の風格。
さらにクラリネットのコハーン・イシュトヴァ―ンがすごい。クラリネットのソロを聴く機会は、クラシックではほとんどないが、正直、度肝を抜かれた。若さ溢れる超絶技巧はもちろんだが、「これでもか」という押し付けがましいところがない。これ以上ないというほどの音楽の「軽さ」が感じられて、ぞくぞくした。
2013年からハンガリーから日本に拠点を移して演奏活動を続けている。日本音楽コンクール1位などいくつものコンクール、賞を得ている。日本語も堪能だ。
ハンガリー出身で、バルトークを得意としている。途中のトークでは、かつてバルトーク記念館の近くに住んでいて、そこで初めて「3つのチーク地方の民謡」を聴いた時、「自分はソロの演奏家になるんだ」と確信したというエピソードを披露。
いちばんの山場はモンティのチャールダーシュ。これはいままで聴いたことのない感興を味わえた。
松本紘佳との超高速の掛け合いはみごとの一言に尽きるし、緩徐部分での艶っぽさもよかった。こんなチャールダーシュは初めて。何じゃあ、これは!と思った。
昼間11時からの軽音楽会といった設定など吹っ飛んでしまうほど、時間は短かったけれど十分に音楽を堪能したコンサートだった。