2024年4月の映画寸評①と大谷のファインプレー

11時からBSNHKでドジャースジャイアンツ戦を見る。前半は真面目に、後半は大谷中心に。2打席目だったか大谷はファーストゴロで全力疾走。打球は早く、普通なら捕球したファーストがカバーのピッチャーにトスしてアウトのケース。しかし驚くことに大谷はピッチャーより1m近く早く1塁ベースに辿り着いていた。ピッチャーがカバーに入るのが遅れたのかとリプレイを見るが、そんなことはない。これで1、3塁。

続く次打者のフリーマンが3塁線を抜くヒット。どう見ても1塁ランナーの大谷は3塁までの進塁が限度。下手すれば3塁でアウトになることも。しかし、大谷、これも全力疾走でホームにスライディング。セーフ。リプレイを見ると、瞬時躊躇してからのスタート。加速の速さとベースランニングのうまさ。

二つのプレイに唸っていたら、4打席。とうとう来た。乾いた音がスタジアムに響く。右中間スタンドへのホームラン。1点差でドジャースの勝ち。結果的に大谷のホームランの1点が効いた。

大谷のファインプレーだらけの一戦。

 

 

2024年4月の映画寸評①

<自分なりのめやす>

お勧めしたい   ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

みる価値あり   ⭐️⭐️⭐️⭐️

時間があれば     ⭐️⭐️⭐️

無理しなくても  ⭐️⭐️

後悔するかも   ⭐️

 

『コットンテール』2023年製作/94分/イギリス・日本合作/原題:Cottontai/脚本・監督:パトリック・ディキンソン/出演:リリー・フランキー 錦戸亮 木村多江 他/劇場公開日:2024年3月1日) 4月3日kiki ⭐️⭐️⭐️⭐️

 

リリー・フランキー演じる妻を亡くした男の家族再生を描いた日英合作映画。
兼三郎は妻・明子の葬式でしばらく疎遠となっていた一人息子の慧(トシ)とその妻さつき、孫のエミに久しぶりに会う。酒に酔い、だらしない態度をとる喪主の兼三郎に、トシは苛立ちつつも気にかけていた。開封された明子の遺言状には、明子が子どもの頃に好きだった「ピーターラビット」の発祥地であり、夫婦で行きたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいという内容が描かれていた。兼三郎とトシ一家は、明子の願いをかなえるため、イギリス北部の湖水地方にあるウィンダミア湖へ旅立つ。兼三郎役のリリーのほか、錦戸亮木村多江高梨臨らが顔をそろえる。
監督・脚本は、英国アカデミー賞US学生映画賞とヨーロッパ人として初めて学生エミー賞をドラマ部門で受賞したパトリック・ディキンソン。

リリー・フランキーの映画は見る、というだけでなんの前知識もなく見たのだけれど、最初の5分ほどの彼の芝居のリズム、画面の切り取り方が日本の映画とはかなり違うように感じられた。日英合作映画の成功。

脚本がいい。隠すところ隠さないところのバランスがいい。静かでいい映画。見る側の想像力をゆったりと刺激し続けてくれるリズム。上質の映画だと思う。

ただにおいが感じられない。においを感じる芝居がないのは、においがないのと同じ。木村多江の便失禁を息子に見せずに処理しようとするシーンやイギリスの牧場、湖の雨のシーン、自転車で行く雨の草原・・・・。もっともっとにおいを感じさせて欲しかった。

もう一つ、出会いの時の兼三郎と明子の間に流れる空気と、長い間、家族と交流せずに閉じこもっていく兼三郎と明子にやや違和感。劇中では「仕事云々」と言っているが、やや唐突。何故明子は兼三郎をそこまで信頼し続けたのか?そんな兼三郎への向き合い方があれば、決定的ともみえるトシとのズレは出てこないのではないか。

冒頭の5分の兼三郎のバランスを欠いた言動は、意表をつくものばかりで素晴らしい。

イギリスロケのシーンもいい。セリフは少ないが、十分に伝わってくるものがある。

コットンテールはピーター・ラビットの妹の名前。幸せを呼ぶうさぎだそうだ画像8

 

『ソウルメイト』(2023年/124分/韓国/原題:Soulmate/監督:ミン・ヨングン/出演:キム・ダニ チョン・ソニ ビョン・ウソク/劇場公開日:2024年2月23日)

                      4月3日 kiki ⭐️⭐️⭐️⭐️

香港のデレク・ツァン監督が手がけた「ソウルメイト 七月と安生」を、韓国・済州島に舞台を移して新たに映画化。幼い頃からの無二の親友だった2人の少女のすれ違いや絆を、切なくも温かく描いた友情の物語。

絵を勉強しながら世界中を旅したいという夢を抱く自由人のミソ。そんな彼女に憧れを抱きながらも堅実に生きることを願うハウン。性格も価値観も真逆な2人の幼なじみは、楽しい時もさみしい時もずっと一緒だった。そんな日々がずっと続くと思われたが、ある出会いをきっかけに2人の関係は急激に変化していく。互いのことを思い合いながらもすれ違い、やがて疎遠になって16年が過ぎたある日、ハウンはミソにある秘密を残し、こつ然と姿を消してしまう。

ミソ役は大ヒットドラマ「梨泰院クラス」や映画「The Witch 魔女」で知られるキム・ダミ、ハウン役はドラマ「ボーイフレンド」のチョン・ソニ。2人の関係に深く関わることになる青年ジヌを「力の強い女 カン・ナムスン」などのドラマで活躍するピョン・ウソクが演じた。

 

香港映画のリメイク。どこで見たのか調べてもわからないが、このストーリーはしっかり記憶している。

その上でも、非常に情感豊かに丁寧につくられていて、惹きつけられた。

やや長いと思われたが、さまざまな布石が自然に回収されていく。

2人の互いを思う気持ちと反発が胸を打つ。感情のもつれの深さをじっくりと描いている。

性格的に激しいミソにおっとりしたハウン、という構図。しかし、一筋縄ではいかない。

ストーリーを超えるものが確かにある。

もう一つの主役は絵。写実的な鉛筆画?が、効いている。

ミン・ヨングン監督はこれが2作目の映画というが、信じられないほど巧緻だと思う。

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