『7人楽隊』独自の文化を築いてきた香港への深い愛情とユーモアが感じられた。7編のストーリーにつながりはないが、絶妙な配置で7人が音楽を奏でている。

映画備忘録。

ずいぶん前のことになる。11月16日。本厚木kiki。

『七人楽隊』(2021年製作/111分/PG12/香港/原題:七人樂隊 Septet: The Story of Hong Kong/監督:サモ・ハン アン・ホイ パトリック・タム ユエン・ウーピン ジョニ・トー リンゴ・ラム ツイ・ハーク/2020年カンヌ映画祭出品作品/日本公開2022年10月7日)

 
 

ジョニー・トーのプロデュースのもと、香港で活躍する7人の監督が1950年代から未来まで、さまざまな年代の香港をつづった7作で構成されたオムニバス。

50年代、必死にカンフーの稽古に励んだ幼い自分と仲間を描く、サモ・ハン監督の自伝的エピソード「稽古」。教育に生涯を捧げる校長先生と、彼を慕う同僚の女性教師とかつての教え子たちを描いたアン・ホイ監督の「校長先生」。移住を控えた恋人たちの別れをスタイリッシュな映像で描いた、パトリック・タム監督の「別れの夜」。ユエン・ウーピン監督が、香港を離れる孫と香港に残る祖父のユーモラスで温かな交流を描いた「回帰」。香港の飲食店を舞台に大儲けを夢見る一般市民が株価に右往左往する姿を、ジョニー・トー監督が描いた「ぼろ儲け」。香港の変わり様に翻弄される男を描き、本作が遺作となったリンゴ・ラム監督の「道に迷う」。病棟を舞台に、たたみかけるセリフ群が展開する、ツイ・ハ―ク監督の「深い会話」。

7作すべてが、フィルム時代に敬意を表し、全編35ミリフィルムで撮影された。2020年・第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品。日本では同年の第21回東京フィルメックスの特別招待作品として上映され、観客賞を受賞(映画祭上映時タイトル「七人楽隊」)。(映画ドットコムから)

民主主義の時代を閉ざされつつある香港で、この70年ほどの歴史を小さなエピソードを重ねて描く。

7編それぞれ味わいはかなり違うが、どこか哀惜の情が漂う。

香港独特の言語、生活、文化。どこか台湾とも重なって見えてしまうのだが、映画も含めて独自の文化を築いてきた香港への深い愛情とユーモアが感じられた。7編のストーリーにつながりはないが、絶妙な配置で7人が音楽を奏でている。

印象に残ったのは「校長先生」と「道に迷う」

邦題、素晴らしい。画像3

「校長先生」

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「深い会話」