7月6日
県立こども医療センターへ紘人に会いに行く。
ようやく兄弟、祖父母の面会が許可に。
6月24日に心臓疾患の前段階の手術。3週間ほどの入院。3日に院内で生後2か月を迎えた。
10日ほどでICUからは出たが、まだ一般病室には入れない。病院の入り口で面会の届けを出し、3階の特別病棟の入り口で、今度は感染症のアンケートを記入する。
娘と暁人が待っている。大人は同時に二人までしか入れないきまり。私たちも交代で入る。
施錠を外し、アンケートを部屋の入り口の看護師に渡す。娘のダンナのあっちゃんが紘人を見ている。
乳臭い匂い。久しぶりだ。娘からのLINEで見ていた点滴や鼻の管はみな取れ、すっきりとした表情。母乳もしっかり飲んでいるという。やつれを感じさせず、時折ニコッと笑う。大きく見開いた目に強い力があると感じる。
帰り際、暁人に「明日から相撲始まるぞ、栃ノ心がんばるといいな」と声をかけるも、娘に引っ付いて心ここにあらずの表情。かろうじてハイタッチをして別れる。4歳になる兄は兄で、堪えることも多いのだろう。
クルマの中で二人とも面会者のバッジを返すのを忘れたことに気がつく。
見逃し映画の覚え書き⑥
『菊とギロチン』(2018年・日本・189分・監督瀬々敬久・木竜麻生・公開2018年7月)★★
期待していただけに少しがっかり。アナキストと女相撲という対照はとっても新鮮。アナキストたちはやんちゃな男の集まり、女相撲には時代の情念が色濃い。それらが交叉するいくつものエピソードが切れ切れの印象。群像劇を意図しているのだとしてもまとまりを欠いていると思う。
3時間は長すぎる。思いの強さは感じるけれど、それを伝える精緻な方法が見えてこない。大正末期は表現者にとって魅力的な時代だと思うが、思い入れが強すぎてデフォルメしすぎるとリアリティがなくなる。残念。(TSUTAYA)
『追憶』(2017年・日本・99分・監督降旗康男・主演岡田准一・公開2017年5月)★
幼少の頃に3人の子どもが犯した殺人が、時を経て重みを増して、それぞれの現在へ流れ込む。しかし、脚本の「あな」がたくさん見えてしまって興をそがれてしまう。岡田准一の演技過剰も鬱陶しい。本人のせいではないのだろうけれど、岡田は時代劇の方がよい。天童荒太の『永遠の仔』(1999年)のような精緻な心理描写があれば違うのだが。原案、脚本が安易だと思う。それに邦題であっても『追憶』といわれるとバーブラ・ストライザンドとロバート・レッドフォードを思い出してしまう。(TSUTAYA)
『オー・ルーシー!』(2017年・日・米合作・95分・監督平柳敦子・出演寺島しのぶ/南果歩/忽那汐里/役所広司/ジョシュ・ハートネット・日本公開2018年4月)★★★★
去年、映画館で予告編を何度も見た。あえて足を運ぶまでもないかという判断は、間違いだった。
ネットのレビューでは評価は割れているが、とにかく新鮮、随所で笑い、唸った。
アラフォーの独身女性(寺島しのぶ)が姪(忽那汐里)の相手である英会話講師に惚れて姪の母親(南果歩)と渡米、そこでのすったもんだが描かれるのだが、描き方が日本的な湿潤さが少なく、全体がよく締まっていてキレがある。
人が生きていることなんてこの程度の問題だよ、と切って捨てながら、それでも生きているって、金も必要だし、飯も食いたいし、セックスもしたいということ。
日本の映画なら「寸止め」にして情緒に走るところを、この日本人監督は止めずに突っ切っている。
ふつうに真面目に?生きていても、傍から見ればコメディになってしまうことなんてよくあることだ。まるめて捨ててしまいたい日常には、死だっていつも近くにある。その意味で冒頭の駅のホームのシーンは出色。忽那汐里の飛び降りもまた。
何にしても寺島しのぶの演技は第一級品。わずかな表情が万感を表す。南果歩や忽那汐里のバランスも良かった。人気のジョシュ・ハートネットの演技がわかりやすくかえって日本的。役所広司を主演にしていないのもいい。小品だけど、満足。(TSUTAYA)
『ビブリア古書店の事件手帖』(2018年・日本・121分・監督三島由紀子・出演黒木華・夏帆・野村周平・成田凌・東出昌大・公開2018年11月)★
三上延原作のベストセラーミステリー小説の実写化。原作はもちろん読んでいないが、なんとも軽い。黒木華の古書店主、つくりすぎ。黒木の自然さをこわしている。最後まで見るのが辛かった。(TSUTAYA)
『音量上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ』(2018年・日本・107分・監督三木聡・出演吉岡里帆/阿部サダヲ/松尾スズキ/麻生久美子/田中哲司・公開2018年10月)
ついていけず、30分で見るのをやめた。
後日、気になって見直してみた。
よくわからないうちにどんどん引き込まれ、最後までみてしまった。
これっていい映画だよね?と自問、うん、たぶんねと答える。
細かいところにいろいろなギャグが埋め込まれているようだが、私にはほとんど理解できない。それなのに映画に「力」があるように思えた。
ネットの映画紹介では賛否の分かれ方が激しく、数字的にはかなり低い。しかし平均点にはなんの意味はない。
3日経っても強烈な印象が薄れない。吉岡里帆、全力投球。阿部サダヲの狂気?最大限発揮。素晴らしい。映画の中にはないが、この歌、あとをひく。