『いとみち』少女の成長物語ではあるのだが、それほどストレートに成長が描かれているわけではない。

映画備忘録。9月1日、あつぎのえいがかんkikiの3本目。

半日で映画を3本見ることが多い。

傾向の違う映画がうまく並べられればの話だが。

 

ここは、スクリーン1(77席)スクリーン2(28席)スクリーン3(53席)の3スクリーン。実際にはこの倍の座席があるが、コロナ対策でこの数になっている。

月に上映する映画は35本~40本。土日にはアンパンマンなど子ども向けの番組が中心になるが、平日は、どちらかと言えばシネコンで上映される映画ではなく、単館系というかややマイナーな映画が中心。横浜でいうと、ジャックアンドベテイや横浜シネマリンの番組の組み方とほぼ同じようなラインアップとなる。

 

ジャックアンドベティは2スクリーン、横浜シネマリンは1スクリーン。

ここは3スクリーンだから、うまく並べると半日で3本が可能になる。

キノシネマみなとみらいも3スクリーンだが、遠い。私鉄3線を乗り継がなくてはならない。

それにわざわざ人込みの中に行くのも面倒だし、気が重い。

そんなわけで、半日をここで過ごすことが多い。

 

さて3本目。

『いとみち』(2021年製作/116分/G/日本/原作:越谷オサム/監督:横浜聡子/出演:駒井蓮 豊川悦司 西川洋子/公開:2021年6月25日)

 

 

青森県津軽を舞台に、メイドカフェで働く人見知りな津軽弁少女の奮闘と成長を描いた青春ドラマ。「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督が越谷オサムの同名小説を実写映画化し、「名前」の駒井蓮が主演を務めた。弘前市の高校に通う16歳の相馬いと。三味線を弾く時に爪にできる溝「糸道(いとみち)」を名前の由来に持つ彼女は、祖母と亡き母から引き継いだ津軽三味線が特技だが、強い津軽弁と人見知りのせいで本当の自分を誰にも見せられずにいた。そんなある日、思い切って津軽メイド珈琲店でアルバイトを始めたことで、彼女の日常は大きく変わり始める。いとを心配しながらも見守る父を豊川悦司津軽メイド珈琲店の怪しげなオーナーをお笑いタレントの古坂大魔王、シングルマザーの先輩メイドを「二十六夜待ち」の黒川芽以がそれぞれ演じる。(映画ドットコムから)

 

少女の成長物語ではあるのだが、それほどストレートに成長が描かれているわけではない。

方言がすごい。冒頭のシーン。教室。教科書を読まされる蓮。ほとんど聞き取れない。

教員が「相馬のはまるでクラシックだな」。

とにかく聞き取れない。

もちろん字幕はつかない。そのうち聴きとれなくてもなんとなく行っていることは伝わってくる。そのぐらいでいいんだという作り手側の思いがあるのではないか。

 

駒井蓮は、『名前』(2018年)では主演?『朝が来る』(2020年)にも出ていたというがあまり印象がない。

しかしこの映画ではしっかり主役を務めている。

でも、映画を締めているのは西川洋子だ。高橋竹山の最初の弟子。この人のセリフと演技がこの映画をホンモノにしている。

 

意外に三味線の演奏のシーンは少ない。

何といっても、いとがメイド喫茶でメイドの格好で津軽あいや節を弾くところが一番の山場。吹き替えなのだろうが、とってもいいシーンで迫力がある。

kikiの音響はかなり良く、聴いていて気持ちがよかった。

 

よく作りこまれているという評価はよくわかる。わきを固める役者もかなり良い。なのにテンポ感というかいまひとつ映画に入りきれないところがある。横浜監督の前作『俳優亀岡拓次』でも感じたことだが。なぜかよくわからない。「完璧」という評価をしている人もいる。3本目だったからか?

ラストの親子の登山のシーンはなくても・・・。

 

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