『告白 あるいは完璧な弁護』韓国映画は愉しい。『濱マイク 人生最悪の時』(4Kリマスター版)既視感いっぱい。懐かしいけど。

久しぶりに映画備忘録。

このところ猛暑が続いたせいか、決まった予定以外は、なかなか外出する気になれなかった。映画館も例外ではない。「冷え」がつらいのだ。

若い頃は、映画館の涼しさが何よりのご馳走だったが、50代を超えたあたりから夏の映画館が苦手になり始めた。

60代になってからは、たいていの映画館に備え付けてあるブランケットを借りて凌いできた。しかしコロナのはじまった2020年以降は、飲食禁止とともに、ブランケットの貸し出しも中止になってしまった。

 

私の場合、冷えるのは足元よりも両腕だ。そこで思いついた対策が、日焼け止め用の着脱できる腕カバーの代用だ。

予告編が終わったあたりで、黒い腕カバーをそっと両腕に巻く。2時間後?エンドロールが始まった頃、しまう。不気味な動きをする高齢者もこれで目立つことはない。夏の映画館は、ここ3年間こわいものなしに。

ところが今年、そろそろ時期だなと腕カバーを探すもなぜか見つからない。さんざんあちこち探したあげく諦め、新しいものを購入。

ところがその直後に部屋のソファーの上にナイキの黒い小さな袋がポロッと転がっているのを発見。

不思議なことがあるものだ。ソファの上には、開いた風呂敷の上に帽子が4個。帽子と同時に出てきたということは、去年、腕カバーを帽子と一緒にしまったということか。

夏になれば、両方とも使うからと一緒にと考えたのだろうか。

去年の自分がわからない。これでは思い当たるところをいくら探しても見つからない筈だ。

失せ物が出てくる時はこんなものかもしれない。出てこないことの方が多いのだから、まあいいか、なのだが・・・。

 

① 『告白、あるいは完璧な弁護』(2022年/105分/韓国/脚本・監督:ユン・ジュンソク/出演:ソ・ジスブ キム・ユンジン ナナ /日本公開:2023年6月23日)画像20

タイトルに惹かれて選んだ。大正解だった。あらすじを書いてもいいけれど、書けばこれからみる人の興を削ぐことになると思う。スペイン映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2016)のリメイクだというが、本編に流れる韓国独特の空気、言葉のやりとり、トリック、緊張感はかなりいい。いくつか、え? というところもなかったわけではないが、十分に楽しませてもらった。映画そのもののつくりより、役者のもつ力を演出が引き出していると感じた。3人が3人ともかなりいいと思った。視点が変わることで役者の表情がどんどん変わっていく。

韓国映画ではこのレベルの映画がわりと普通につくられているように感じるが、日本ではもっとお手軽で「この程度でいいのでは?」的なものが多い。日本映画にもホラーではなく、人間の怖さを感じさせるものを期待したいのだが。

 

②『濱マイク 人生最悪の時』(1994年/日本/92分/脚本:天願大介 林海象

監督:林海象/出演:永瀬正敏 佐野史郎 塚本晋也 宍戸錠 南原清隆/日本公開1994年3月5日 4Kリマスター版 2023年7月28日)

 

横浜黄金町を舞台に永瀬正敏演じる探偵・濱マイクの活躍を描き、2002年にはテレビドラマシリーズ化もされた、林海象監督による娯楽活劇「私立探偵濱マイク」3部作シリーズ第1弾。

横浜黄金町にある老舗映画館・横浜日劇の2階に探偵事務所を構える濱マイク。今回の依頼は、幼い頃に両親に捨てられ、兄弟2人で育ってきた台湾人の友人・楊の兄の行方を捜すことだった。妹と2人っきりで育ったマイクにとって、楊の境遇は他人事とは思えなかった。お人好しで正義感あふれるマイクは、相棒の情報屋・星野とともに横浜の町で調査を進めた結果、2人は楊の兄の行方をつきとめる。しかし、その背景に台湾マフィアと日本に潜伏するアジア系外国人の黒社会との闘争が絡み、マイクの身にも危険が忍び寄る。

相棒の星野役を「ウッチャンナンチャン」の南原清隆が演じるほか、佐野史郎宍戸錠塚本晋也らが脇を固める。2023年に濱マイク30周年記念企画として4Kリマスター版が上映。

 

懐かしいといえば、まあ懐かしい。今から30年前の横浜。画面のあちこちに、「ほらあそこ、あれ・・・」という場所が出てくる。今はマンションになっている濱マイクの事務所がある(という想定の)横浜日劇にも何度も通ったし、その向かいにあった大勝館にも。

どちらも映画を見にきたというより、ねぐらにしているという人が多く、タバコと酒の匂いが充満していた。その大勝館が取り壊され、現在のジャック&ベテイに。

1994年当時、このシリーズを見た記憶はない。知ってはいたが、見たい映画の部類には入っていなかったと思う。今回は、時間調整でみることにしたのだが、正直映画としては、みるものがない。かなり退屈した。つくっている方も演じている方も、思い入れがあるのはわかるのだが、全体に軽い。とにかく脚本にもいくつものシーンにも感じる既視感。ドラマに入っていけなかった。ごめん。

伝説のシリーズを劇場で