全豪オープン2019は大阪なおみ選手の優勝で幕を閉じた。
クビトバ選手との決勝はタフなものだったが、安定感という点では大坂が一歩先んじていたという印象。
手前勝手な想像に過ぎないが、大坂が一番きつかったのは3回戦、シエシュエイ(台湾)とのゲームだったのではないだろうか。
4回戦はテレビ観戦できなかったが、どちらも先に相手選手にセットを取られた。
4回戦のセバストワとのゲームでは、2セット目を有利に展開、3セットも危なげなく終えた。
シエシュエイとのゲームでは2セットも先にブレイクされ、5ゲームまでで4-1。万事休すと思われたが、シエシュエイのスタミナ切れ(にともなう集中力の低下と思われた)と大坂の捨て鉢にならない気持ちの強さでその後4ゲーム続けてK・B・K・B・Kと5ゲームを連取、3セット目と合わせて7ゲーム連取で試合を決めた。
山り谷ありの見応えのあるゲームだった。シエシュエイは世界ランク28位だが、素人目には大坂をもっとも苦しめた選手だったように思えた。
またまた大坂ブームである。相変わらず街角では旧知の友だちのようになおみ、なおみと呼ぶ人が増えている。
オリンピックを見据え、アメリカではなぜ米国登録ができなかったのかという議論があるらしい。ネットでは15歳の原石だった大坂を見つけた?コーチがいて練習場所を提供してきたといったことが日本登録のばねになったとのこと。日本のおじいさんは紹介されるが、ハイチの祖父母は紹介されない。
3つの国がつながって、そこに大坂なおみがいるということが素敵なことのように思えるのだが。大坂には狭隘な「日本すごいですね」に組み込まれてほしくないなと思う。
繰り返しになるが、日本勢初のグランドスラム獲得、とか日本人初の世界ランク1位とか、やっぱり鬱陶しく感じられてならない。
昨日の閉会式では、各選手の出身国の国旗が並んでいたが、国旗掲揚はなかったし、国歌斉唱もなかった。いちばん大切にされているのは最後まで戦い抜いた二人の選手への称賛と、彼らのスピーチだった。
セレモニーの最後に試合を支えたボールボーイ、ガールとの記念写真。
国と国との闘いという構図を抑制し、勝者が謙虚に敗者や運営を称えるという風習は素晴らしいと思う。インタビュアーが「日本語でどうぞ」的な「いじり」がなかったのもよかった(準決勝ではあったが)。
特に重々しくもなく、ほど良い長さ。笑顔の多いセレモニー。東京オリンピックに興味はないが、こういうさらっとした国家色を出さないやり方を真似るべきだ。
政治の代理戦争のようなスポーツイベントはいらない。日本オリンピックではなく東京オリンピックなのだから。
そう書きながら、所詮、大枚のお金と「放射能はアンダーコントロールできている」という虚言で引っ張ってきた政治そのもののオリンピックだからなぁと思ってしまうのだが。