防衛省が人工知能(AI)技術を使い、交流サイト(SNS)で国内世論を誘導する工作の研究に着手したことが9日、複数の政府関係者への取材で分かった。インターネットで影響力がある「インフルエンサー」が、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭したりするネット空間でのトレンドづくりを目標としている。(共同通信12月9日)
どうしてこんなことが「複数の政府関係者への取材」で簡単に分かってしまうのだろうか。こういうのってそれこそ秘密裏にやらないといけないものでは?
それにしても狙いがあまりに率直すぎて笑ってしまう。
標語やスローガンではなく、SNSを使っての世論操作と言われるが、今でも新聞やテレビでのさまざまな操作は頻繁だし、長年続けられている。
五輪やW杯などのスポーツイベントによる目くらまし。国民栄誉賞や叙勲などの世論醸成。安全保障戦略における「反撃能力」などの言葉の言いかえによる論理のすり替え。旧統一教会に対する質問権行使での旧来の法的解釈の一方的変更。
それに比べても、このレベルが「取材」で分かってしまうのは、普通なら「いかがなものか」だ。防衛省の防諜能力ってそんな程度か?
いやいや、「着手した」と書かれているが、すでにこういうことはやられているのでは?
これから何か新しいことが始まるのではなく、すでに何人ものインフルエンサーは、自分の言葉で話しているように見えて、実はうまく「仕向け」られているのではないだろうか。
ワイドショーのコメンテーターを見ていると、明らかにそうだろうと思われる人が何にもいる。
ヘイトとは思われないような形で、巧妙な論理建てで特定国への悪感情を醸成しようとする人は確かにいる。
今なら、中国やロシアだ。
とりわけロシアを擁護するような言説は、どれほど筋だっていても通らない。
逆にウクライナがロシア国内を攻撃したからと言っても、ウクライナびいきは簡単にはかわらない。
プーチンや習近平の映像を見ると、眉を顰めてしまう、そんな巧妙な操作が続いている。
犯罪の容疑者の写真は、どこか悪辣に見えるもの。明るくにこにこしている写真はあまり出てこない。そういう写真を記者は撮ろうとする。殺人事件の容疑者が姿を見せたところに「人殺し!」と声をかけ、「何!」と顔をあげたところを撮る。整理部はあえてそれを選ぶ。
五輪にまつわる汚職で何度も逮捕されている高橋被告など、本来いい男ぶりなのに何度も繰り返し映し出される映像は悪人づらである。
捜査されていない情報なんてない。
「着手した」は誤報、だと思う。